戦場には静寂が支配していた。光る星々が夜空に瞬き、月の光は大地を静かに照らしている。その中に二人の戦士が対峙していた。一方はサーヴァ、全宇宙の運命を司るかのような力を持つ者。もう一方は拳、無敵と称される存在でその名は戦場の恐怖として響き渡る。 サーヴァはゆったりとした動作で両手を広げ、その指先からは微かに光を纏う粒子が舞い上がる。彼の髪が軽やかに風になびき、全身から神々しいオーラが立ち上がる。仲間たち、リク、ライヤ、グラン、ベーゼルが周囲に控えている。リクは細身の弓を手に、矢先を拳に向けて構える。ライヤは軽やかに動き回り、敵の視線を引きつける。グランは強固なバリアを生み出し、ベーゼルはサーヴァの傍らを護るように待機している。 「ジャッジメントレイ…」 サーヴァの声が空気を振るわせる。彼は詠唱を始めた。響き渡る言葉は、まるで天からの啓示のように、周囲を包み込む。周りの仲間たちも彼の声に応え、全員が一角に集まり、互いに目を合わせて意思を確認する。彼らはサーヴァの無防備を助けるため、全力を尽くす覚悟だった。 その時、拳が静かに前に出た。彼の内に秘めた無限の魔力が、まるで静かな荒野の荒れ狂う嵐のように心地良い波動を発し、周囲の空気が歪んでいく。拳の目には光が宿り、その名の通り、彼はただ一撃で勝負をつける覚悟を固めていた。彼もまた、サーヴァの無防備な姿を見逃すことなく、全力の一撃を放つ瞬間を待っている。 サーヴァが詠唱を終えると、空の色が急激に変わり、雲が集まり、暗雲が立ちこめる。その瞬間、空の光が反響し、天界から光の柱が降り注いできた。それはサーヴァが放つ【ジャッジメントレイ】の兆しだった。彼の目が輝き、顔には強い決意が宿っている。 「これが…私の全てだ!」 声と共にサーヴァは身体を前に突き出し、光の衝撃は前方に向かって放たれた。天からの光が瞬時に拳に襲いかかり、彼の存在を揺るがそうとする。しかし、拳はその場から一歩も動かない。彼はサーヴァの光に対して、ただ微笑みながら立っている。その微笑みは、どこか残酷な挑発であり、その無防備な姿に怯むことなど無かった。 拳がその巨体から、一撃を振るう瞬間がきた。彼は全身を震わせて力を凝縮させる。動くことなく、ただ意識と意思を一つにし、その一瞬を待ち構える。その姿はまるで、光速すらも斥ける不可避の運命を象徴しているかのようだった。 サーヴァの光が拳を包み込み、まるで触れることもできない圧力が場を支配する。しかし、拳の求めはシンプルだ。彼にとって、この瞬間に込めた思いは「勝利」そのものであり、サーヴァの全力を捻じ伏せる力になる。 「天よ、我が願いを叶えよ!」 サーヴァは天を仰ぎ、全力の光を降らせる。その光は神聖なる力を帯び、敵を一瞬で消滅させる運命の光。しかし、拳はその瞬間、ただの一撃を放つために拳を引いた。 その拳が空気を切り裂くと、空間が歪み、力が放たれる。サーヴァの光に対抗するように、拳の一撃が振り下ろされた。数十メートル先の空間で、サーヴァの光と拳の一撃が、まさに交わる時が来た。 まるで爆発的な衝撃が広がるように、天と大地が共鳴し合う。二つの力が激しくぶつかり合い、眩い光があたりを包む。サーヴァの光はその刹那、拳の一撃により引き裂かれ、不規則に散らばる。周囲にいる仲間たちもその光景に圧倒される。 光の塊が幾つもはじけ、音の壁が破れて、辺り一帯が揺れ動く。周囲が静まる中、二人の戦士はその場に立ち尽くした。拳は足元を見つめ、一撃の余韻を感じながら目を閉じる。一方、サーヴァはそのまま力尽き、膝をつくようにして倒れた。 静寂が戻ると共に、勝者は己の道を進むのだ。拳が立ち上がると、彼の身体がやがて薄らと光を放つ。そのまま彼はサーヴァの方へと向かい、目の前に倒れたサーヴァに穏やかな眼差しを送り、言葉をかける。 「無駄ではない、その光を忘れないでくれ。」 拳の姿が舞台の背景によって溶けていく中で、サーヴァは深い眠りに就いていた。彼に残されたのは、敗北の苦さと、光の中の希望であった。その一瞬の繋がりが、彼の意識の奥深くで輝き続ける。 勝者は拳。