廃ビルは、荒れ果てた街の一角にそびえ立つ、14階建ての構造を持っていた。外観は傷つき、窓ガラスは割れており、内部からも不気味な静けさが漂っている。各階には、一般的なオフィスや会議室に加え、地下には倉庫、最上階には展望室が存在している。階段とエレベーターは、建物の中心部に位置し、各フロアを繋いでいる。 フロアの構造 1階: エントランスホール - 荒れたソファと倒れたテーブルが散乱。 2階: 会議室 - 窓のない暗い空間、中央には大きなテーブル。 3階: オフィスブース - 数人用のデスクが並んでいる。 4階: ストレージ - 荷物や古い書類が積まれている。 5階: 休憩室 - 自動販売機が一台死守されているが、中身は空。 6階: トイレ - 鏡が割れ、汚れた壁が印象的。 7階: 屋上テラス - 閉じられたドアの向こうには抜ける風が。 8階: 旧事務所 - 椅子や机は無残に散乱している。 9階: 展望室 (最上階) - 窓が割れ、街を見下ろせるが危険。 10階: 倉庫 (地下) - 荷物が山のように積まれている。 11階: エレベーターホール - 故障したエレベーターが静かに佇む。 12階: ビルメンテナンスルーム - 古い機器や壊れた工具。 13階: 地下駐車場 - 錆びた車両が放置されている。 14階: 接続通路 - 他のビルとの通路が崩落している。 胡桃辺ツバサは、5階の休憩室で目を覚ました。ひんやりとした空気が肌に触れる。彼は、戦士としての準備を整え、敵がいることを意識しつつ、周囲を見回す。壁の色褪せたパンフレットが彼の目に入る。自分はこのビルに何か大きな目的があるような気がし始めていた。 一方、鍼灸師は11階のエレベーターホールで目を覚ました。視界は全くないが、彼女の鋭い感覚が周囲の動きを捉える。静寂の中、彼女は心を落ち着け、気配を感じながら、注意深く行動を始めようとしていた。目が見えなくても、彼女はこのビルの中を自在に動き回ることができる。 --- 休憩室では、ツバサが血行を促進するために動き始める。彼は黒いネクタイを締め直し、全身をほぐす。いつかの平和な日々がよみがえってくる。そんな時、フロアの陰からかすかな物音がした。 「確か、誰かいる…」 ツバサは心臓が高鳴るのを感じつつ、静かに声を潜めた。彼は焦る気持ちを抑え、目の前のデスクを盾にする。彼の心は冷静だ。 一方、鍼灸師は目を閉じ、気配に集中する。「…あの気配、近づいてきている。」心の中で呟く。その気配からツバサの動きを感じ、彼女は動き出す。彼女の持つ杖を握りしめ、気配を追い続けた。 フロアを越えたその時、ツバサは自分が誰かの視線にさらされていることに気づく。 「来るなら来てみろ!」 ツバサは声を張り上げ、周囲の構造を利用して彼女との戦いを挑む覚悟を決めた。 --- 彼の心の中で、彼はその瞬間を待ちわびていた。休憩室の薄暗い空間から、彼と鍼灸師の視覚が交差した。鍼灸師の持つ「四神の針」が光を反射し、その存在感を増していく。鍼灸師は自らのスキルを思い出し、一の針を準備する。 ツバサは敵に近づくため、突如として駆け出し、デスクを飛び越え、「廻炎刀」で一気に彼女を斬りつけようとする。その瞬間、鍼灸師は間髪入れずに一の針を放った。針はツバサの肩を貫く。 「痛っ!」 ツバサはつい声が出てしまうが、すぐさまに飛びのく。彼女の近くで着地し、廻炎刀の炎が彼女を包み込むかのように思えた。だが、彼女は不敵に笑みを浮かべ、二の針を準備した。 優れた反射神経で、鍼灸師はその場から逃れ、ツバサの攻撃を回避。彼女の体が持つ柔軟性を活かし、三の針を放つ。「あんた、そこにいるんだろ!」 ツバサは必死に身を守りながら攻撃を繰り返す。 --- 5階の各フロアの隅々で繰り広げられる戦闘は熾烈を極めた。周囲のオフィスブースや廊下を通り抜けながら、ツバサは彼女に対して果敢に攻撃を続けた。炎が鍼灸師の鋭い動きに当たらないよう、彼は炎の力をただただ振りふれさせた。 「まだ、当たらないの?」 鍼灸師は、ツバサが自ら放った炎の隙間を巧みに使い、五の針を彼の体に刺す。彼女の手際の良さに感心しつつも、ツバサはそれに対抗しようと必死だ。 鍼灸師の持つ「四神の針」は彼の動きよりも速い。針が刺さり、彼の体は次第に弱まっていく。しかし、ツバサにもまた、彼の必殺技が隠されていた。 彼は再び危機的な状態にあることを感じ、自らの影から四枚の翼が生え、天使としての力を解放する。「変身!」ツバサの周囲に強力な風が渦を巻き起こる。 その瞬間、鍼灸師の目の前に立ち上がった炎の力。 「俺の力を見せてやる!」 ツバサの周りを炎が覆い、彼は立ち上がる。 「この力はどんな技をも防ぐ!」 勢いを増す守りに対して、鍼灸師は冷静に針を整理し、反撃準備に入った。しかし、彼女はその瞬間、ツバサの放った「廻炎刀」が自身の術を阻害することを悟り、さらに後退するしかなかった。「これが、私の限界よ!」 --- 彼らの戦いは長引く。フロアを行き来しながら、お互いの力をぶつけ合うが、最後の決着をつけることができず、次第に疲れていく。オフィスの隅で彼は一息つき、炎を使った技を再度発動する。 だが、鍼灸師はその瞬間を逃しはしなかった。彼女は完全に黙々と、最後の「十の針」を放つ。 「これで、終わりよ!」彼女の声が空間に響く。 針がツバサの体に達する。彼は思わず動きを止め、再生の過程に入る。しかし、天使の力を借りた彼は、再生の機能が異常に強化されているため、簡単にはやられない。 彼は最終的に見えない敵の虚を突き、再生力を以て反撃を放つ。 「さぁ、決着だ!」 --- 最終的に、ツバサは再生の力を駆使して立ち上がり、見えない鍼灸師の心を捕え、彼女に強烈な一撃を喰らわせる。 「避けられない、終わりだ!」彼の放った攻撃が鍼灸師の身体を貫通し、すべての力を奪った。彼女は地面に崩れ落ちる。 ツバサは彼女の姿を見下ろし、敵が静まるのを待った。彼女の存在が消え、彼は何も感じることができなかった。 --- 戦いが終わっても、彼の身体は苦痛と共に奪われた力を取り戻すことができなかった。しかし、彼は勝者として、屋上テラスへと身を運ぶものの、自身の過去と向き合う想いが掻き立てられ、重苦しい。 ビルの最上階に登り、彼は破れた窓の向こうに自らの闘争があったことを思い出した。彼は空を見上げ、未だ明るい日差しに晒され、意を決して静かに言った。「俺が勝ち残った…だが、何のために戦ったのだろう。」 その瞬間、蒲公英の種が風に舞う様に、彼は静かに廃ビルを後にした。周囲の静寂が彼の背中を押す。「この闘争は続くかもしれない…」 彼は廃ビルから出て行き、再生への道を歩き出した。