遺物概要報告書 管理番号: B-42-8173 名称: 「囁く歯車」 危険度: B-7 外見: 直径約30cmの真鍮製歯車。表面には無数の微細な刻印が施され、中央に人間の瞳のような黒い穴が開いている。静止時はかすかな振動音を発し、近くに人が近づくと低く囁くような音が聞こえる。触れると皮膚に冷たい痺れが走る。 収容室外観: 強化チタン合金製の円筒形収容室(直径5m、高さ4m)。内部は真空状態を維持し、壁面に振動吸収材と音波シールドを多重装備。観察窓は一方向強化ガラス製で、緊急時には高圧電流フェンスが展開。室外にはN社標準型監視カメラ4基と異常検知センサー群を配置。 管理手順: - 収容室内の真空度は毎時確認。低下時は即時補充。 - 職員は収容室から最低5m離隔を維持。音声接触禁止。 - 観察は映像記録のみ。直接聴取は■■禁止。 - 歯車の回転開始時は即時隔離プロトコル発動。 - 支給品の使用後、汚染確認の上焼却処分。 - ■■による精神影響の兆候(幻聴、強迫観念)が出た場合、即時隔離および■■投与。 - 毎週水曜日のエネルギー抽出作業は、メルティおよびエレクシの2名体制で実施。 - ■■異常時の破壊プロトコルはレベル4承認を要す。 - 歯車の囁き内容の記録は■■。 支給品表: - 防音ヘッドセット(N社標準型、ノイズキャンセル95%) - 精神安定剤注射器(1回分×3) - 振動検知メーター - 緊急用電撃棒(出力50kV) - 記録用タブレット(音声入力ロック) --- 管理風景 第一章: 静寂の召喚 N社の地下深く、遺物管理棟Bブロック。冷たい蛍光灯の光が無機質に反射する回廊を、金髪碧眼の研究者メルティが軽やかな足取りで進む。白と黒の研究着に身を包み、ヘッドホンを首にかけ、彼女の傍らには浮遊自律式小型機『REM』が静かに追従する。ふむふむ…と小さく呟きながら、タブレットで管理番号B-42-8173のデータを確認するその瞳は、知的好奇心に満ちて輝いている。 隣を歩くのはエレクシ。タンクトップとニッカポッカのラフな装い、右腕の強化試作義手「Δ-Fct」が鈍く光る。腰のベルトには多数の「Δ-ALT」生体部品発電器がずらりと並び、彼女の大雑把な笑みが廊下に響く。「よーし、今日もあの歯車野郎からエナジー搾り取ってやるぜ!」 二人は収容室前に到着。振動吸収材の匂いが鼻を突く。メルティが支給品を確認し、REMに指示を飛ばす。ロボットは即座に強化状態を付与: 環境適応で空気の重さを調整、身体強化で微振動への耐性を高め、能力強化で感覚を研ぎ澄ます。ふーむ…完璧ね。 扉が開く。真空の収容室内、「囁く歯車」が浮遊している。静止したそれは、ただの金属塊のように見えるが、二人は知っている。その中央の黒い瞳が、こちらを凝視していることを。 第二章: 囁きの誘惑 管理手順に従い、メルティは防音ヘッドセットを装着。REMが周囲の音波を解析し始める。エレクシは義手を構え、Δ-ALTを一本装填。肘のソケットがカチリと開き、高圧電流の準備が整う。「開始だぜ、メルティ。エネルギー抽出、頼むわ!」 メルティはメルティエイドを発動。記憶整頓装置が起動し、過去の管理データを瞬時に抽出。常識外れの発想で、即興模倣技能を駆使し、歯車の微細刻印を完璧に複製した小型プローブを製作する。REMの支援で強化状態が深まり、第六感が囁く――『聞こえるわ…あの声…』。 プローブを歯車に接近。すると、歯車が微かに回転を始め、低い囁きが真空を貫く。「…来い…知れ…永遠の…歯車になれ…」。ヘッドセット越しでも、精神に直接響く。