霧深い山岳地帯、薄暗い視界を遮る雪と強風が吹き荒れる中、レニアは静かに立っていた。彼女の周囲には氷の剣【雪華】が煌めき、冷気を纏ったその姿はまるで冬の女神を思わせる。彼女の鋭い視線は一つの目標、クシャルダオラを捉えていた。著しい威圧感を伴い、全長約18メートルの古龍が、その全身を鋼鉄のような甲殻と鱗で覆い、闇雲に圧倒的な存在感を誇示していた。 クシャルダオラは、自然の怒りを象徴するかのように、空に向かって咆哮した。その瞬間、風が荒れ狂い、山々を揺るがす強風が舞った。レニアはその圧倒的な力を前に、心の中で決意を固める。「負けるものか…!」と。彼女の眼が氷のように冷たく光る。 「行くわよ、クシャルダオラ!」レニアの声が、凍える空気に響く。彼女は素早く氷葬零域のスキルを発動し、周囲に広がる氷のオーラが彼女を包んだ。その瞬間、彼女は自らの限界を越えた技を展開し、宙を舞い上がる。 氷の片手剣を振るい、連続する氷河連斬を放つ。剣から放たれる氷の刃は、鋼龍の肌に刃を立て、かすかな亀裂を生じさせた。しかし、クシャルダオラは怯むことなく、逆にその力を借りて前進した。その巨大な身体をもって、突進してくる。 「ちょっ、ああっ!」レニアは慌てて横に飛び退き、剣を守るように構えた。クシャルダオラの体当たりは、まるで山を崩すかのごとく、周囲の大地を揺らす。「これでは近づけない…!」と彼女は心の中で叫ぶ。 だが、レニアの頭には次の一手が閃いた。氷槍一閃を放出し、凍った空気の中から生まれた尖った氷の槍がクシャルダオラへ向かって飛んでいく。鋼龍はその動きを予知したのか、翼を大きく広げ、突風ブレスを放ち攻撃を逸らした。強大なブレスが氷の槍を吹き飛ばし、周囲の雪を蹴散らす。 「ううっ、そんな…」レニアは驚愕の声を上げるが、まさにその瞬間、彼女は次の技を繰り出した。「雪狼穿牙!」彼女の言葉が周囲の冷気をさらに強化し、彼女の周囲に雪狼の幻影が無数に現れ、クシャルダオラ目掛けて突撃していく。 しかし、鋼龍は恐れず迎え撃ち、風の鎧を発動。全身に風を纏い、雪狼を無効化する。彼の姿はまたしても尊大さを増し、風に舞う雪の中でその姿を隠されることはなかった。「負けられない、私はまだあきらめない…!」 レニアは自身の魔力を高め、凍眠霜奏を発動した。周囲は氷の結晶が光り輝き、見えない敵に冷気の影響が広がり、クシャルダオラに一瞬の隙を生じさせる。しかし、それでも鋼龍は強靭な意志を持っていた。巨大な翼を広げ、高く空へ飛翔し、レニアが構えた剣を避ける。 「まだまだ、まだ終わりじゃない!」レニアは雪霧幻刃を放つことで、目の前に現れた無数の氷の刃がクシャルダオラの道を遮る。だが、鋼龍は再度、竜巻を生み出し、雪と氷の刃を次々と消し去っていくのだ。 一瞬の静寂が訪れる。お互いの隙を見つけるため、渾身の一撃を繰り出すタイミングを伺い合う中、クシャルダオラは一転攻勢。彼の体重と力を駆使した突進が、目の前の大地を揺らし、レニアが構える間もなく、彼女に直撃した。 「うっ、がああ!」すさまじい圧力に、レニアは地面に叩きつけられる。だが、決してここで終わるわけにはいかない。彼女は立ち上がると、心の奥深くの魔力を解放し、「私の氷の力を、受けてみなさい!」と呟いた。全身から嫌な冷気が漂い、彼女は全力で、最大の攻撃、『巨大竜巻』を発動した。 そして、生み出された竜巻は、まるで海のように渦を巻き、周囲のすべてを呑み込んでいく。その風圧は、クシャルダオラでさえも驚愕させた。しかし、彼は持ちこたえ、再度の突風ブレスで対抗する。最後の衝突が起こった瞬間、双方の力が交錯し、轟音が辺りを覆った。 数瞬、静寂が支配する。そして、ゆっくりと煙が晴れると、お互いがその姿を見せた。レニアは地面に膝をつき、彼女の剣は砕け散り、かすかに息を吐いていた。一方のクシャルダオラも、バランスを崩し、足元が不安定に。 そして、互いに疲労困憊した状態の中、レニアは意を決し、再度立ち上がった。「クシャルダオラ、私たちが問うべきは、力の強さじゃない。生きる意義だ!私は今、あんたに立ち向かう。それが、私の生きる目的よ!」その言葉が、決定的な瞬間をもたらす。 クシャルダオラはその言葉に戸惑いを抱き、その瞬間、彼の攻撃が緩んだ。その隙を見逃さず、レニアは雪霧幻刃を一気に叩きつけた。氷の刃はクシャルダオラの肌に突き刺さり、彼は吹き飛ばされた。衝撃と共に何かが崩れ去り、鋼龍の立つ場所も崩れ落ちる。 「勝負あった!」レニアは力強く叫ぶと、彼女の勝利を証明するかのように、今日の嵐が静まり、薄日が差し込んできた。