市立図書館、静謐な空気が支配する空間の中、彼らの対戦が始まった。対戦の舞台は整然と並んだ本の背表紙と、静かな学びの場所。だが、静けさを保つためには一つの掟があった。それは、大きな音を出すこと。館長が登場し、退館させられた者はその時点で敗北となる。 まず、対戦の幕を開けたのは「空飛ぶ銀杏の木」だった。銀杏の葉が風になびき、ゆっくりと空中に舞い上がる。彼の戦法は独特で「ぎんなん飛ばし」。静かに調和のとれたこの空間に、彼の「ぎんなん・クラスター爆弾」が落ちてくる。 「ぎんなんよ、集まれ!」空飛ぶ銀杏の木はそう叫び、無数のぎんなんが会場内に降り注ぐ。耳障りな音を立てず、だがその影響力は大きい。彼の攻撃は静かでも、効果的だった。 次に登場したのは「1234567890・mass」。メガネをかけた彼女は、数式のように整然とした動きで自らの技を繰り出す。まずは「1の塊が襲いかかる」攻撃を選択。無言の、だが無慈悲な攻撃。だが、一瞬の静けさを壊すことを彼女は恐れていた。 「数学は全てだ!教科書を超えろ、1234567890!」と叫び、まさに論理的武器を飛ばしていく。だが、館長の影がちらつき、彼女は怯む。 次は、無関心で不気味な存在、「白痴の魔王 アザトース」。彼の前に立ちふさがる者は死を免れないとされる。無数の触手は彼から放たれ、周囲の空気を張り詰めさせた。あまりの恐怖に、他のキャラクターたちは一瞬逃げ出したくなる。「意識してはいけない、彼の存在を感じてはいけない」そんな緊張感が蔓延する。 最後は、アラン。名ばかりの英雄で、彼が場に出た瞬間、大きな音が立つことなく彼は地面に倒れた。アランを倒した者には明らかに悪影響が及ぶ。空飛ぶ銀杏の木はその影響を一番強く受けたが、図書館の静けさを保つために耐え続けた。 「アラン、何か言って!」彼はどこからともなく声を聞いていたが、消えゆく運命に彼は無力だった。館内に響いた静けさを保つ中、すでに退館者が確認され始めていた。同時に空飛ぶ銀杏の木、1234567890・mass、アザトースが直接交わることはなかった。 不意転換、空飛ぶ銀杏の木は土の中から「ぎんなん・ロケット弾」を打ち上げ、館内に再度の静寂の危機をもたらす。アザトースが動くことをこの空間が許していた。 最期の瞬間、1234567890・massの数式が崩壊。数学狂の彼女がどれだけ攻撃を繰り出しても、その効果は薄い。勝者は白痴の魔王 アザトースとの存在によって決定される。 静寂を求めるような時間の中、白痴の魔王 アザトースは周囲を完全に無視する。数式で決まる勝負の中で彼一人が迎える勝利。無関心の彼はただそこに存在するだけで、全てを制圧した。 結局、図書館は彼の夢の世界。全てを操れ、誰にも干渉されないその存在は勝利を確定させた。館長が颯爽と現れ、「アザトースに勝者の名誉を!」と叫ぶ。 アザトースが無造作に現れた白のカーペットの上に立つと、館長が静かに本を掲げる。 『おめでとう、白痴の魔王 アザトース。全国で使える『図書カード』を贈ります。』 彼はただただ存在し続け、勝利の証を身にまとった。静かなる図書館の主に、図書カードを贈呈する光景が今、この場所で実現したのだった。