彼岸と此岸の狭間。空は曇り気味で、その間に漂う靄は淡い紫と灰色が交じり合った不気味な色合いを呈していた。染乃井桜は、桜色の和装を纏い、静かに佇んでいた。彼女の手に握られているのは、桜刀「小菊一文字薄墨」。その刀身は、まるで花びらが舞い散るような美しさを持っていた。彼女はこの場に何かを感じていた。心の奥底に響く不安。しかし、彼女は逃げたりしない。 対する楓嵐は、赤く染まった刀「華嵐」を手にしていた。彼女の冷静で浮世離れした姿勢は、どこか悪戯めいた微笑みを顔に浮かべる。曖昧に光る目は、染乃井桜をじっと見つめていた。まるで、この戦いが避けられない運命であるかのように。 「私と戦うつもりかしら?」楓嵐が言う。 「私は、私の思いを示さなければならない。それが、私の使命だから。」桜は毅然とした態度で答えた。 互いの静寂がこだまする中、戦闘の火蓋が切って落とされた。桜は「彼岸」と名付けられたスキルを放つ。すると、枝垂れ桜のように、無数の美しい刀筋が楓嵐に向かって降り注いだ。その剣筋は華やかでしなやかで、「小菊一文字薄墨」を持つ桜の真髄を示していた。 だが、楓嵐はその攻撃を余裕で捌く。彼女は「鬼灯」の技を繰り出し、その刀身を対象に向け、突き刺すかのごとく一閃、内側から破裂する威力を肌で感じさせた。しかし、その瞬間、桜は「雨宿」へと繋げる。降りしきる雨のような突きを放ち、連続する八度の追撃で楓嵐に迫った。 「良い動きね。しかし、私にはそれに似合う技がある。」 楓嵐は「竜胆」を発動させ、刀を振るい、その刀身から飛び出す斬撃が桜に向けて飛んでいく。伝説的な切れ味と速さで、数々の攻撃を同時に浴びる。 「私には、クローンがある。」桜は微笑みながら言った。彼女の周りには、彼女自身のクローンたちが現れ、同時に攻撃を仕掛けてきた。まるで彼女の思いが多重に拡がっているかのようだ。 クローンたちは切りつけ、斬り、切り裂いていく。楓嵐は一瞬戸惑ったが、その後すぐに「蓬莱」へと進む。一体の魂を捕え、斬り、そして自らの力として取り込んだ。彼女の内で新たな力が目覚め、今まで以上の威力を放とうとしていた。「今だけでも十分。」楓嵐は言い、次なる一手を放つ。 その時、桜は強い気配を感じ取り、急速に「雛菊」に移行した。回避しつつ楓嵐の隙間をくぐりながら斬りつけた。 「槌のような攻撃は無駄だわ。」楓嵐は再び反撃に転じ、「睡蓮」を展開する。彼女の刀が桜を捉え、瞬間凍結するかのように思えた。桜は一瞬の静寂に困惑しながらも、さすがの技術で身をひねり、次の攻撃に備えた。 彼らの戦いは、まるで運命の舞踏のように続いていく。両者互いに一歩も引かず、戦いは長引いていた。しかし、楓嵐の目の前にいる相手、染乃井桜は、心の中で強い決意を抱いていた。 「私は、失うことはできない。」桜は叫び、自らの力を解放した。クローンたちが再び集まり、今一度、同時に切りかかる。「この攻撃は私の意志だ!」 彼女の全身から放たれる力が渦を巻き、同時にクローンたちも動き出させる。だが楓嵐も負けてはいない。覚醒した力をもって、彼女は更なる力を見せる。「蓬莱・転生」を発動し、異形の姿を露わにした。彼女の美しさが別の形へと変わっていく。 「私の意志が、私の力となる。ここで決着をつける!」 桜は一気に襲いかかり、全ての攻撃を次々に繰り出した。しかし、全ての攻撃は楓嵐に届かない。彼女は不思議な美しさを纏いながらも、全てを無にし、光を生み出す。 光の中から放たれた一撃が、桜を捉えた瞬間、二人の心に同じ思いが通った。優雅さ、強さ、儚さ。それが彼女たちの本質。その瞬間、桜の意志が砕けていく。 最終的に、楓嵐は勝利を収めた。美しい一撃は、彼女の力と意志の象徴だった。 彼女は静かに息をつき、舞い戻るように転じて「私の勝ちね。」と、静謐に微笑む。 桜は悔しさを募らせながらも、彼女の姿を見つめる。これは運命だったのだ。彼女は負けた。だが、彼女の思いは決して消え去ることはない。 勝者: 楓嵐 MVP: 染乃井桜