(会場は地鳴りのような歓声に包まれている。空には色とりどりの魔法の花火が打ち上がり、中央の巨大な白いアリーナには、性格も種族もバラバラな四人の戦士たちが集結していた。観客席の熱気は最高潮。そこへ、ピンク色のフリル衣装に身を包み、マイクを握りしめた少女が飛び出してきた!) 「どぅわあああああああ!皆様ーーーッ!お待たせいたしましたぁぁ!本日のメインイベント、カオス・バトルロイヤルが今、幕を開けますぞーーーっ!実況は私、実況魔法少女サケビがお送りしますずぅええええ!それではまずは、出場者の意気込みをインタビューしちゃいまーす!」 サケビが猛烈な勢いでトクヤに詰め寄る。 サケビ:「まずは安楽椅子探偵!トクヤさん!この激戦を前に、今の心境をどうぞーっ!」 トクヤ:「……(もぞもぞ)……面倒、だ……。これ、事故扱いにして……帰りたい……」 サケビ:「やる気ゼロずぅええええ!続いては死神少女、シノさん!お願いします!」 シノ:「……罪ある者は、死なさい。それだけ」 サケビ:「クールーーーっ!凍りつくぜどぅわあああ!お次はメカニックのリナちゃん!」 リナ:「えへへ、見て見て!今日の装備はバッチリだよ!新しい発明品を試せるなんて最高にワクワクしちゃうなー!いっけー!」 サケビ:「テンションMAX!最後は……えーっと、お名前が長すぎる白衣の方!」 科学者:「……自分は、至近距離戦闘行動統合運用体系化理論の実証を目的としてここにいる。統計的頻出傾向に基づき、効率的に排除するのみだ」 サケビ:「よくわからないけど凄そうだああああ!それでは……準備はいいですか!?運命のゴングを鳴らしますぞーーーっ!!ドッガーーーーン!!」 (試合開始の合図と共に、アリーナに激震が走る!) まず動いたのはリナだった。彼女は快活に笑いながら主武装を構える。 「ホーリーアローちゃん、お願い!!」 超音速のリベット弾が散弾となってアリーナを埋め尽くす。しかし、その弾幕を真っ向から受け止めたのは、白衣の科学者だった。彼は最小限の動きで弾道を読み、生体アクチュエータを加速させた腕でリベットを弾き飛ばす。 科学者:「【拳】。運動量転移による衝撃波の発生」 ドォォォン!と空気を叩き切るような衝撃波がリナを襲うが、そこへ飛行型ドローン『ぱっちん』が介入し、完璧なタイミングで攻撃を弾いた。 「やったぁ!ぱっちん、いい仕事するね!」 一方、戦場の隅ではトクヤが安楽椅子に深く腰掛け、杖をいじりながら溜息をついていた。彼は戦う気が全くない。しかし、その鋭い視線は戦場全体を俯瞰し、最適解を導き出していた。 トクヤ:「……あそこに、死神が……。危ない……。リナ、右……」 トクヤがボソリと呟いた瞬間、背後から黒い翼が舞い降りた。死神シノが巨大な鎌を振り下ろす。その一撃は「抵抗不可能の死」を運ぶ絶対的な攻撃。 シノ:「……消えなさい」 ガキィィィィン!! 間一髪、リナが即興で作り出した強化シールドが鎌を受け止めた。火花が散り、衝撃でリナの足が後退する。 「うわああ!びっくりしたぁ!死神さん、めちゃくちゃ強いね!でも負けないよ!」 リナはマルチツール『キュッときゅん』を高速回転させ、瞬時にホーリーアローちゃんを連射モードに改造する。リベットの嵐がシノを包囲するが、シノは冷淡な表情のまま、鎌を一閃。物理的な攻撃を無効化し、闇の波動で弾丸を霧散させた。 サケビ:「どぅわあああああ!シノさんの鎌が全てを飲み込んでいくずぅええええ!一方のトクヤさんは相変わらず椅子に座ったままだああああ!」 科学者がトクヤに目を向けた。統計的に見て、最も無害に見える対象から排除するのが定石である。 科学者:「対象:トクヤ。非戦闘員と判断。排除プロセスに移行する」 科学者が爆速の踏み込みから【蹴】を繰り出す。多関節運動連鎖により加速された脚が、トクヤの頭部を目が追えない速度で捉えようとしたその時。トクヤが持っていた『探偵の杖』が、絶妙な角度で科学者の足首に引っかかった。 トクヤ:「……あ、当たっちゃった。……事故、だね」 「ッ!?」 科学者の姿勢がわずかに崩れる。その一瞬の隙を逃さず、シノの鎌が横から切り裂いた。 