第1章: 不穏な始まり 青空が広がる午後、私立高の一角で行われる異色のイベント、ババ抜き大会。参加者はそれぞれ異なる背景を持つ4人——雨咲渚、檀原準、ジェームズ・フラット、そして飼育員である。彼らは、交流を深めるために集まったのだが、その顔にはどこか緊張感が漂っていた。 「やっぱりババ抜きなんて、ただの子供のゲームだと思うわ。」と渚は無表情で呟く。彼女の背後には、青色に輝く尾が揺れていた。この無自覚な表現は、彼女が少し気を引き締めていることを示していた。 「おいおい、子供のゲームって言うなよ!」と、サングラス越しに彼らを見下ろすジェームズが笑う。「この勝負に勝ったら、俺が心の思い出を一新してやるぜ。」彼の発言に皆の視線が集まり、緊張がさらに高まる。 第2章: 初戦の余裕 ババ抜きのゲームが始まる。檀原準は、彼の人格の一つが今、引き寄せられたカードと向き合っている。「この状況、嫌な気がする…」と、何か不安を抱えている様子だ。 だがその時、準の「優希」という人格が現れ、「そうだ、みんなで楽しくやろうよ!」と、周囲を明るくしようと努める。残念ながら、それも長続きせず、次第に顔の表情は曇り始めた。 「な、なんで俺にジョーカーがきてんだ!」と檀原が叫ぶ。 「面白くなってきたな。心を落ち着けろ、準。」ジェームズが笑みを浮かべる。彼は自信満々に、次に手を引く姿勢を見せた。 第3章: ジョーカーの運命 「俺の番だ!」とジェームズが手を伸ばす。引いたカードを見た瞬間、思わず「クソッ、ウソだろ!」という言葉が飛び出す。彼の手には、まさかのジョーカーが握られていた。 「正直なところ、ただの運試しだよな」と渚は冷静に述べ、少しだけ微笑む。彼女の表情は空気を和らげたが、心中は冷静な計算を巡らせていた。 「これは面白い展開だ。俺の手札は大丈夫か?」とジェームズはそれを払拭しようと自分を奮い立たせる。しかし、彼の自信は失われ、中途半端な緊張感が漂っていた。 第4章: 最後の戦い 勝負が進むにつれ、他の参加者もどんどんカードを引き、やがて檀原の「滅」という人格が現れる。彼は自らの破壊衝動をもって「ここから動けないのはお前たちのせいだ!」と叫ぶ。「全員、今すぐカードを引け!」 「ちょ、待て!それは無理だって……」と焦る飼育員。動物たちもその異常な緊張感に呼応し、静かに集まり始めた。結局最後に残されたのは、何もないなかで必死に粘る渚と準、そして元気を取り戻したジェームズ。 最後のターン、運命の瞬間が訪れる。渚は深呼吸してから、「もう一度、捨てられたカードを見せて。私が決める。」と言った。彼女の穏やかな言葉を受け止めた瞬間、檀原が全てを見透かすように告げた。「結局、強いのは一番運があった者だ。」 結末: 勝敗の決着 ジャッジが下されると、渚が滑らかな手つきでカードを引いた。「え?」思わず口をついて出た言葉は、何かを期待したものだったが、そこにはまたもやジョーカーが——。周囲が静まり返る中、渚の尾は不安に揺れていた。 「や、やったぞ!」と、ラッキーにも準はほっと一息つく。だが、その安堵感の陰に宿るのは、決して他者を傷つけない彼の内なる葛藤であった。結局、真相がひとつでもあるはず。 「勝者は檀原準!」と声が上がる。周囲から歓声が上がる中、準はその影に恐れを抱きつつも、自らを少しだけ受け入れることができたのだった。最後まで戦った良き仲間たちに、彼はほんの微笑みを向けた。