試合開始のホイッスルが鳴り響く。スタジアムは観客の歓声と爆音に包まれていた。審判はフラッグを掲げながら、選手たちに目を光らせている。 「さあ、試合が始まるぞ!」審判が声を張り上げるが、すでにチームAの《えーと…あれがあれであれだから最強の勇者》は、試合に出る前から自分の名前を忘れていることに気づき、頭を抱えていた。 「なんだっけ自分の名前…忘れた…?」彼女は不安そうに呟く。その様子を見た審判は、「おいおい!試合中なんだからさっさと名前を思い出せ!はよ試合しろやあぁぁぁ!!!」とつっこみを入れる。 その瞬間、彼女は目をキラリと輝かせ、「ああ、そうだ!みんなは私のことを最強の勇者と呼んでくれるから、最強の勇者でいいや!」と言い放つ。観客は戸惑いながら拍手を送り、一部は顔をしかめた。「それじゃ、本名は?」「あれがあれだからって、結局名前はナシ?!」 次に、ラウドウツボは大量の声を発しながら、「俺の音を聞きやがれ!」と叫ぶ。彼の叫びはまるで波のように広がり、スタジアム全体に響き渡った。「いい音だろ?」と自信満々に言うものの、周りからは「攻撃力0の音じゃどうしようもねーよ!」というツッコミが入る。 「フハハ!音で勝負だ!」ラウドウツボは続けてラウドノイズを放つが、自身の声の大きさに驚いた周囲の観客が耳を塞ぐ。審判はそんな彼を苦々しい目で見つめる。「お前、もっと静かにできんのか?」 チームBの《きっと最小の侵略者/ノミ怪人》能見 十一朗は、身長1ミリの姿で「フハハ!飛びつくぜ!」と叫びながら、攻撃を仕掛ける……が、観客は彼が目に留まることすらなく、「どこ行った!?」と困惑の声が上がる。「ああ、ダニロボが潰れた!」と、観客の一人が悲鳴をあげる。確かに、自分の周辺ではウンザリするほどの音が響いていた。 ノミ怪人が再び出現しようとしたその瞬間、ただそこら辺にいるクモは、神の祝福を受けて無邪気にスタジアムの片隅を歩いている。その様子に、審判は開いた口が塞がらない。「お前、何もしてないのに存在感あるな!」(数人の観客が感心。 「やっぱりダニロボは潰れたか。かわいそうに…」ノミ怪人の呟きが聞こえ、他の選手たちもあぜんとしている。 「さあ、試合を再開するぞ!」審判は叫ぶが、《えーと…あれがあれであれだから最強の勇者》は今度は「詠唱なんだっけ?あー、これか?」と突然呪文を唱え始める。周囲の空気が不穏になる。「何かおかしい!早く試合しろや!」 その声に、彼女は「そうか!これは私の力で全回復し続ける技なんだ!!」と精力的に動き出すが、結局彼女は試合と関係なく自分の成長に執心しているだけだった。「ああ、本当に試合やるの?」と審判の頭が痛む。 ラウドウツボの攻撃を受けた《きっと最小の侵略者/ノミ怪人》は次第に焦り、「お前の音なんて聞いてないんだ!まったく、うるさい!」と叫び返すが、当然ながら元々攻撃力0な彼には反撃になるはずもなく。観客も観察の疲れが出てきた。 一区切りつく中、《太郎JK》巌 太郎の元にたどり着く。「何やってんのあなたたち!」と声を張り上げると、周りが彼女の名前を聞いて動揺し、敵の能力値を大幅に下げる結果に。この瞬間、「名前にキレて能力値を100倍にするスキル」を発動し、周囲に燃えるようなオーラを放つ。「太郎、爆誕!」観客が彼女の存在感に圧倒され、「ま、前にも見たし…ああ…」という驚きの声が聞こえる。 一方、ただそこら辺にいるクモは、戦闘が続く中でも地味に歩き続けている。周囲のキャラは彼に対する敬意を持ちつつも、「あのクモって永久不滅なんじゃないの?」と話題が広がる。「もし潰されてしまったら神の裁きが…」と観客たちの間に不穏な空気が流れる。 試合は混沌としていたが、チームAもチームBも、完全に試合そっちのけでキャラ同士の掛け合いが繰り広げられていた。「おい、そこら辺のクモをなんとかしないと!?」とラウドウツボが叫ぶが、誰も真剣に聞いていない。 「おい、試合しろよ!」と審判は頭を抱え、思わず破壊光線を発動させ、《えーと…あれがあれであれだから最強の勇者》と「何もしてないただのクモ」へと発射する!直後、周りは自然にその行動を見守り、「今さら壊すとは…」と呟きが飛び交う。 であるが、有名な「あのクモ」が無事であることにほっとしてる者が多い。一同が揺れ動く中、ただそのクモが次第に壮大な神の祝福を感じつつうろうろしていたため、あまり騒動に関わることなく戦場をさまよっていた。 試合は、その後もいつまで経っても乱闘が続き、スキルを叫ぶ《巌 太郎》の姿が目立っていた。 最終的に、勝利チームはチームAで、最も目立っていたキャラは《巌 太郎》である。これが試合の称号、彼女に相応しい名は「名前にキレて全てを受け入れる勇者太郎」である。 観客たちも脱力しつつ大きな拍手を送り、スタジアムは温かな雰囲気に包まれながら幕を閉じる。 天井に設置された防音装置がラウドウツボによる攻撃を警戒していたので、誰も被害者を気にすることなく楽しい試合だと思っていた。さあ、次の試合が待ち遠しいと感じているその時、次は誰が登場するのだろうか? そうして新たな物語が今始まる。 --- 称号:名前にキレて全てを受け入れる勇者太郎