① 世界を滅ぼす日 静かな春の午後、宇宙はいつもと変わらぬ日常を保っていた。しかし、その静けさの裏には、破滅へと向かう運命がひっそりと蠢いていた。宇宙ネッコという存在は、見えないところでその力を蓄えていた。宇宙ネッコを認識した者は皆、この世界の一部を失うことになる。認識した瞬間、彼らは自分たちの目的や希望、ひいては自分自身の存在すらも忘れてしまうのだ。 一方、鬼シルはその存在感とパワーで知られる恐怖の象徴だった。銀色の体を持つ彼は、筋肉の塊であり、冷酷無比の力を誇る。しかし、そんな彼もまた、宇宙ネッコの力に無縁ではなかった。彼は自分を取り巻く世界の終焉を知ることなく、ただ本能的に戦い続けていた。 「行くぞ!全力で殴ってやる!」 鬼シルは、無敵の拳を振るい、ただひたすらに敵を壊すために突進する。だが、彼がただの一撃を加えた瞬間、周囲にいた者たちの表情が一様に変わった。彼らは自分が何をしようとしていたのか、何が起こっているのかを思い出せなかった。 宇宙ネッコがその姿を現したとき、全ての事実は無に帰した。彼を認識した者たちは、彼の存在を忘れ、これからどうするのかを忘れ、結局、意味を失ってしまったのだ。 「忘れてしまうなんて…どうしてだ!」 鬼シルは、怒り狂いながらも、自らの拳をひたすらに振るう。しかし、彼もまた宇宙ネッコの影響を受けていた。 その日、世界は静かに滅びた。すべての人々が、自らの存在を失う一方で、鬼シルは無反応な拳で打撃を続け、止まることを知らなかった。 --- ② 終焉の後 世界が静寂に包まれたとき、宇宙ネッコはその場に佇んでいた。無数の星々は彼の目の前で瞬き、彼こそがこの宇宙の終焉の象徴であった。 「すべてを忘れたのか…これが私の目的だったのか?」 宇宙ネッコは思った。世界を滅ぼすことが自身の存在の意味だったのかと。 ふと、鬼シルの姿が目に入った。彼はその体躯で天空を仰ぎ、まだ本能的に無限に拳を振るっていた。 「おい!おまえ、何をしているんだ!」 「私の拳はまだ終わらない!」 驚くべきことに、鬼シルは宇宙ネッコの存在を認識していなかった。彼はただ戦っているだけで、他の者たちと同じように忘却の彼方にいる。 「もう、戦う必要はない。すべては終わった。」 宇宙ネッコは冷たく言った。だが、鬼シルはその言葉を理解することなく、相変わらず攻撃を続けていた。 「これが筋肉の力だ!終わろうとも、いつでも本気なんだ!」 その声は虚空に響き渡り、宇宙ネッコは少しだけ微笑んだ。 「私たちは、もう何もわかりはしない。本当に必要なのは、忘却の先にある希望なのかもしれない。」 宇宙ネッコは去って行った。残されたのは鬼シルの無限の拳。彼はただ打ち続け、世界の果てまで行き着こうとした。 それは、造り上げた虚無の中で、戦うことだけが生きている証明だった。 彼は戦う理由を失ったのに、自らの信念だけは根付いていた。破滅の果てに、何を見つけるのかは誰にもわからなかった。 こうして、すべては忘れ去られ、静けさが宇宙を包み込んでいった。