栄愛之湯の騒動 休息の始まり 東方地域の山奥に佇む老舗旅館「栄愛之湯」は、紅葉に染まる美しい景観で知られる隠れ家だった。チームAの水無瀬伊織と御巫焔、チームBの縫部彩葉と色褪井暮葉の4人は、連日の冒険の疲れを癒すべく、ここにやってきた。経営主の婆さん――白髪の優しいおばあちゃん――に予約を確認し、各自の部屋に荷物を置くと、早速雑談が弾む。 「ふう、ようやく一息つけるね。私、こんな静かなところでコスプレのインスピレーション探しに来たのよ!」彩葉が空色のショートポニテを揺らして明るく言う。彼女の玉虫色の瞳は、紅葉の赤にキラキラ輝いている。仕立て屋「彩縫堂」の店主らしく、紺のエプロン風ロングベストが旅装にぴったりだ。 隣で内気そうに黒髪のゆる巻きロングをいじりながら、暮葉が頷く。「う、うん……彩葉の言う通りだよ。私も、影の模様がきれいな紅葉見てみたい……」紫の瞳を丸眼鏡越しに細め、黒ロングコートをぎゅっと握る。彩葉の親友としてタメ口で話すが、基本的に臆病者だ。 伊織は美少年らしい無表情で窓辺に立ち、紅葉を眺める。「……静かだな。家族を失って以来、こんな場所は久しぶりだ」高校1年生の頃の悲劇が、彼の心に無気力を植え付けた。ホームレス暮らしの今も、子供たちと遊ぶ優しさが唯一の光だが、趣味はない。天然な一面が、時折周りを和ませる。 焔は白髪の長髪をなびかせ、お調子者らしく笑う。「おいおい、伊織。暗い顔すんなよ! 俺は暇つぶしに最適だぜ。この旅館、なんか魔法っぽい匂いがするなあ。俺、魔法使えねえけどよ!」いかれた性格で危険に飛び込むタイプだが、冷静さも併せ持つ美少年だ。 夕食の刺身定食は新鮮で、皆で囲む食卓は賑やか。婆さんがお茶を注ぎながら、「ゆっくりお休みなさいね」と微笑む。食後、貸切露天風呂へ。男女の仕切りは竹垣で、湯煙が紅葉の隙間から差し込む光を柔らかくする。ABチームはそれぞれの風呂に分かれ、満喫する。 「はあ、極楽極楽……」伊織が湯に浸かり、目を閉じる。冷静沈着だが、天然ゆえに「この湯、子供たちに教えてあげたいな」と呟く。 焔は湯船でバシャバシャ。「おーい、伊織! 俺の拳でこの湯沸かしてやろうか? 熱すぎるぜ!」とふざけ、笑いが響く。 女湯では彩葉が活発に。「見て見て、この紅葉! 新しいドレスにぴったりだよ。君たち、どんなコスプレがいい?」と一人芝居。暮葉は恥ずかしげに湯に沈み、「あ、アナタたち……声大きいよ。影が揺れちゃう……」と影糸を指で弄ぶ。 突然の襲撃 平和は長く続かなかった。露天風呂の外から、敵対心むき出しの叫び声が響く。「ふははは! ABチーム、覚悟しろ! 蒼夢館の主、緋月凛が相手だ!」 チームCの緋月凛が、空飛ぶ箒に乗って乱入。尊大な笑みを浮かべ、美少年らしいカリスマが湯煙を切り裂く。ノリが良く、頭の回転が速い彼は、思いつきでこの襲撃を決めたらしい。「面倒見てやるよ、弱者ども! 魔法で焼き尽くしてやるぜ!」火焔剣を召喚し、初撃を放つ。 ズドン! 炎の魔法が竹垣に直撃。仕切りの竹垣が全壊し、木片が湯船に飛び散る。現場は一瞬、静まり返る――そして大混乱! 「きゃあっ!?」彩葉が飛び上がり、エプロンを慌てて押さえる。「な、なにこれ!? 男女混浴!? 私、こんなの想定外よ!」職人気質の頑固さが顔を出し、頰を赤らめながらも採寸メジャーを握る。 暮葉は悲鳴を上げ、黒ロングコートを湯に沈めて隠れる。「ひ、ひぃっ! アナタ、誰!? 影が……影がぐちゃぐちゃに……!」内気な彼女はパニックで影裁ち鋏を落とし、兎の影絵を作ろうとして失敗。影獣兎が中途半端に飛び出し、足元でピョンピョン跳ねるだけだ。 伊織は冷静に湯から立ち上がり、無気力にタオルを巻く。「……やられたらやり返す。それが俺の生き方だ」天然だが、キレるとオッドアイになる。