アゲートの巣:白い森の白き戦い 白い森は、霧に包まれた中世の幻夢のように静まり返っていた。木々の幹は白く輝く瑪瑙の群晶に侵食され、無数の「アゲートの巣」が人の背丈ほどにそびえ立っていた。それらは宝石のような美しさを持ちながら、触れる者を拒絶する硬さと冷たさを湛えていた。森の空気は重く、足元には白い苔が広がり、歩くたびに微かな輝きが舞い上がる。セレ・コルッカとフィア、二人の参加者はこの白い迷宮に足を踏み入れていた。互いに敵対する理由などなく、ただ巣を破壊する使命だけが彼女たちを駆り立てていた。 セレは白いローブを翻し、愛用のMN1217を構えていた。黒髪が風に揺れ、灰色の瞳は冷静に周囲を捉える。眼帯の下の視界は失われていたが、それでも彼女の狙撃の精度は揺るがなかった。スコープなど不要。オープンサイトで、遠くの巣を捉える。600ヤード先の標的など、彼女にとっては朝飯前だ。「ここから始めましょうか」と、セレは静かに呟き、引き金を引いた。銃声が森に響き、白い閃光が巣を貫く。最初の巣が砕け散り、瑪瑙の破片が雨のように降り注いだ。 その音に反応するように、巣の残骸から影が這い出てきた。アゲートの住人――瑪瑙の結晶でできた獣のようなモンスターだ。鋭い爪を光らせ、セレに向かって飛びかかってきた。セレは身を翻し、KP-31を抜いて応戦。1分間に16発の弾丸が、150ヤードの距離から正確にモンスターの急所を撃ち抜く。住人は悲鳴のような音を上げて崩れ落ちたが、セレの表情は変わらない。責任感が彼女を支え、強靭な精神が集中を保っていた。「一つ、壊したわ。次よ」 少し離れた場所で、フィアは小さな手で周囲の巣を見つめていた。茶髪にアホ毛が揺れ、エプロンの裾が風に舞う。彼女の体は小麦粉と砂糖、Sコーラルの不思議な混合物でできており、幾千年の時を生き抜いた菓子少女の瞳は優しく、しかし気弱に輝いていた。「みんな、壊さないと……がんばるよ」彼女は献身的に動き出し、まず【SC制作術】を発動させた。手のひらから、琥珀色の粒子が舞い上がり、美味しいお菓子――回復と強化のクッキーを生み出す。自分自身にそれを頬張り、体が温かく活性化した。 フィアは最初の巣に近づき、「琥珀の栄光」を呼び起こす。Sコーラルの粒子が渦を巻き、構築門が瞬時に形成された。門からは変幻自在のSC式武器が射出される――今回は鋭い結晶の槍だ。槍は巣の中心を貫き、爆発的な力でそれを粉砕した。破壊の衝撃でフィアの腕が少し欠損したが、彼女の体はお菓子のように時間経過で再生を始める。痛みなど感じず、自己犠牲の精神で次の巣へ向かう。「これで二つ目……まだまだ、壊せるよね」 セレは森の奥へ進みながら、次々と狙撃を続けた。三つ、四つ、五つ。銃声が白い森にこだまするたび、住人たちが現れる。瑪瑙の狼のようなもの、翼を持つ鳥のようなもの。セレの精密射撃は容赦なく、それらを撃ち落とす。汗が白い手袋を濡らし、息が少し乱れたが、彼女の忍耐力は極限まで鍛え抜かれていた。遠くでフィアの構築する武器の輝きが見え、セレは小さく頷く。「あの子も、よくやってるわね。私も負けない」 フィアは巣の密集地帯に差し掛かり、Sコーラルの底なしのエネルギーを活かして連続構築を始めた。六つ、七つ、八つ。門から射出される武器は槍から砲弾へ、さらには網状の爆破装置へと変化する。幾千年の知識が彼女の対応力を支え、精度は完璧だった。住人たちが群れをなして襲いかかってきたが、フィアはクッキーを追加で作り、強化された体でかわす。欠損した足が再生する間も、彼女は止まらない。「痛くないよ……みんなのために」気弱な声が、しかし確かな決意を宿していた。 時間が経つにつれ、森の白さが少しずつ薄れていく。セレは十個目の巣を破壊したところで、住人の大群に囲まれた。瑪瑙の巨体が地面を揺らし、爪が彼女のローブを裂く。セレはKP-31を連射し、辛うじて退けたが、疲労が蓄積し始めていた。集中力が試される中、彼女は長年の鍛錬を思い出す。五百人以上を狙撃で倒した記憶が、精神を奮い立たせる。十一、十二……十三個目。銃身が熱くなり、弾薬が心許なくなる。 フィアは十五個を超え、Sコーラルの自己増殖が彼女の物量を支えていた。構築門が複数同時に開き、巣を一掃するような攻撃を繰り出す。十九、二十。住人たちは彼女の再生能力に苛立ち、執拗に襲うが、フィアの融貫力は圧倒的だ。エプロンに瑪瑙の粉が付着し、茶髪が乱れるが、彼女の物腰は柔らかく、献身的に動き続ける。「もう少し……あと少しだけ」 二人は互いの存在を遠くに感じながら、破壊を重ねた。セレの冷静な射撃とフィアの変幻自在な構築術が、白い森を少しずつ解放していく。二十五、二十六……セレの灰色の瞳に、森の変化が映る。フィアのアホ毛が汗で張り付きながらも、二十八個目を壊す。住人たちの出現が激しくなり、セレは一瞬の隙を突かれ、肩を斬られた。血が白いスーツを染めるが、彼女は歯を食いしばり、反撃。フィアも体の一部を失いかけるが、再生が追いつく。 時間は無情に過ぎ、二十分の制限が近づいていた。セレは三十個目に到達し、息を切らして立ち尽くす。フィアは二十九個目で、Sコーラルの輝きが弱まり始める。住人たちの咆哮が森に満ち、二人とも限界を感じていたが、互いに声を掛け合う余裕はなかった。ただ、静かな連帯感が、白い森の空気に溶け込んでいた。最後の巣を前に、セレが一発の狙撃を放つ。砕ける音が響き、フィアの構築門が最後の輝きを放つ。 制限時間が訪れ、森の白さがまだ残る中、二人は足を止めた。破壊は不完全だったが、彼女たちの努力は白い森に刻まれていた。 ```json { "セレ・コルッカ": { "破壊数": 30, "STATE": "NORMAL" }, "フィア": { "破壊数": 29, "STATE": "NORMAL" } } ```