舞台は戦死した魂がさまよう戦争の跡地。薄暗く、灰色の雲が垂れ込め、荘厳な霊気が漂うその地に、二人の戦士が立ち尽くしていた。一人は無冠の黒騎士、竜骨之黒騎士。黒い重鎧を纏い、兜の奥からは赤い炎が燃え盛っている。その背中には、彼が持つ災滅之黒竜という巨大な剣が閃いていた。もう一人は、静かなる誓いの勇士、如月宗二。黒髪の青年は軽鎧に身を包み、緊張の糸を張り詰めるように立っている。 「ここは何たる場所か…」 竜骨之黒騎士が低い声で囁く。 「過去の戦の残響だ。霊がこの地に縛られ、未だに安息を得ていない。」 思慮深い彼の声には、重みと威厳があった。 「今日はただの戦士が負けるわけにはいかない。仲間の誓いを背負っているからな。」 宗二は前を見据え、戦友たちの影を胸に刻んでいた。彼の存在そのものが仲間の意思を受け継ぐ証であり、何があろうとも倒れるわけにはいかないのだ。 ふと、戦場に晴れた日の光が差し込むと、霊たちが浮遊する様子がゆらめく。 「我を討ち滅ぼすつもりか、勇士よ。」 穏やかな笑みを浮かべる蛍京が、目を閉じたまま存在感を放つ。 「まずは貴様の心を穿つ。見通す、見通してみせよう。」 「来い、蛍京!」 宗二が叫び、ふわりと長剣を持ち上げる。その瞬間、蛍京の前に土煙が舞い上がり、可視化されない針山が彼の足元に形成される。 「天嶽!」 針山が突き刺さる寸前、宗二は微動だにせず。彼は万流の構えへと移行し、冷静に攻撃を躱した。その身のもとに流れる勇敢な血が、彼に余裕を与えたのである。 「ふん、なかなかにやる。」 蛍京の嘲笑を背に受けながら、宗二は再び反撃の構えをとった。 彼の長剣が返す刀で斬りかかる。定まった心で、微妙な角度で軌道修正し、蛍京の攻撃を反らせていく。その瞬間、蛍京の瞳が赤い炎を揺らめかせた。 「心凱。」 この技は、彼が手を伸ばせば相手の魂を呼び寄せ、その存在を一つに取り込む力を持つ。 「お前はもう終わりだ。如月宗二。」 蛍京の言葉と共に、彼の指先からの意志が、深い靄を描き出した。宗二はその影に立ち向かおうとするが、意志の力に飲み込まれていく。 「…だが、立ち止まることはできない!」 宗二は心の奥から湧き上がる戦友たちの声に共鳴し、亡き仲間の願いを支えに不転不倒の誓いを当てる。彼は思わず頬を引き締め、力を込めた。 「仲間の誓いを忘れるものか!」 その瞬間、宗二の体を包む光が昇り、周囲の空気が震えた。彼の気合と共に、死に関する能力を完全に無効化する竜骸之抱擁が発揮されたのだ。 「なに、力を増しているのか…」 蛍京は驚愕しつつも冷静さを失わず、力を集める。 「天心!」 心の目で敵を視通し、続けての奥義を放つが、宗二は躱し、逆に反撃に転じる。「黒き誓いの剣!」 一撃必殺の剣技を持つ彼は、力を込めて一閃を放つ。 「汝は命の途上なれば我が剣にて落命する道理も無し!」 声を列するその瞬間、両者間で衝突が起こった。一瞬の静寂、そして轟音。 蛍京はその大剣の一撃を受け流された。宗二の剣が真っ直ぐ蛍京の心に届いたのだ。 「この一閃に、終止符を打て!」 災滅之黒竜がその威嚇を発するが、宗二はただの意志ではなかった。彼は生の力を誓いの証として放った。 全てを賭けた結果、多数の戦友の存在が彼の頭の中を駆け巡る。「さあ、我の剣…行け!」 最終奥義「命よ平和の礎たれ」を携え、彼は言葉を紡いだ。負けることは許されない。生を賭けたその一撃が、惨劇を終わらせるためのものだからだ。 やがて、彼と蛍京の間に光の柱が立ち昇り、戦友たちの声が響く。「我が剣が天に届く、それが平和の道だ!」 その瞬間、意識がふっと消え、その場で静謐が響いた。 ほのかに薄紫の風に浮かぶ蛍京は、無残に崩れ去る。全てを儚く燃やし尽くした剣が、彼女の戦士の魂を取り込み、静かな恐れと共に消えていく。 その場に立つ如月宗二は、息を切らして立ち尽くしながら、彼の中に宿る戦友たちの声を感じ取っていた。 「やったぞ、仲間のために…」 そこは静寂が支配する地となり、数え切れぬ霊たちが安らかに過去を共に思い出していた。 勝者は、如月宗二。MVPは彼の不屈の意志。