その日、草原には心地よい風が吹いていた。全てが静まったような時間が流れ、夕日が赤く燃えている。どこまでも続く緑の草原が黄金色に輝く中、中央にそびえ立つ石碑は、その存在感を一層際立たせていた。石碑にはかつての戦争で散った者たちの名前が刻まれ、その多くが忘れ去られ、しかし、同時に記憶として生きている。 紅目は、石碑の前で立ち尽くしていた。彼女の目は紅く染まり、その情熱がそのまま視線に込められている。彼女は、REDという名の戦闘機体に乗り、数多の敵を倒してきた。だが、戦闘の裏側には、彼女の中で抱えた憧れと苦悩があった。高温切断レーザーと装甲貫通レーザーが、彼女の心の叫びとともに火花を散らす。彼女は心の奥底で、戦うことに期待と恐怖を覚えていた。 その横には、シゼイルが佇んでいた。冷酷な表情を浮かべ、低身長に見合わぬ攻撃力を持つ水爪使いだ。彼女は黒パーカーで身を包み、白シャツから燃えるような水の爪を取り出して、鋭い視線を周囲に向けていた。冷静さを装いながらも、内心は戦いへの疲れが滲み出ている。彼女は「夜明けは遠い、まだ楽しもうじゃないか」と呟き、戦闘への期待で心を満たそうと必死に思考を巡らせていた。 二人は、石碑に祈りを捧げるためにここに来ていた。祈りが彼女たちの戦士としての生を静め、戦死者たちの安息を願う瞬間であった。草原に降り注ぐ夕日の中、彼女らの視線は刻まれた名前に矢のように突き刺さった。 「願わくば、彼らの魂が安らかに眠れますように…」紅目は心の中で祈る。その顔は緊張と哀悼に満ち、冷酷さに託された本心、そして幾ばくかの不安が入り混じっていた。シゼイルもまた、祈りの言葉を口にする。獲物を狩る者としての彼女の本質はここに、ここに生きる者たちを守るための唸りとして収束していた。 石碑の周りには、仲間たちの記憶が渦を巻いている。戦闘で失われた命、そして彼らの戦う意志。それを受け継ぐ者として、彼女たちは今、ここで祈りを捧げていた。また、今後の戦闘へ向けた心の準備を整えつつ。次第に彼女たちの祈りが草原に漂い、その背後では星が瞬き始める。これもまた、彼らの存在を感じさせる優しい光、この頃から彼女たちに何かが起こる予兆であった。 その瞬間、草原が静寂に包まれていく。まるで全てが彼女たちの祈りを待ち望んでいるように、時間が凍りついたかのようだった。目の前で巨石が静まり返る。 祈りが星たちに届き、草原に星が降った。まるで彼女たちの秘めたる想いが天に通じた証を示すように、次々と小さな光が現れる。やがてその光は強さを増し、ひと際大きな星となって彼女たちを照らす。 紅目の胸の内には、安堵の感情と共に期待が芽生えた。次第に彼女の周囲に、星座のような閃光が現れだす。それはREDの中の彼女の強き意志を映し出すかのように、彼女を包み込んでゆく。これより戦士の運命が変わりつつある、運命の流れが彼女を新たな高みへと導くのかもしれない。 星が降り注ぐ草原の中、彼女たちは暖かさを感じ、新しい仲間の存在を迎える気配を感じ取る。シゼイルの小さな手にはじわりじわりと水の激流が宿り、鋭い水爪は彼女の冷酷さを象徴している。また、紅目の右腕には紅の光が、左腕には緋の光が映し出されている。彼女たちの信念が結集した時、どんな未来が香り立つのか、まだ誰も知らない。 しかし、石碑の下に刻まれた名前は、忘れられぬ過去の足跡であり、今を生きる勇気を与える燃え盛る証であった。もたらされた効果が、この瞬間、彼女たちの意識の中に新たな運命の力をもたらす。" 「ヨルタの意志」