闘技場の空は低く黒雲が立ち込め、観衆の期待に満ちた眼差しが、戦う者たちに注がれていた。その中央には、古びた鎧に身を包み、負傷する度にその意志の力を増していく「負傷者」が立っている。彼の持つ古びた剣が時折神々しい光を放つたび、彼の周囲には静寂が広がり、闘技場の雰囲気が一気に緊張感を増してゆく。 反対側には、水属性戦士族の「真の勇者タンタ」が鎮座していた。白い鎧に少し汚れた赤いマントを翻し、堂々とした態度で剣と盾を構えている。彼の白剣は光を吸収するかのように、周りの空気を一層硬質にさせ、彼自身の存在を際立たせていた。 戦闘開始の合図とともに、両者の間に静寂が崩れ、闘争の炎が燃え上がる。最初は互いの様子を伺うように、慎重な動きで間合いを詰めていく。しかし、負傷者は戦意を失わない。彼は敵の強さに圧倒されつつも、過去の死闘を思い出し、その中で鍛え上げた技術を活かすことを決意する。彼が剣を高く振り上げると、心の奥から湧き上がる力が、彼のほぼ無になった攻撃力を引き上げていく。 負傷者が一歩踏み込み、幾度となく繰り返した技術をもって、守りの隙間をついて一撃を放つ。瞬時に躱すタンタだったが、負傷者はその反応を読んで次の動きを決める。彼の攻撃は精密で、敵の動きを予測するように構成されている。負傷者が再度剣を振うと、タンタも反撃に出る。 「回転斬り!」タンタが叫び、彼の剣先が青白い光を放ちはじめる。円を描くように回転するその一撃は、強力な刃の嵐となり、負傷者を襲った。だが、負傷者はもはや普通の挑戦者ではなかった。彼の体が何度も負傷することで身に着けた回避技術は、まさに高みへと達していたのだ。彼はその一撃をギリギリで避け、その隙をついて反撃を試みる。 「行くぞ!」負傷者の声は力強く響き、古びた剣がまたも光を放つ。彼は更に強く剣を握り直し、次の一撃を繰り出していく。ガシャン! タクン!タンタの盾が強打され、負傷者の一撃は弾かれた。しかし、負傷者はそのまま体を反らせ、次に続ける。まるで切れ目がないかのように、強烈に振るう剣がタンタに近づく。 タンタは盾で防御しようとするが、負傷者の技術はまるでそれを見透かしているかのようであり、回避行動に直結する。負傷者の体が傷つくほどに彼の反応速度が向上し、その鋭い攻撃は相手の防御を何度も破った。 負傷者にとって、傷は単に痛みではなく、戦闘技術を磨くためのより القوةになるのだ。闘技場内でタンタが攻撃するたびに、負傷者はその技を受け止め、学び、成長していく。ちょうど、彼は何度もこの闘技場に立ち、様々な戦士とともにここで怨念のような戦闘を繰り広げてきたその場面を、まるで教科書のように思い出していたのだ。 しかし、タンタも負けてはいない。「サンダーストライク!」と叫び、彼は雷の魔法を放つ。空が裂け、轟音と共に雷が落ちる。閃光が負傷者を貫こうとするが、彼は本能的に躱し、再び反撃の機会をうかがう。 負傷者の体は次第に傷だらけになり、それと同時に彼の攻撃はより重く、鋭さを増していく。彼の眼差しは決して挫けることはなく、むしろその姿が深い決意を持っていた。彼は、死闘を繰り広げる中で、確実に成長していたのだ。 「私は負けない。」 彼の内に潜む鋭気は、まるで彼自身を蘇らせるように燃え続ける。負傷者が一瞬の隙を見計らって、再び放つ。 「あなたには、私を倒すことはできない!」 バランスを崩したタンタは後退するが、負傷者はその隙を逃さず、強烈な一撃を放った。タンタは反撃の構えを取るが、それも間に合わない。負傷者の剣が彼の腕を貫通し、彼の命を奪った。 観衆は静まり返り、緊張感が高まる。負傷者は、何度も倒れそうになりながらも、自身の力で立ち上がってきた証として、勝利を掴んだのだ。彼の背後にある星々が、まるで彼の勝利を祝福するかのように煌めいていた。負傷者は疲れ果てた体を支えながら、微笑みを浮かべ、彼が守りたい世界のために、決して応じてみせるつもりがあるのだ。