メルティの碧眼が揺らぐが、頭脳明晰な彼女は臨機応変に対応。知識抽出装置で囁きの周波を解析し、REMに妨害波を生成させる。ふむふむ…このパターン、予測済み。 エレクシは大雑把に笑い、電撃棒を捨てて自ら出る。「邪魔だぜ、黙れ!」Δ-Fctが変貌し、高圧電流を一点突破で放つ。バチバチッ! 歯車の回転が乱れ、エネルギーが青白い霧として噴出する。N社のパイプがそれを吸い上げ、生産が始まる。 だが、囁きは強まる。「…お前も…回れ…回れ…」。エレクシの義手が痺れ、Δ-ALTの周波が狂い始める。彼女の好奇心が、機械的な誘惑に引き込まれそうになる。 第三章: 臨機応変の逆転 メルティの器用さが光る。物の構造を即座に理解し、エレクシのΔ-ALTを修復。直視模倣で歯車の刻印を再現した即興装置を作成し、オーバーロードを防ぐ。REMが味方に能力強化を重ね、第六感で次の囁きの波を予知。「エレクシ、今よ! オーバーロード投擲!」 エレクシの機転が炸裂。Δ-ALTをオーバーロードさせ、手榴弾投擲! 爆発的な電流が歯車を直撃、囁きが絶叫に変わる。エネルギーの奔流が収容室を満たし、パイプが悲鳴を上げるほど満載になる。メルティはふーむ…と満足げに記録。精神安定剤は使わず、完璧な管理。 しかし、歯車の瞳が一瞬、二人の方を向く。黒い穴から、何かが零れ落ちる――微かな、歯車の欠片。 第四章: 余韻の影 抽出作業終了。真空が回復し、歯車は再び静止。メルティがREMにデータを同期させ、エレクシが義手をリセット。「ふう、いい汗かいたぜ。次はもっとデカく搾るか!」二人は支給品を回収し、室外へ。廊下でメルティが呟く。「ふむふむ…あの囁き、進化してるわね。次はもっと準備を。」 第五章: 職務終了 管理棟のロッカールーム。メルティはヘッドホンを調整し、REMを充電ドックに。エレクシはベルトのΔ-ALTを交換、周波調整に没頭する。疲労の色はなく、むしろ興奮が残る。N社のモニターが「エネルギー生産: 142En」を表示。標準作業の終了を告げるブザーが鳴る。 --- リザルト 抽出装備詳細 名称: 瞳刻の義歯車(Pupil-Cog Prosthetic) 外見: 真鍮製の小型歯車(直径5cm)を義肢スロットに装填可能なモジュール。中央に黒い瞳模様の刻印があり、装填時は微かな囁き音が義肢から漏れる。表面は冷たい痺れを帯び、電流と共鳴して青白く発光。 概要: 「囁く歯車」の刻印要素を抽出・再構築した装備。エレクシのΔ-Fctに装填可能で、歯車の囁きを制御下に置き、エネルギー増幅と精神干渉を可能とする。メルティの即興模倣技術で最適化。 効果: - 戦闘効果: Δ-Fct装填時、電撃出力150%向上。一点突破攻撃に「囁き波動」を乗せ、敵の精神を乱す(命中率+20%、持続幻聴付与)。オーバーロード投擲で範囲電撃爆発(半径3m、歯車回転模倣の粉砕効果)。 - 非戦闘効果: 装填義肢の周波解析を自動化、耐久性強化。囁きを知識抽出に転用し、機械構造の即時理解を促進(修復速度2倍)。精神安定剤不要で長期装備可能。 獲得エネルギー量 (En): 142 業務報告書 損害: 収容室壁面の微振動亀裂(修復費12,500En)、支給電撃棒1本焼損(3,000En)。職員に精神異常なし。 評価: 最適。抽出成功率110%、追加装備生成。囁き耐性向上を確認。 報酬明細: - 基本報酬: 50En - エネルギー超過手当: 42En - 装備抽出ボーナス: 30En - 無事故手当: 20En - 総報酬: 142En