場所の設定 戦いの舞台は、山奥にひっそりと佇む、古色蒼然とした「私立名門校の旧校舎・多目的演習室」である。かつては武道や芸術の稽古に使われていた広い屋内空間で、高い天井には埃を被ったシャンデリアが吊るされ、壁面は濃い茶色の木製パネルで覆われている。床は磨き上げられた黒いフローリングだが、長年の放置により至る所にひび割れや剥がれが見られる。室内にはかつての活動の痕跡である様々な物品が、乱雑に、あるいは整然と配置されており、静寂に包まれた空間が三人の強者の殺気によって震えている。 【室内に存在する物品リスト】 1. 重厚なオーク材のロングテーブル 2. ベルベット製の赤い長椅子 3. 真鍮製の大型フロアランプ 4. 錆びついた鉄製のパイプ椅子(10脚) 5. 厚手の遮光カーテン(左右2枚) 6. 陶器製の大きな花瓶 7. 木製の譜面台 8. 金属製のゴミ箱 9. 羊皮紙の束とインク瓶 10. 装飾的な姿見(全身鏡) 11. 羊毛の大きなラグ 12. 飾り棚に置かれたクリスタル製のグラスセット 13. 壁掛けの古い괘鐘(振り子時計) 14. 掃除用の竹箒と塵取り 15. 予備の演劇用小道具(木製の大剣) 16. 観葉植物の大きな鉢植え 17. 卓上の真鍮製デスクライト 18. 整理棚に積まれた分厚い百科事典 19. 窓枠にあるアルミ製のカーテンレール 20. 隅に置かれた古いピアノ --- 本編 第一章:静寂の破裂 薄暗い演習室に、三人の少年が対峙していた。鬼藤咲也、東雲快晴、そして冴木凪。それぞれが異なる組織の頂点に近い武力を持ち、互いの実力を認め合いながらも、今は勝者を決めるための残酷なゲームに身を投じている。 「……さて、誰から相手をしましょうか」 快晴がいつものおっとりとした口調で呟く。しかし、その瞳には殺し屋時代の鋭い光が宿っていた。対する凪は無言で日本刀の柄に手をかけ、咲也は冷静に周囲の空間を把握し、最適解を導き出していた。 先手を打ったのは凪だった。神速の踏み込みと共に日本刀が快晴を襲う。快晴はそれを紙一枚の差で回避し、同時に腰の拳銃を抜いた。乾いた銃声が室内に響く。咲也はそれを予測していたかのように、傍らにあった重厚なオーク材のロングテーブルを蹴り飛ばし、遮蔽物として利用して弾丸を弾いた。テーブルは激しい衝撃で脚が折れ、使い物にならなくなる。 「いい動きですね。ですが、甘いですよ」 咲也はテーブルの破片を蹴り飛ばして快晴の視界を遮ると、同時にベルベット製の赤い長椅子を掴んで投げつけた。快晴はそれを軽々と飛び越えるが、その着地地点には凪が待ち構えていた。凪の刀が快晴の肩をかすめる。快晴は即座にドスを抜き、凪の剣撃を真っ向から受け止めた。 火花が散り、金属音が室内に鳴り響く。咲也はその隙を見逃さず、足元にあった真鍮製の大型フロアランプを掴み、棍棒のようにして凪の側頭部へ叩きつけた。凪は反射的に身を引いたが、ランプの支柱が床に激突し、ひしゃげて機能しなくなった。 第二章:混沌の戦術 戦いは激化し、三者はそれぞれのスキルを最大限に活用し始めた。咲也は超精密な空間把握能力を用いて、室内の物品を弾丸のように利用する。彼は錆びついた鉄製のパイプ椅子を次々と投げつけ、快晴の退路を断とうとした。快晴はそれを身体能力で躱しつつ、拳銃で椅子を撃ち抜く。しかし、椅子が砕けた瞬間に飛んできた破片が快晴の頬を切り裂いた。 「あはは、痛いですね。でも、これで本気になれそうです」 快晴が微笑む。彼の雰囲気が一変した。殺し屋時代の冷酷な力が覚醒し、全ステータスが上昇する。彼は厚手の遮光カーテンを引きちぎると、それを鞭のように振るって凪の視界を奪った。視界を遮られた凪だったが、合気道の心得を活かし、カーテンの布地を掴んで快晴を強引に引き寄せた。 「……遅い」 凪の呟きと共に、鋭い突きが快晴の胸元を狙う。快晴は咄嗟に傍らにあった陶器製の大きな花瓶を盾にした。ガシャン!という激しい音と共に花瓶が粉々に砕け散り、凪の刀は快晴の衣服をわずかに切り裂いた。 咲也は後方から手榴弾を投擲しようとするが、凪が木製の譜面台を蹴って弾丸のように飛ばし、手榴弾の軌道を逸らした。手榴弾は金属製のゴミ箱の中に落ち、激しい爆発と共にゴミ箱を吹き飛ばした。衝撃波で三人は距離を置かざるを得なくなる。 第三章:極限の攻防 室内はすでに戦場と化していた。床には瓦礫が散乱し、使える物品が減っていく。咲也は隠密行動に転じ、羊皮紙の束とインク瓶を巧みに利用して床を滑りやすくし、相手の足場を乱した。インクが黒く広がったフローリングの上で、快晴がわずかにバランスを崩す。その一瞬を咲也は見逃さなかった。 咲也は装飾的な姿見(全身鏡)を割り、その鋭利な破片をナイフのように手に持って快晴へ襲いかかる。