大聖堂の壮大な内部は、暗闇の中に神聖な光が差し込む場所だった。その荘厳な柱の間に、静寂を破るかのように強い殺意が漂っている。枢機卿クリスタが立っており、数メートル先には彼の宿敵、窮知のモモと冥帝ニャデスの二名が待ち構えていた。 クリスタは長剣「懺悔」を手にし、まるで彼の存在がこの場所そのものを圧迫しているかのようであった。穏やかな口調を保つが、視線の先にいるモモに向けられた眼差しは冷酷そのものであった。彼の敵に対する強い殺意は、クリスタ自身の生の一部として存在している。 「君たち、ここで終わりだ。」クリスタの声が響く。彼の言葉は静かであったが、その背後には計り知れない力と高い身体能力が潜んでいることを、誰もが理解していた。 モモは無口で、ただクリスタをじっと見つめていた。その視線の奥には、彼の全身から放たれる情報量に対して瞬時に演算を行い、相手の行動を先読みする力が宿っていた。その姿はまるで何かを計算する機械のようでもあり、見た目の少女らしさとは裏腹に知性と戦術がその小さな身体からにじみ出ていた。 「理解した。じゃあ殴るね。」モモは静かにそう言うと、バットを構えた。彼女の発言に、冥帝ニャデスが力強く笑った。紫色の毛並みを持つ猫人の姿はどこか陽気で、彼の隣にいる相棒の黒猫ダクネスも真剣な様子で周囲を見回している。 「オレたちの力を見せてやるニャ！」ニャデスが高らかに叫ぶ。 戦闘の幕が上がった。モモは先読み能力を武器に、クリスタの動きを見極める。彼女の脳内では、数秒後のクリスタの攻撃パターンが瞬時にシミュレートされていく。彼女が目にするもの全てが、計算に含まれ、彼女が取るべき行動がすぐに割り出される。 一瞬の静寂の後、クリスタは「懺悔」を振り上げ、その刃が空気を切り裂いた。「斬罪」の技が発動した瞬間、彼の周囲にいたはずの敵たちが、次々と切り裂かれていく。 だが、モモはすでに次の行動を把握していた。すばやく体を避け、バットをクリスタの懺悔に向けて振る。「振るね！」モモの声と共にバットがクリスタの剣を叩きつける。 その攻撃は決して軽いものではなかった。モモの全力を込めた一撃が、クリスタの腕に衝撃を与えた。だが、クリスタは簡単には倒れない。力強く懺悔を戻し、勢いを失わずに再度攻撃しようとする。 「聖磔！」クリスタの声には高貴さと冷酷さがあり、周囲に光の十字架が出現した。モモはその瞬間、瞬時にクリスタの意図を読み取った。彼女は一歩後ろに下がり、干渉されることなくバットを振る体制を維持した。 十字架の光が周囲を照らす中、場内が神秘的な雰囲気に包まれたが、モモは動じない。彼女は自分の周囲の状況を判断し、次の行動に移る。モモは体を回して、再びクリスタとの距離を持とうとするが、十字架の光が一瞬彼女を捉えた。痛みが走るものの、彼女はすぐに乗り越えて動き出す。 「とりあえず、動き続けるよ。」彼女は踊るように戦場を自在に駆け回り、クリスタとニャデスの間を行き来した。彼女の動きは速く、どこにでも現れることができ、クリスタは一瞬彼女の存在を見失いかける。 それを見逃さなかったのが冥帝ニャデスだった。「モモ！ここだ！」天真爛漫な声で、彼は鎖を放ち攻撃を仕掛ける。鎖はモモの周囲に入り込み、自由を奪おうと迫ってきた。 だがモモの反応は素早い。彼女は前後の動きを読み、バットで視界を遮るように受け止める。「今のままだと、さすがに危ないよ！」彼女の声は、冥帝に対する警告となった。 クリスタもその動きを無視できない。持ち直した「懺悔」を振り回し、モモに接近する。しかし、モモはすでに彼の行動を先読みし、身をひねって避ける。 瞬時に、クリスタの周囲には迫る圧力が集約され、彼は冷徹な眼差しでその場を支配していた。「聖纏」、クリスタはこれを戦闘終盤で使用し、全身に魔力を纏わせる。彼の身体能力は一層高まり、通常ではあり得ないほどの速さでモモに接近した。 しかし、モモは決して怯まない。彼女は反射神経でクリスタの動きを再度計算し、すぐに逃げ道を見出していた。次の瞬間、彼女はもう一つの選択肢を考える。“これは勝負をかけるしかない”。 モモの脳裏に浮かんだ勝利の確信。彼女は最後の力を振り絞ると、バットをしっかりと握りしめて示す。「さあ、いくよ！」彼女はクリスタの進行方向に肉薄し、バットを思い切り振り上げる。 「聖天！」クリスタは強い光を発し、戦場全体がまばゆい光に包まれた。その瞬間、モモは無防備な隙間を狙ってクリスタを狙い撃つ。彼女の急いだ攻撃は、聖天の光の中でクリスタに直撃。 だが、聖天の影響を受けたクリスタの動きは微動だにしなかった。彼は光の圧力にも動じることなく、逆にその光を利用して素早く周囲を見渡した。 「行動を把握した。逃さない。」クリスタの冷酷さが言葉に乗る。彼はモモの影を捉え、さらに強めた一撃を行おうとする。 一方冥帝ニャデスはモモの体を守るために、護衛の役割に徹していた。「大丈夫だ、モモ。オレがいるから！」彼が出した鎖は、モモにその機会を与え、次なる攻撃の準備を助ける。 「聖纏」によって再び強化されたクリスタが再び迫り来る。彼の動きはより鮮やかに、より迅速であった。 だが、モモはその状況を読み取った。もう一度、彼に接近し、今度は自らの体を犠牲にしてでも防御を試みる。彼女はバットを叩きつけ、クリスタの剣が進撃しないように阻む。 「聖断」クリスタは力をこめ、全身に魔法を纏った懺悔を振り下ろす。シンプルかつ強力な一撃が、ニャデスとモモの前に迫る。それはただの一瞬だった。 閃光の中、クリスタの剣が二人を捉えようとしている。モモは自らを犠牲にするつもりではなく、敢えて決死の覚悟で立ち向かう。「行くよ、モモ！」 彼女の言葉は全てを伝え、瞬時の計算の中で方向が変わる。 だが、実際の戦闘の結果は誰も予測できなかった。全ての動きは、瞬時に訪れ、それに続くのは血の塊。戦場は混乱の中に飲み込まれていく。とにかく、この戦いは摩訶不思議だった。どちらが勝つのか、決して知ることはできない。 戦い終わった後、灰色の思想に沈んだ戦場には、静寂が戻っていた。クリスタは大道に立ち、モモとニャデスの行方を振り返る。どちらの意志も消えて、勝者も敗者も明らかに分からない。 結果は、クリスタと窮知のモモ、冥帝ニャデスの三者による凄絶な戦闘の中、勝敗はつかず、全てが消えていく運命のままにあった。