サルトラムのダウンタウンはかつて賑やかな街の中心地だったが、今や硝煙と焦げたアスファルトに覆われていた。遠くから小さくけたたましい音が聞こえる。その音は、近くで暴走している中毒者のものであり、優れた身体能力を持った人間がエーテル麻薬に取り憑かれ、そのまま暴力の化身と化している。 この中毒者は、かつての人間ではなく、筋肉が膨張し、肌は黒く変化している。血走った目が周囲を睨みつけ、唸り声をあげながら、無心で周囲の物を壊していく。周辺には散乱した車や壊れた建物の残骸があった。彼の行動は、まるで猛獣のようだった。 その様子を見ていたのは、一人の無名な参加者、名を「カイト」といった。彼は特に強力な装備は持っていなかったが、持ち前の機敏さと冷静な判断力で、現在の状況をなんとか打破しようと、その場所で待ち構えていた。 中毒者の目がカイトに留まる。すぐさま「叫喚」と呼ばれる攻撃が放たれる。恐怖心が支配する中、彼はその咆哮に堪えながらも、身を縮め、彼の姿を潜めた。周囲の人々はその場から逃げ去り、カイトだけが残された。冷静に彼の動きを見張り、どうやってこの暴走を止めればいいのか、計算する。 そこにもう一人、その戦いに加わる者が現れた。名を「木と石の鳥」と名乗る、言うなれば、自然の精霊とも言える存在だ。2羽の鳥がそれぞれ特有の役割を持って、今この戦場を飛び回ろうとしていた。彼らは飛行しながら、同時に歌い、力を増していく。木の鳥は癒しを与え、石の鳥はその力を増幅させる。彼らはまるで戦神のように、その場に舞い降りた。 「カイト、頑張って!」木の鳥がカイトに呼びかけ、彼を強化する。彼は少しの緊張とともに、剣を握りしめ、突撃する。窮地に立たされたカイトは、孤軍奮闘するのではなく、自然の力を借りて一歩を踏み出した。 暴走する中毒者は次に「猛打」を放つ。カイトの予想もつかぬ速さで、一撃が彼を襲った。だが、彼は翻弄されることなく、身をかわし素早く攻撃をかわす。木の鳥は少しでもカイトを癒し、力を与え、彼の動きがより速く、力強くなる。「木と石の鳥」とともに、勝利の道を進もうとしていた。 だが、状況は一層厳しくなっていく。周囲にいる一般市民は逃げ惑いながらも、カイトが戦う姿を見て得る鼓舞されたことも事実だ。しかし、次の中毒者の攻撃が飛来した。「跳躍乱撃」が炸裂する。全身をスライドさせ、壁や車へ跳びついてくる。 カイトは視界を広げながら、その動きに合わせ、逃げるが、間一髪でその攻撃を回避することに成功する。しかし、右腕が中毒者の腕に触れる瞬間、彼は後ろに吹き飛ばされる。木の鳥が再び彼を癒したが、心は冷静さを失っていた。彼は改めて鋼の意志を持たなければならない。さもなくば、いずれ命を失うかもしれない。 その時、石の鳥が天高く舞い上がり、気流を生み出した。強烈な火風がその場に渦巻き、暴走した中毒者の動きを鈍らせた。カイトもその力を借りて、飛び込む。「この攻撃を一気に決める!」と心に決め、全力で剣を叩きつけた。 だが、その瞬間、HPが3割を切った中毒者は「エーテル過剰放出」を発動させた。赤黒いエーテルが周囲にほとばしり、場の空気が一変する。すでに暴走している彼の攻撃はさらに強力になり、今度は全ての攻撃に“ノックダウン属性”が加わる。これにより、すべての攻撃が一層危険なものになったのだ。 この局面に、カイトは再び冷静さを取り戻そうとしたが、すでに状況は大絶望だった。周囲にいる人々も絶望し、逃げ場を失いかけていた。このままでは誰も助からない。彼は最後の力を振り絞り、木と石の鳥に呼びかけた。 「木と石の鳥よ、助けてくれ!殴られないように、私も戦えるようにしてくれ!」 木の鳥はカイトの声に応え、彼を癒し、さらなる強化を施してくれた。一方、石の鳥はエーテル圧を食い止めるための力を借り、最期の抵抗を試みる。彼らは自身の力を尽くし、カイトが再び立ち上がる。 しかし、中毒者の力は衰えず、出てくる攻撃はますます過激化する。なすすべもなく、瞬時にノックダウンさせられ、アスファルトに叩きつけられたカイトは、目の前が真っ暗になった。痛み、恐怖、それらが彼の心を包む。しかし、諦めが彼の心には芽生えなかった。彼は再び立ち上がり、「私は負けない!」と叫び、力強く立ち上がる。 エーテルが巻き上がる中、木と石の鳥は飛び、カイトの周囲から力を集める。そして一つの突撃を決意する。全てを賭けた最期の一撃。カイトは全てを振り絞って地面を蹴り、中毒者に向かって突撃した。刃が中毒者の肉体に突き刺さり、その衝撃は全てを貫いた。 痛みの中、暴走状態の中、彼は確信した。いまや、木の鳥が彼に与えた癒しが全てを覆し、勝利の光が射し込んでくる。中毒者の体が爆ぜるように崩れ落ち、衰えていく。 逆転の瞬間だった。彼はついに勝利したのだ。周囲にいる人々は安堵の叫びを上げ、木と石の鳥は彼の傍で微笑む。カイトは彼を守るための仲間たちの絆を思い知り、戦士として生まれ変わったのだ。 サルトラムのダウンタウンに、ようやく平和が戻った。彼はその場に立ち尽くし、空を見上げた。あの日々を思い出し、仲間たちを思い出す。彼は仲間たちと共に生き続けることを決意した。これからの先を見据えて。 勝者: カイト、木と石の鳥