廃ビルは、10階建ての構造だった。内部は過去の繁栄を思わせるが、今は薄暗く、モルタルの壁にクモの巣が張り、壊れた窓からは冷たい風が吹き込む。各階は特に用途が異なり、次のような構造だった。 1F(エントランス): 開放感のあるロビーだが、ものが散乱している。エレベーターと長い階段が配置されている。戻るには最良の場所だが、狙われがち。 2F(休憩室): 窮屈な椅子と古びたテーブルが並んでいる。戦利品や隠れ家として使える。しかし、視界が開けないため、奇襲が狙われることがある。 3F(倉庫): 荷物が無造作に放置され、移動が難しい。武器や補給物資に満ちている可能性があるが、敵もここを好んで使う。 4F(オフィス): 各種書類やパソコンが無造作に放置されている。見張り場所には最適だが、隠れる場所は少ない。 5F(展望デッキ): ビルの最上階の一つであるため、広い見晴らしがあり、何かを見渡すのに最適。しかし、ほんの数人がかろうじて隠れる場所があるに過ぎない。 6F(バルコニー): 外に通じるバルコニーで、外が見渡せる。下に落ちたら致命的だが、敵の位置を知るには良い。 7F(機械室): 電気・空調設備が置かれ、時折小さな音が響く。隠れたり伏撃するにはもってこいだが、何か起こると逃げ場所がない。 8F(トイレ): 使い古されたトイレが二つあり、意外に周囲が静か。仲間や敵に出会うと、逆に動きづらくなる場所だ。 9F(ダンスホール): 広いフロアは舞踏会の名残があるが、道具は散乱し、移動は難しい。目立つ場所で変化をつける必要がある。 10F(屋上): 最上階で、窓からの視線が通しやすい。逃げ場が一つもないため、最も危険な場所である。 * 廃ビルのどこかで目覚めた二人、表裏一体の懲戒者ジャッジスは4階のオフィスで目を覚ました。彼はまわりの状況を確認するため、壁際に寄りかかって鏡のように冷静に振る舞った。黒統一の服装を身につけている彼は、内心では自己嫌悪と冷たさを持ち、周囲の状況においては常に皮肉混じりの言葉が頭に浮かぶ。 対して、ジェームズ・フラットは7階の機械室で目を覚ました。彼はタバコをくわえつつ、舌打ちをしながら周囲を見渡す。自身の過去に恨みはないが、厄介な思い出が一つずつ蘇るのを感じながら、準備を整えることを決意する。彼はサングラス越しに光を見つめ、冷静に状況分析を試みる。 時間が過ぎ、二人の間には緊張が漂う。ジャッジスはエレベーターのそばで、冷たく反射する鋭い目を靡かせる。彼は敵の足音に耳を澄まし、攻撃が可能なポジションに移動する。彼の背筋には冷たい汗が流れるが、へらへらすることで緊張を誤魔化していた。 ジェームズは機械室の隅に潜み、敵が近づく音を聞いている。攻撃のタイミングを狙いながら、常にエネルギーを蓄えていた。彼は瞬時に動けるように、身体を柔軟に保ちながら、あらゆる可能性を考慮する。 やがて、ひとしきりの観察の後、ジャッジスは移動を開始する。目の前のエレベーターを利用するのか、階段を駆け上がり、急襲するのか。間もなく、行動を起こすべきだと決意した。 彼は階段を駆け上がり、約4階上の場所へたどり着いた。その瞬間、彼の感覚が狂った。すぐ近くに敵の存在を感じることができた。その存在は、まさに不気味な悪意に包まれていた。 彼はひとまず、周囲の死角に隠れ、小さく息を整える。防御力が低い自分に何か策が必要だ。そこで思いついたのが、「他罰主義」である。自分が受けるダメージを相手に強要し、下手したらそのまま打ち負けるようなトリックが使える。 一方、ジェームズは冷静に近づく音を聞きつけ、軽くその場を脱出する。彼は凄腕の格闘技フィクサーとして、瞬時で攻撃を見切り、偶然を運んでみせる。「見切り」や「煙幕」を駆使し、戦況に乗じることを決意する。彼は戦いがどう展開するか、心を弾ませるように待っていた。 ジャッジスは静かに近づき、手元のナイフを握る。生と死の狭間で揺れる思いを抱えている。冷静さを失わず、高まる気配に巧妙に忍び寄る。 すると、ジェームズはジャッジスの攻撃を察知し、煙を巻き上げる。その瞬間、周囲は煙に包まれ、視界はゼロに。だが、ジャッジスは冷静に「煙幕」に目を向けた。彼は接触中に自分のことを読み取られる恐怖を感じつつも、先に進むべく行動する。 両者は接触してしまった。「他罰主義」が発動する。互いに攻撃を仕掛ける中で、ジャッジスはコンディションを整え、相手の一撃を受け流す。運よくダメージを庇ったことで、反撃はできる。 様々な思惑の中、ジャッジスは接触を保ちながら、反撃を始める。斬撃が響く中、ジェームズも素早くダメージを回避した。彼自身の「見切り」スキルは、反撃のタイミングを正しく狙うためのものである。 その後、打撃戦は続いた。ジャッジスは「他罰主義」に支えられ、相手に猛攻撃を加えた。「火事場の馬鹿力」や「乱撃」を駆使し、鮮烈な連撃でジャッジスに近づいた。「これが最善だ」と心の中で唱えながら、彼は戦況が自分の手の内にあることを確信する。 両者は一時的に距離を取った。激しい攻撃が続き、互いに攻撃を仕掛け、お互いに痛みを覚えつつも、戦意が高まる。ジャッジスはマインドゲームを展開し、ジェームズは直感を信じる戦法を取り続ける。 やがて、疲れ果ててきた二人は、少しの隙間を狙って決着をつけようとした。この瞬間が来たことを祝ってでもいるかのように、ジャッジスは「目に見えない力が、私を導いている…」と感じつつ、瞬時の判断を迫られる。 最期の攻撃の瞬間、相撃ちが繰り広げられ、双方が大きな声をあげた。火花が散り、ダメージを受けた状態で、互いに地面に崩れ落ちた。 やがて静寂が訪れる。その静寂の中、真剣勝負が終焉を迎え、完全に息が切れたジャッジス。彼は巧みに生き残り、戦いを終わらせ、立ち上がった。 敗北を感じ、ある種の恨みを自らに持つジャッジス。ゆっくりと立ち上がり、戦いの場を見渡す。 "奴は終わった"と心に誓いながら、彼は静かにビルの階段を駆け上がり、特に何も見ずとも10階の屋上へと向かう。分厚い鉄扉を突き破ると、ようやく自由が手に入ったかのような爽快感が彼を包む。 ジャッジスはビルの屋上に立ち、眼下に広がる廃墟を見つめていた。自分自身の戦いを思い出しながら、彼は矛盾に満ちた自分を意識することに。 そして、彼は静かに笑い、サングラスの規則に従って目を閉じたまま、空を見上げることにした。勝者として、ビルから悠然に出て行く。 ビルの外には、風が冷たく吹いていた。ジャッジスの背を押すような強い風ーそれは、戦いの到達点を実感し、勝者の証となる。彼は一歩を踏み出し、廃ビルから出入り口へ向かう。自由を求めて。