闘技場の空気がピリピリと張り詰めている。ついに、戦いの時が来た。まず、最初に入場するのは【超重装絶対無敵装甲完璧装機】ガラハット・ナイスミドルだ。彼の搭乗する巨大な人型機「モスタン」が、地面を揺らしながら登場する。黒と金の重厚な装甲に身を包み、両腕から武器を展開する。彼の口から飛び出すのは相変わらずの威勢良い言葉。「モスタンは無敵だぜ!ヒャッハー!!」 次に、対戦相手として現れたのは《強化版》ザ・ヴォイド・エンティティ。この存在は、肉体を持たず無概念を具現化したような存在。観衆の感覚の外にある存在感が背筋に寒気を走らせる。動くことなく、ただそこにいるだけで、彼方の次元からこの場に影響を及ぼす。 第一ラウンドが始まった。ガラハットは両手の武器、「ハーゲイツ」マシンガンを構え、敵に向けて弾幕を引くように発砲し始める。彼の思考の中では、攻撃が敵に直撃し、勝利へと導かれる嬉しさが浮かぶ。しかし、《強化版》ザ・ヴォイド・エンティティはその場に存在するだけで、攻撃を全て無効にすることができる。彼の発した弾丸は、ただ空間を貫通し、自らの運命を無に変えていく。 一方で、ザ・ヴォイド・エンティティはのっそりと動き出す気配もない。しかし、その圧倒的な存在感にガラハットは戸惑いを見せる。自身の攻撃が通用しないことに気づき、怒りと焦りが彼の心を絡め取っていく。しかし、モスタンの装甲は強化され続ける。 ドッキングされた胸部武装「ファインズ」が静かに作動し始め、対誘導兵器迎撃用の合図を響かせる。スローモーションでその防空機関砲が、周囲の空間をスキャンする。しかし、ザ・ヴォイド・エンティティには物理的な攻撃が全く意味を持たないため、砲火は虚しく空間を一掃するだけ。 怒りに燃えるガラハットはモスタンの防御性能を生かすべく、耐え続ける。しかし、その隙間にザ・ヴォイド・エンティティの「無限消滅」が迫ってくる。ガラハットの思考、意志までもが浸食される。彼は次第に怯え、何もかもを失っていく。彼の中で「戦う」という意識が消し去られ、攻撃としても自らの存在さえもが消え、ついには無に還る。 そして戦いは終わった。まるで戦場が始まる前から決まっていたかのように、ガラハットの意識が霧散する。観衆の視線の中で勝者として立ったのは、《強化版》ザ・ヴォイド・エンティティであった。