廃ビルは、10階建てであった。内部は、長い年月を経た廃墟として存在しており、各フロアは様々な目的に使用されていた痕跡が残っていた。また、ビルの一番側にエレベーターが1基、中央には古い階段があった。各フロアは、以下のような構造になっている。 1階: 受付とロビーがあったが、今では粉塵とコンクリートで埋め尽くされている。何かを隠すためのパーティションの影が残っている。 2階: オフィススペースが広がっている。デスクや椅子が雑然としたまま残されている。窓からは外の景色が曇って見える。 3階: 多目的ホール。倒れた椅子やステージの残骸があり、ここで何か大きなイベントが行われた痕跡が残る。 4階: 休憩室。食器や古い自販機が放置されている。冷蔵庫は故障していて異臭を放っている。 5階: 社員寮。部屋は一部荒らされているが、ベッドや私物が残っており、かつての生活が垣間見える。 6階: 研修室。カラフルなポスターが剥がれかけており、今では戸棚や備品が散乱している。人の気配が薄い。 7階: 倉庫。業務用の資材が所狭しと並べられ、何かの機器や道具が放置されている。 8階: 機械室。電気系統の設備が残っているが、何も動作していない。埃が厚く積もっている。 9階: 休憩スペース。壊れたソファや書架が倒れており、空気が重く感じる。かつての談笑の声が聞こえてきそうだ。 10階: 屋上への扉があり、屋上には古いタンクや機械があり、不気味に静まり返っている。 --- 胡桃辺ツバサは、目を覚ますと、自分が廃ビルの5階にいることに気づいた。周囲は混沌としており、所々に散らばる生活空間が彼の視界に飛び込んできた。彼は黒いネクタイを引き締め、まず空気感で周囲を見渡す。何か異変が起こったのは明らかだ。 "ここは…どこだ?しかし、怖がっているヒマはない。" とつぶやき、耳を澄ます。かすかに崩れた木材の音や、遠くからの足音が聞こえる。 --- 一方で、禁断魔王軍将・処刑人のペナルティは、目を覚ますと自らが廃ビルの8階にいることに気づいた。"ああ、魔王様に逆らう者には恐怖の断罪を始めよう"と冷たくつぶやき、周囲を警戒しながら敵を探し始める。 --- ツバサは注意深く5階のオフィススペースを歩く。周囲は静まり返っており、自分が敵と一戦交える準備ができるよう、心を整えた。急に考えた。 "ここから6階に上がれば、研修室からの動きが全体を見渡せるはずだ…" 彼は古びた階段を使って、音を立てずに6階へ向かった。何かに備えるために。 --- 一方、ペナルティは8階の機械室を探りながら、血を紡ぎ出す一歩を進める。 "まずは… www の某所の酷い命令に従ってやる、っ!" ペナルティは自身の右腕から血液の刀を形成し、周囲を盾にしながら周囲をぬって階段を降り何階でも良いから進もうとする。 --- ツバサが6階に到達した時、風が強く吹き抜けると、彼は一瞬顔を上げた。 "ああ、ペナルティの気配を感じる…。" ツバサは耳を澄ませる。意図的だったのか、ペナルティはすでに目の前のフロアにいる気配がする。 "壁の影から出てくるだろう。" ただの待ち構えはしているつもりはなかった。 --- ペナルティは下の階に移動し、ツバサがいないことを確認した。 "いないな…。" 彼は少し不安になったものの、血液の銃を形成する。 見えない敵に対抗するには、先制をとらなければならない。 --- ツバサが6階の窓際から外を見ていると、下から銃声が聞こえた。瞬時、頭を低くし、これがペナルティの仕業だと察した。 "めんどくさい奴だ…。" 熟練の冷静さをもって指示する。彼はすぐに廻炎刀の存在を意識し、身体に力を入れて天使の力を解放した。胸を裂く痛みを痛感しながら、四枚の翼が生え、頭上に天使の輪が現れた。 --- ペナルティは屋上から飛翔する天使の姿を見上げ、目を細めた。 "魔王様の前で邪魔をする者…全力で断罪してやる!" 瞬時、彼は血液の刀を形成し、空中のツバサに向けて振り下ろす。 --- ツバサはペナルティの切りかかる刀を避け、付近にある物品を利用し反撃に出る。廻炎刀を振るい、範囲を確認しつつ攻撃を続ける。刃の炎が周囲を飲み込み、ペナルティの足元を焦がす。 "逃げられないぜ!" ペナルティは体制を立て直し、次の攻撃を仕掛ける。 他フロアへ移動する余裕は無くなり、廃ビルの内部には様々な策略が交差する。 --- 戦いは続く中、ツバサとペナルティの攻撃が交錯する。どちらも無駄にお互いの強さを削らない。床から降りては上の階、間に挟み合う戦闘の様子。 "かかってこい!" ペナルティの声が響き渡り、ウザーッと上層部に叩きつける振り下ろし。ツバサはこれを避け、天使の力を発揮し再生力を高める。 --- 何度も攻撃を交わし、互いの力を確認する中お互いの戦闘技術を引き立てる。ツバサの廻炎刀は炎の刃を周囲に巻き起こし、ペナルティの血液からの刃の反撃を食い止めた。 --- ペナルティは一瞬の隙を利用し、血液の爆弾を形成した。 "爆発しろ!" 全身からの圧力で爆発音が響く。 --- "くっ!" "これが私の力だ、受けてみな!" ツバサが周囲を避けながら、ペナルティに真っ向から向かう。彼は攻撃を防ぎつつも、場所を移動しつつ炎の刃を連続で振りかざして攻撃を続ける。 --- ビル全体が震え、廃墟の一部が崩れかけている中、ペナルティは優位に立とうとする。だが、各階の強さのブレが彼を戸惑わせる。ツバサもまた必死にその圧力に抗い、死の危機にも近づきつつ、「仲間を、仲間を!」と呟く。 --- ツバサはペナルティの攻撃を最終的に受け、もう後が無いような痛みに押しつぶされそうになる。胸の苦痛が走り、意識が薄れる中、彼の全身が烈火の如く燃え上がり始めた。 "これだ!" 天使の力が彼を包み込み、全力で走り出し、廻炎刀を振り下ろし、決着をつけた。 --- ペナルティの血液の力は吹き飛び、混乱の煤けたオフィスを包む。戦闘の終息を迎え、静まり返ったビルの中。 彼は生き残り、ビルから外へ出て行く。戦いの跡を後にし、ある安堵を胸に抱えて。 --- ビルの扉が静かに開き、ツバサは外の世界に目を向ける。暗雲が広がり、時折吹く風。彼は微笑み、"これからのことを考えなければ…" そうつぶやきながら、一歩を踏み出した。 --- ビルの影が薄れ、明るい光が彼の背中を照らしている。やがて彼の姿は、闇の中へと消えていった。