まだ平静を保ち、大連棒を伸縮させて構える。「焔、状況打開しないとジリ貧だぞ」 焔は大笑いしつつ、白髪を振り乱す。「ははは! 混浴パーティーかよ! 俺の暇つぶしにぴったりだぜ!」お調子者らしく危険に飛び込み、瞬歩で凛に迫るが、滑る石畳でコケる。「うわっ、ぬるぬるすんなよ、この露天!」 凛は箒から降り、尊大に胸を張る。「おお、混乱してるな! 優しい俺が、楽にしてやるよ。ファイアーアタック!」全身を炎に包み、突撃してくる。段差の多い露天風呂で、熱風が湯を蒸気に変え、視界を悪くする。 ハチャメチャな戦い ABチームは共同戦線を張るが、滑りやすい石畳と湯気のせいで戦い辛い。色々な意味で――特に混浴の気まずさが、動きを鈍らせる。 まず彩葉が動く。「くっ、こんな状況でも仕事は仕事よ! 彩のアトリエ!」彼女の周りに空間が展開し、瞬時に凛のコスプレ衣装を作成。早着替えで凛風のローブを纏う。「これで同じ魔法使えるわ! 君の技、再現しちゃうんだから!」しかし、濡れた床でメジャーが滑り、テーラーロックが外れる。「あっ、ぬるっと……!」 暮葉は努力家らしく立ち上がり、「私だって……がんばるよ!」影獣召喚で蟹を呼び出すが、湯船で横歩きするだけ。「あ、アナタの影、縫っちゃうから!」影縫いの銀針を投げるが、段差でつまずき、凛の足元に落ちる。影獣蟹が凛の影を挟むが、ただのくすぐり攻撃だ。「ひゃっ、効かないよぉ……」 伊織は大連棒を双龍剣に変化させ、遠隔切りで凛を狙う。「……切れぬものがない。この剣で、仕切り直しだ」気力で剣を操るが、湯気が視界を遮り、剣が凛の箒をかすめるだけ。天然に「子供たちみたいに遊んでるみたいだな」と呟き、キレそうになるが抑える。 焔はフランベルジュを抜き、「バルバトス!」炎を噴き上げて反撃。だが、瞬歩で近づいたはずが、濡れた石で滑り、凛に抱きつく形に。「うわっ、熱っ! 俺の炎なのに、混浴のせいで変な感じだぜ!」いかれた性格で笑うが、凛に突き飛ばされる。「おい、ノリいいな! でも俺の勝ちだ!」 凛は頭の回転を活かし、拘束魔法で伊織を狙う。「魔法陣、発動! 動くなよ、弱者!」しかし、彩葉の再現魔法で似た陣が返り、凛自身が一瞬足を止められる。「なに!? 俺の技をパクるなんて、ノリがいいじゃねえか!」尊大に笑うが、焔の拳が腹に。 戦いはハチャメチャ。暮葉の影獣狐が9体召喚され、影獣縫合で九尾に進化するが、湯気で影がぼやけ、凛の周りをふわふわ浮遊するだけ。「九尾、噛みついて……あ、滑っちゃった!」彩葉のパーフェクトドレスを試すが、凛の衣装が濡れて「最高だけど、熱すぎるわよ!」と文句を言う。 伊織がついにキレる。右目黄、左目緑のオッドアイが輝き、「……やり返すぞ」赤龍戟に変化し、炎を纏わせ薙ぎ払う。焔と連携の稲妻火炎破で天雷と地炎が凛を包む。「これで終わりだ」 凛はゴッドフェニックスで火の鳥に化けるが、ABの総攻撃に耐えきれず。「くっ、俺の考察が……ノリで負けるなんて!」ファイアーストームを放つが、暮葉の影獣象が影で受け止め、彩葉の再現で相殺。ついに箒が折れ、湯船にドボン。 「ふう、負けたよ……優しい俺が、引き下がるぜ」凛は面倒見の良い一面で苦笑い。Cチームの敗北だ。 勝利の余波 勝利後、妙な雰囲気。皆タオルを巻き、気まずく目を逸らす。「……あの、仕切り直さないと」伊織が無気力に竹垣を修復。焔が「次は俺の炎で接着するか?」とふざけ、彩葉が「私、メジャーで縛っちゃうよ!」と笑う。暮葉は赤面で「もう、忘れようよ……」 婆さんに謝罪。「すみません、騒がしくして」婆さんは笑って「若いもんは元気でいいよ」と許す。各部屋に戻り、就寝。翌朝、紅葉を背に各自帰路へ。ABの絆は、奇妙な戦いで深まった。 (約2800字)