アルナンテ王国の美しい城の中、白い壁に囲まれた庭で、セナとエリスの物語は始まった。セナはルミナス騎士団の騎士団長として若くして名を馳せていた。彼女の剣技とその努力は周りからの尊敬を集めていたが、彼女自身は控えめで自分の成果を誇ることは決してなかった。 一方、王女エリスは、そんなセナに心を寄せる特別な存在だった。エリスは幼い頃から王宮で慎ましい生活をしていたが、自由奔放な性格と悪戯好きな面を持っており、外の世界に憧れを抱いていた。ある日、彼女はセナの剣の舞を見る機会を得た。それは、王国の祭りの一環で行われた武道大会の一幕だった。 セナが盾を持ち、三対一の戦いに挑んでいる姿を目の当たりにしたエリスは、彼女の力強さと美しさに圧倒され、心が奪われてしまった。武器を巧みに扱う彼女の姿は、決して女性らしいと呼ばれることのないものであったが、エリスにとってそれは特別な魅力に映った。「私も、いつかセナのようになれたら……」彼女はそう思った。 その日から、エリスはセナに近づくために、様々な方法で接触を試みた。最初は小さな悪戯から始まった。セナの前を通り過ぎるときに、軽く足を引っかけてみたり、セナが目を離した隙に彼女の剣をつっついてみたり。最初はその全てがセナに気づかれるはずもなかったが、次第に彼女の心に興味を持ち始めるきっかけとなった。 ある日、王宮の庭でエリスがセナに近づいた。「ねぇ、セナ。私も剣を学びたいの!」と無邪気に言った。これは彼女の意図した悪戯ではなく、本心からの願いだった。セナは微笑みを浮かべて答えた。「お嬢様、それは危険です。まだお年頃ですから、無理はしない方が…」 エリスはその返事にがっかりしたが、真剣な眼差しでセナを見つめて、「でも、私は王女だから、特別に教えてくれるよね?」と言った。この言葉がセナの心に響いたようだった。毎日少しずつ剣の腕を磨いていくための練習が始まり、セナは彼女の護衛だけでなく、師匠としてもその時間を捧げることになった。 そのトレーニングの中で、エリスはセナの姿勢や心意気にますます惹かれていった。セナもまた、エリスの真剣な姿勢、時折見せる無邪気な笑顔、そして自分に対する好意を感じていた。2人の心の距離は徐々に縮まり、互いに大切な存在となっていった。彼女たちの間に新たな感情が芽生えたのは、王女の悪戯心や騎士団長の努力だけではなかった。それは、守るべき相手への強い信頼と愛情でした。 そんなある日のこと、王国の護衛を終えて疲れたセナが王女の部屋を訪れると、エリスが明るい笑顔で待っていた。「セナ、今日は私が特別にお茶を入れてあげる。」と言って、彼女は一生懸命お茶を入れ始めた。その姿勢があまりにも愛らしく、セナはつい微笑まずにはいられなかった。エリスが自分のために何かをする、その事実が嬉しかったのだ。 こうして、セナとエリスの関係は深まり続け、彼女たちの心の中には、一歩踏み込んだ特別な絆が築かれていった。 月日が流れ、王女エリスがまだ若い16歳の夏、アルナンテ王国での彼女たちのデートが訪れることになる。 --- その日、セナとエリスは王国の美しい庭を離れ、海辺のビーチへ向かった。青い海と白い砂浜に包まれたその場所で、2人はいつもとは違った時間を過ごすことを楽しみにしていた。エリスは足元の砂を感じ、セナの手を引いて、ビーチへと駆け出した。 「セナ、早く! まだ泳いでないよ!」エリスの声が響いた。セナは少し笑いながらも、彼女の後を追っていく。「お嬢様、あまり無理をしないでください。」セナはストッパーになりたかったが、エリスの無邪気な笑顔には逆らえなかった。 波が穏やかに寄せては返すビーチ、エリスはセナの手を強く握りしめていた。不安を感じることなく、彼女の側にいることができるのが嬉しい。エリスは波の足元まで近づき、足を海水に浸ける。その瞬間、波が彼女の足をくすぐり、思わず笑い声をあげた。「セナ、冷たい! もっと近くで入ろうよ!」 「ちょっと待ってください、お嬢様!」セナは急いで彼女を追いかけ、自分も波の中へと足を入れた。2人は笑い合いながら、波と戯れる時間が続いた。エリスは至福の笑顔で、セナの目をじっと見つめる。「ねぇ、もっと近くに来て、一緒に遊びましょう。」 「はい、お嬢様。気をつけますよ!」セナは何度もきた波に押されながらも、エリスの片手を繋ぎ、引き寄せた。 その瞬間、思いがけずエリスはセナの胸に飛び込むように倒れ込み、2人は一つの波の中に沈んだ。セナは慌てて手を差し伸べた。「お嬢様、大丈夫ですか?」 エリスは艶やかな白ドレスを白い砂の中にひっかけて、無邪気に笑いながら顔を水から出す。「大丈夫! それより、セナの顔が水に浸かってたのが面白かった!」 セナは照れくささとともに安堵し、その後エリスを助け起こした。「気をつけてください、本当に。」エリスはセナに向けて嬉しそうな目を向け、「だって、セナがいるからこそここにいるんだもん。」と小声で呟いた。 エリスはセナの手を握りしめ、そのまま砂浜へと歩き出す。“この瞬間がずっと続けばいいのに”と、思わずその瞬間を大切に願った。彼女の心はセナのことを考えるだけで満たされ、愛おしさそのものになっていた。 セナはエリスとの時間に幸せを感じつつ、心のどこかで彼女を守らなければという使命感と責任感で胸がいっぱいになった。 ビーチで過ごす時間が進む中、セナはエリスの横でリラックスし、互いに近くで隣に並び、ゆったりとした瞬間を味わっていった。手をつなぐセナの心とは裏腹に、エリスの心は彼女の愛によって満たされ、波の音を聞きながら、とうとうセナに向けて小さく告げた。「すごく大好きだよ、セナ…」 その言葉にセナは驚いたものの、目と目が交わり、微笑が交差した。エリスの直球な告白に戸惑いながらも、セナはその感情を受け止めた。「私も…お嬢様のことが大好きです。」 その瞬間、セナはエリスの手を軽く引き寄せて、自らの唇を彼女の額に優しく寄せる。エリスは頬を赤らめ、二人の距離がますます近くなった。再びエリスを見つめると、二人の間に静かな愛情の空気が生まれた。 セナは進み続ける海の音をバックにして、エリスに向かって言った。「これからも、あなたを守り続けます。心配いりません。どんな時も、一緒にいましょう。」 そして、エリスはその言葉に大きく頷き、何も言わず、セナの手をしっかりと握り返した。こうして、2人はこの日、ビーチでお互いの愛を再確認し、深い絆を感じる時間を過ごすことになった。 立ち並ぶ青空の下で、彼女たちの夏の物語が新たに始まった。