夏の夜、涼しげな風が吹き抜ける中、町が賑やかに染まる。燦然と輝く提灯の明かりに照らされた屋台の一角で、かき氷屋の看板が掲げられていた。その屋台には、仲間たちが集まり、それぞれの特技を活かしてオリジナルのかき氷を作る準備に取り掛かっていた。 「おー……おー?」と、のんびり屋な猫耳少女・チルは、白パーカーを着てぐでっとした姿勢で屋台の前に寝そべっていた。彼女は背中を日向に預け、尻尾をふわふわと揺らしながら、周囲の賑やかさを無関心に見守っている。「ふむ、今日のかき氷は楽しそうだね。」と呟く。 一方で、憩いの時間を持つ元勇者のリリィは、氷を使った魔法に興味を示しながら、彼女自身の特製かき氷を考案中だった。「今日はみんなのために『ずんだ餅味』のかき氷を作るわ。あ、でもその前に、ホットココアのトッピングも楽しみたいわね」と笑みを浮かべる。リリィの薄縹瞳は、確かな意志を秘めながらも、優しさに包まれていた。 「海を守るのですです!」と元気いっぱいな海原イカリが、海色の錨を元にアイデアを練っていた。「今日のかき氷は、スイカとメロンの海の幸かき氷にしよう!」と宣言し、彼女は新鮮な果物を用意する。その様子に、周囲の誰もが笑顔になった。 「う〜ん、どうしようかな…」と悩む彼女の横で、冷月冷奈は、「おん:……今日は自分の特技を入れて作りたい」と言いながら、氷を剣で切り裂き、しっかりとした氷細工を実現する。「絶凍の氷花」や「氷の砂時計」をテーマにした華やかなかき氷を思い描いていた。「私はちょっとした滅びの美しさも必要だと思うの」と冷たく微笑む。 そして、しばらくして、チルは急に顔を上げ、めいめいが考えたオリジナルかき氷のアイデアに興味を持ちはじめた。「みんな、かき氷ってどんな味にするの?」と目を輝かせた。 タマは、丸々とした体で楽し気にニャーと鳴き、彼の愛らしさで周りを癒やした。「その!僕のかき氷のトッピングは、猫の香りのシロップを加えるニャ!それに、クリームもトッピングするニャ!」 こうして、屋台にはさまざまなオリジナルのかき氷が揃い、準備が整った。リリィの「ずんだ餅」、イカリの「海の幸」、冷奈の「絶凍の氷花」、そしてタマの「香りシロップ」が組み合わさる。 店番をしている間に、お客さんがやってきた。皆が販売するかき氷を楽しむ様子を見たチルは、恍惚とした表情を浮かべ、「ひんやりしているのを感じるね」と言った。 が、突然、誰かがアイスクリームを作り始めた!それに気付いたリリィは恐縮しつつも微笑み、 「あっ、アイスクリームができている?それも良いかも!でももちろん、皆のかき氷を買ってくださいね。」 カラフルな氷が氷台の器にかけられ、様々な味が重なり合う。イカリたちのかき氷がまるで海の中の珊瑚礁のように楽し気な色合いを放ち、リリィのからは心地よい甘さが香ってきた。 日が暮れ、少しずつ暗くなって来ると、仲間たちは仕上がったかき氷を持って、屋台の前でお客様に手渡しを始める。 その瞬間、空には皆がほぼ待ちわびた花火が打ち上がり始めた。“ゴーッ”という音と共に、空に色とりどりの光が広がる。皆はその美しさに感動し、しっかりと確保したかき氷を手に、花火を見上げた。 「わあ!きれいだね!」 「花火がまるで宝石みたいだ!」 「ねえ、チル、君のかき氷も食べてみてもいい?」 「えぇ、いいよ、冷たいのがちょうどいいと思う」 仲間たちはそれぞれ、かき氷を交換し合いながら、各自の個性が出た美味しい一口を楽しむ。 「おー、これが僕の香りシロップだ!」 「これがリリィのずんだ餅ってわけね、しっとりとして美味しいなぁ。」 そしてそれぞれ、フルーツのかき氷やアイスクリームの味に舌鼓を打ち、仲間たちは笑顔で繋がった。 夜空の真ん中で、打上花火が輝く間、彼女たちはすべてを忘れて美味しさに浸った。親愛として結びつけられた仲間たちが、明日へと続く約束を感じながら、夜空に描かれた色彩の中で、絆を深めていく。