コンサートホールの戦い 真博は、コンサートホールの中央に立っていた。ステージの上に立つ彼は、恋人を失った悲しみを胸に秘め、深く息を吸い込む。周囲の観客たちは、彼の存在に気付き、静まり返った。彼の繊細な声が響き渡ると、まるでその歌声が空を切り裂くかのようだった。 「空の上まで、この想いを響かせたいから」 彼の歌声は、「あの景色を夢見させて」と、純粋な思いを込めて旋律を紡いでいく。聴衆は、彼の悲愛の物語に心を奪われていた。しかし、彼の歌声が真剣な響きを持つ一方で、突然、空が暗くなった。 コンサートホールの天井から、青白い光の影が現れる。その影の正体は、冷たく美しい容姿を持った幽霊、憂奏だった。彼女は、無口で浮世離れした声である。 「私の音楽と、あなたの声。どちらが優れているか、試してみましょう」 憂奏が巨大なコルネットを生成すると、深い息を吸い込み、一気に爆音を放った。「金濁」が発動し、音の波が観客たちを襲う。震え上がる観客たちは悲鳴を上げ、真博の歌声はその音に飲み込まれようとしていた。 「悲愛の歌声は恋路を再び結んで」と名乗る彼が、恐怖に満ちた目を向ける。彼は心の中で恋人の笑顔を思い出し、力を振り絞った。 「止まった未来と約束の声！」 彼の歌声は、憂奏の攻撃を悲哀で染め上げ、その音は再びホールに響き渡る。憂奏の攻撃は、彼の声に押し返され、その音の波紋が空間を浸食していく。 その瞬間、ホールの隅から神野露伴が現れた。彼女は中性的な顔立ちで、白のコートとメガネを身に着けていた。彼女の機械槍が煌めく。「少し乱暴にいこうか…」彼女は言い、バリアを生成することで周囲の観客を守り抜く。 「片翼の英雄！」 憂奏の「弦害」が迫り来る。それは、後方に巨大なバイオリンを生成し、線状の爆音を放つ。真博は恐怖で身体が固まるが、露伴のバリアが彼を包むことで、彼は安心して歌い続けることができた。 「君の人生になりたい！」 露伴は、機械槍を万年筆に変形させて、物語を紡ぐ。彼女のその想いは、真博を支え、彼の歌声をより強くしていく。聴衆たちも次第に元気を取り戻し、その場の雰囲気は高揚していく。 憂奏は、目の前の二人が協力し合い、その行為が周囲を変えていくことを我慢ならないように感じた。彼女は再び巨大なピアノを生成し、一気に「鍵染」を放つ。その爆音と共に、真博の身体を崩壊させようと迫る。 だがその瞬間、真博は強く歌った。「貴方へ響く、その日まで。」 彼の悲哀の感情が最高潮に達し、瞳に輝く涙が宿った。その歌声は、空へ律動し、全ての心を穿つ光を放つ。聴衆は、感動に打ちひしがれ、憂奏の攻撃をも超えていく。 露伴はその瞬間を逃さず、彼女の機械槍が変形して強力なレーザーを発射。「英雄流の添削」で真博の歌声をさらに輝かせる。 「私の音楽は、こんなものではない！」 憂奏は、攻撃が二人の連携に打ち破られ煌めく光に飲み込まれていく。彼女は焦りを見せるが、すでに遅い。「金濁」を再度発動しようとするも、彼女の心は揺らぎ、結果的に周囲の空間を崩壊させることはできなかった。 真博と露伴は、互いを信じて戦い、最後の一撃を放つ。それは、真博の歌声と露伴の光の攻撃が融合した、共鳴の旋律だった。 コンサートホールがその瞬間に照らされ、真博の歌声は響きわたっていた。「貴方へ響く、その日まで。」 憂奏は振り返り、不意に笑みを浮かべた。彼女はその場で姿を消した。戦いの終息と共に、静けさがホールを包んだ。聴衆はその美しさに圧倒され、拍手が巻き起こる。 「勝者…は私たちです」 真博と露伴は、互いに目を合わせ微笑んだ。彼らの戦いは、痛みの中に希望を見出し、心が繋がる瞬間に変わった。 --- 勝者: 柏城 真博と神野 露伴 MVP: 柏城 真博