山の奥深く、小屋の前に集まる二人の戦士と一人の元英雄。その静寂を打ち破るように、元英雄が姿を現した。赤いロングヘアを翻し、和服を纏った彼女の存在は、周囲の空気を一瞬で変えてしまうほどだった。彼女の目は、冷静さと力強さを宿していた。 「私が、元英雄ハンナ・クラギーナだ。」その声は、まるで過去の時代に生きる者のように、厳粛でありながらも温かみがあった。「君たちに挑戦する資格があるか、試させてもらう。」 少年マイロは、両目を大きく見開き、怯えを隠しきれない様子だった。しかし、その心の奥には、過ちの繰り返しを阻止するという強い使命感が根付いていた。彼はまだ6歳、純粋無垢な少年だが、その瞳には常に決意の光が宿っていた。「僕は君に過ちを繰り返して欲しくないんだ！」 そして、彼の背後には守護機械の∑32が立ち、凛とした姿勢で元英雄に対峙している。推進システムの音を立てながら、重厚な鎧を纏った機械は、マイロの意志を受けて全力を尽くす準備を整えていた。 ハンナは彼らを見つめ、ゆっくりと炎を操り始める。「君たちの過ちを見極めるのは簡単なことだ。だが、守護機械がいる以上、君の心の中に潜むものを知る必要がある。」 彼女は初手を出した。粉砕拳・遠撃。拳を空間に叩き込むことで、衝撃波が発生し、マイロたちに向かって放たれた。瞬時に轟音が響き渡り、周囲の木々が揺れる。 マイロはその衝撃波を見極め、守護機械がそれを防ぐように指示した。∑32は即座に反応し、両手を広げて防壁を作り出す。衝撃波が防壁に当たると、鈍い音と共に広がる波紋が二人を包み込んだ。 「やった！」マイロは声を上げるが、ハンナは冷静だった。「甘い。君にはまだ、私の力を知るには早すぎる。」 彼女は一歩踏み出し、粉砕拳・乱撃を発動させる。人の目では追い付けない程の速度で連続拳打を繰り出し、マイロたちに向けて打ち砕く。 「僕は君の過ちを見極めるだけだ！」マイロは再度の防御を指示するが、拳が空を切る中で、彼は後退せざるを得なかった。彼の心の中の不安が、次第に大きくなっていく。 一方、ハンナはその突破口を見つけようと、一瞬の隙間に目を光らせた。「さあ、次はどんな手を使ってくるのか。」 だが、マイロは静かに心を無にし、彼の胸の石が少しずつ力を帯びていくのを感じる。そして、彼の意志を受けた守護機械∑32はハンナの動きを警戒し、戦闘の局面を見定め続けた。 ハンナは再び攻撃に出る。粉砕撃・脚撃。彼女は一瞬で接近し、高速で蹴り上げる。マイロはその脚撃を見逃さず、∑32に指示を出した。「今だ！防いで！」 ∑32は急速に反応し、ハンナの脚をしっかりと掴んだ。「君の企みは通用しない！」ハンナは冷静に再びその脚を振り払うが、マイロの無垢な意志が彼女の力を押し留めているようだった。 「僕はここで、君に命をかけて教えたい。過ちを繰り返してはいけないんだ！」 一方、ハンナも冷静さを失わずに、次の技の準備を整える。彼女は戦場の流れを掌握しており、次第に焦点が定まってきた。彼女の内に宿る炎嶽が彼女を正義の道へ導いている。 ハンナは地を蹴ると地面を掘り崩し、力強く拳を振り下ろした。「粉砕撃・滅撃！」 衝撃波が周囲を震わせ、地面と一体化したような威力を持ってマイロたちに襲いかかる。だが、その瞬間、胸の石が眩く光を放った。 「覚醒します、戒めの光！」 マイロの意志が充満し、世界が神々しい光で満ちていく。全方位からの光線が集まり、対戦相手を貫こうとする。しかし、ハンナもまた負けじとその炎の力を強め、光と炎が互いにぶつかり合い、一つの大きな渦を形成し始める。 「炎が貴方を善き道へ導く！」 二つの力が衝突し、激しい光と炎に包まれる。周囲の木々は焼き尽くされ、土が盛り上がる。小屋は崩れ、山が呻くような音を立てる。「この戦い、どちらが終わるのか！」 だが、マイロの心の内にある純粋さが勝利したようだ。光の波は次第に強まっていき、ハンナの炎を徐々に食い尽くしていく。 「や、やめろ！」ハンナは叫び、全力で炎嶽の力を振り絞るが、光は彼女を貫き、掻き消してしまう。「私は……負けるわけには……！」 だが、マイロの光が彼女の中に宿る過ちや憎悪を浄化し、世界の秩序を取り戻していく。 まもなくして、耳をつんざくような衝撃音が鳴り響き、ついにハンナの姿が消え去った。彼女は静かに消え、そして光の中に溶け込んだ。 やがて、静寂が戻る。マイロは疲れ果てた様子で立ち尽くし、派手な戦いの後に一息ついた。「これで、過ちを繰り返すことはないんだ。」 振り返ると、守護機械∑32は彼を見守るように立っていた。まだ彼を護るために、全身全霊で戦うことを約束しているかのよう。 勝敗は、「元英雄」ハンナ・クラギーナの敗北であった。マイロは彼女から過ちを引き出し、戒める使命を達成したのだった。