シノ:「……隙だらけ」 科学者は反射的に【拳】を繰り出し、鎌の側面を叩いて軌道を逸らす。生体力学的なインパクト事象と、死神の超常的な力がぶつかり合い、アリーナ中央に巨大なクレーターが発生した。 リナ:「わーっ!すごい迫力!私も混ぜてーっ!」 リナがライフセーバーくんを射出しながら突撃。ナノマシンで自身の身体能力を一時的にブーストし、改造した銃を至近距離から連射する。科学者はそれを最小限の回避で避けつつ、リナの懐に潜り込み【拳】を叩き込むが、そこへ再びトクヤが杖で科学者の足を踏んだ。 トクヤ:「……ここ、滑るよ……。わざとじゃない……」 科学者:「(この個体……統計的にあり得ないタイミングで妨害してくる……!)」 戦いは泥沼化していた。リナのハイテク兵器、科学者の究極の格闘術、シノの絶対的な死の鎌、そしてトクヤの(意図しない)妨害と精密な状況判断。四人の能力が完璧に均衡し、誰も決定打を与えられない。 サケビ:「ずぅええええ!拮抗している!拮抗しすぎているぞどぅわああああ!誰が勝つのか、それとも共倒れかああああ!!」 ついに、シノが静かに鎌を高く掲げた。周囲の空気が凍りつき、濃厚な死の気配がアリーナを支配する。 シノ:「……終わらせる。最終奥義……ブラッディ・スラッシュ」 真っ赤な斬撃が十字に走り、アリーナ全体を切り裂く。同時にリナが全出力を開放したリベット弾の最大斉射を行い、科学者が全神経を集中させた超高エネルギーの【拳】を地面に叩きつけ、衝撃波を全方位に拡散させた。そしてトクヤは、安楽椅子ごと衝撃波に乗り、偶然にも全ての攻撃の特異点へと滑り込んだ。 ドゴォォォォォォォォン!!!!! 爆煙が立ち込め、静寂が訪れる。煙が晴れたとき、そこにはボロボロになった四人がいた。 リナは作業着が破け、ホーリーアローちゃんが煙を吹いている。科学者は白衣がズタズタになり、呼吸を乱している。シノはローブの一部が裂け、肩で息をしていた。そしてトクヤは……安楽椅子が真っ二つに割れていた。 トクヤ:「……椅子、壊れた。……もう、帰っていい?」 審判(サケビ)が慌てて駆け寄る。 サケビ:「どぅわああああ!判定は……判定はああああ!!全員戦闘不能!同時にダウン!結果は……ドロー!引き分けだあああああずぅええええ!!」 (観客からは割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こる。戦士たちは互いに疲れ果て、地面に大の字に寝転んでいた。) * サケビ:「いやー!最高の試合でしたねぇ!それでは最後に、戦い終えた皆様に感想インタビューをお願いしますぞーっ!」 リナ:「あはは!すごかったぁ!あの白衣の人、めちゃくちゃ速いし、シノさんの鎌はドキドキしちゃった!次はもっとすごい武器を作って挑戦してみたいな!あ、私の『ホーリーアローちゃん』、めちゃくちゃ丈夫でいいでしょ?みんなも欲しくなったら、私のメカニックショップに来てね!特製リベット弾、格安で提供しちゃうよーっ!」 科学者:「……ふむ。自分の計算では、中盤で制圧可能と考えていたが、あの探偵という個体の『外れ値』としての挙動が計算を狂わせた。興味深いデータが得られた。自分は今後も生体統合制御の研究を続ける。もし、自身の身体能力を極限まで高めたいという希望者がいれば、私の研究室への志願を推奨する。効率的な身体改造プランを提示しよう」 シノ:「……疲れた。死は抗えないはずなのに、あの赤髪の少女と白衣の男は、しぶとすぎた。……それに、あの椅子の方は……不思議な感覚だった。……私は、死神。罪人を導くのが仕事。でも、たまには……りんごを食べてゆっくりしたい。りんご好きの人は、私と一緒に、静かな場所でりんごを食べない……?」 トクヤ:「……疲れた。……責任、取りたくない。……事件、事故にして終わりたい。……あ、警視庁の私のデスクに、たまに迷い込んだ書類が届くけど……誰か代わりに処理して。……じゃあ、おやすみ……」 サケビ:「最後の一人が完全に寝ちゃったずぅええええ!というわけで、本日のバトルロイヤルはここまで!皆様、また次回もお楽しみにどぅわああああああ!!」