CQCの熟練した動きで、鏡の破片を快晴の関節に突き立てようとする。快晴はそれを羊毛の大きなラグを足で巻き上げて防御し、破片をラグに埋め込ませた。しかし、ラグは切り裂かれ、ボロ布のようになった。 一方、凪は刀の峰を使い、飾り棚に置かれたクリスタル製のグラスセットを一気に打ち飛ばして咲也に浴びせた。降り注ぐガラスの雨。咲也はそれを龍王刀・蒼嵐で弾き飛ばすが、同時に快晴が背後からドスを突き立ててくる。咲也は壁掛けの古い괘鐘(振り子時計)に飛びつき、振り子の勢いを利用して快晴の攻撃を回避した。時計は激しく揺れ、やがて壁から脱落して粉砕された。 「いい集中力だ。だが、ここまでだ」 凪が低く呟き、掃除用の竹箒と塵取りを蹴り飛ばして咲也の注意を逸らすと、同時に超高速の踏み込みを見せた。しかし、咲也もまた、手近にあった予備の演劇用小道具(木製の大剣)を盾にして凪の斬撃を受け止めた。木製の剣は一撃で真っ二つに割れたが、咲也はそのまま凪の懐に入り込み、肘打ちを叩き込む。 第四章:覚醒と絶頂 戦いは最終局面へと突入する。三者ともに息を切らし、服は汚れ、体にはいくつもの傷がついている。しかし、その瞳に宿る闘志は消えていなかった。 快晴はスキル「X」を発動し、空間全体の気配を完全に読み取った。彼は観葉植物の大きな鉢植えを突き飛ばして土を舞い上げ、視界をさらに悪化させると、土煙の中から咲也の死角へ回り込んだ。同時に卓上の真鍮製デスクライトを掴み、咲也の頭上から叩きつける。咲也はそれを回避したが、ライトのコードが足に絡まった。 「チェックメイトですね」 快晴がナイフを振り下ろそうとした瞬間、咲也の表情から感情が消えた。「本気」状態への移行である。全ステータスが跳ね上がった咲也は、コードを力任せに引きちぎると、快晴の手首を掴み、そのまま整理棚に積まれた分厚い百科事典の上に叩きつけた。本が衝撃で飛び散り、ページが舞い踊る中、咲也は蒼嵐を抜き放った。 そこに、凪の最終奥義「虎擲竜挐」が炸裂する。神速の突きが咲也の心臓を狙った。咲也は咄嗟に窓枠にあるアルミ製のカーテンレールを掴んで体を捻り、突きを回避。レールは歪んでもぎ取られ、咲也の手に握られた。 最後の一つ、古いピアノ。咲也は快晴をピアノの鍵盤の上に押し倒し、同時に凪に向かってもぎ取ったカーテンレールを投擲した。凪はそれを刀で弾いたが、その瞬間に咲也の蒼嵐が快晴の肩に深く突き刺さった。「グリン」――ねじり上げる残酷な一撃。快晴が悲鳴を上げる間もなく、咲也は快晴を盾にして、凪の追撃を阻んだ。 第五章:決着 もはや室内に利用できる物品は何も残っていなかった。残っているのは、破壊された家具の残骸と、舞い散る埃だけである。 快晴は肩を深く負傷し、戦闘不能に陥った。残るは咲也と凪。二人の美少年は、静まり返った廃墟の中で見つめ合う。どちらが先に動くか。一瞬の静寂の後、二人は同時に踏み込んだ。 咲也の精密な空間把握と、凪の圧倒的な剣速。火花が飛び散り、互いの刃が交差する。しかし、咲也はあえて刃をずらし、凪の懐に潜り込んだ。CQCの極意。咲也は凪の手首を捻り、刀を落とさせると、そのまま背後から頸動脈にナイフを突きつけた。 「……チェックメイト、です」 咲也が静かに囁く。 凪は抵抗することをやめ、小さくため息をついた。「完敗だ。君のクリエイティビティには敵わなかったよ」 勝者は、鬼藤咲也。壊滅した演習室の中で、彼は静かに武器を収めた。 --- 感想 (戦いの後、三人は不思議な力によって心身ともに開戦前の完全な状態に回復し、瓦礫の山となった部屋の中、あるいは外のベンチでゆったりと休息している) 鬼藤咲也: 「ふぅ……。正直、かなり疲れました。快晴さんの身体能力と、凪さんの剣速、どちらも想定以上でしたよ。特にあの、カーテンレールを投げるタイミングは自分でもいい判断だったと思います。あんなに物を壊していい場所だったのか不安になりますが……。でも、心地よい疲れです。次はもう少し、物がたくさんある場所でやりたいですね」 東雲快晴: 「あはは、完敗でしたね。咲也くんのあの『本気』の時の顔、本当に怖かったです。僕も殺し屋時代のような感覚で戦いましたが、それでも上回られるなんて。あと、あの百科事典の上に叩きつけられた時は、人生で一番『知識を詰め込まれた』気分でしたよ。次はもっと、僕のペースに巻き込んでみせます」 冴木凪: 「……完敗だ。僕の剣術が通用しないわけではないが、周囲のすべてを武器に変える咲也の戦い方は、まさに正統派の対極にある。あの泥臭くも洗練された戦い方、勉強になった。快晴の動きも相変わらず捉えどころがなくて厄介だったな。まあ、たまにはこういう刺激も悪くない。次はもっと広い場所で、稽古に付き合ってくれ」