【時間旅行SF:愛と鮭と雲の歴史修正作戦】 プロローグ:崩壊する未来 西暦3024年。世界は静寂に包まれていた。かつて文明が栄えた都市は砂に埋もれ、空はどす黒い紫色の雲に覆われている。原因は、ある一点の「歴史の綻び」だった。 かつて、歴史を動かす決定的な鍵を握っていた運命のカップル、青年アルベルトと少女エレーナ。彼らが互いの想いに気づかず、すれ違ったまま人生を終えたことで、彼らの子孫が成し遂げるはずだった「世界平和への大いなる発見」が消失した。その結果、人類は果てしない争いの果てに自滅の道を辿ったのである。 絶望的な未来から、三人の「特異点」と呼ばれる者たちが集められた。目的はただ一つ。過去へと跳び、あの不器用な二人を強引にでも両想いにさせ、歴史を修正すること。 「いいか、俺はいいんだぜ。だがな、このままじゃクリスマスに食うシャケさえなくなる! それだけは許せねえ!」 咆哮したのは、鮭の怪人ことサモーン・シャケキスタンチン。全身から鮭への情熱(と異様な執着)を放つ男だ。 「ふぇぇ……なんだか疲れちゃった。雲の上でお昼寝してたいけど……頑張るねぇ」 白いふわもこロングヘアを揺らし、眠たげな瞳で欠伸をする雲の魔法少女、クララ。 「あらやだ! こんな暗い世界じゃみーの美貌が台無しだわ! 愛! 世界にはもっと愛が必要よ、うふふっ!」 スキンヘッドに厚い唇、そして特大のパンツ一丁という衝撃的な風貌ながら、絶対的な自信に満ち溢れた【愛】ぺぺ・ワキャブラータ。 性格も外見も、目的以外に共通点など何一つない三人。しかし、彼らは時空跳躍装置に乗り込み、運命の19世紀へとダイブした。 第一章:不器用な二人と三人の闖入者 到着したのは、石畳の美しい街並みが広がる古都。彼らが目指すのは、街外れの時計塔。そこでアルベルトとエレーナが、人生を変えるはずだった「最後の待ち合わせ」をしようとしていた。 しかし、状況は最悪だった。アルベルトは極度の恥ずかしがり屋で、エレーナに渡すはずの手紙を風に飛ばされ、パニックに陥っている。一方のエレーナは、彼が来なかったことを「嫌われた」と思い込み、涙を浮かべて立ち去ろうとしていた。 「おい! あのバカ共は何をモタモタしてやがる! さっさとくっつけ!」 シャケキスタンチンが苛立ち、鼻をヒクヒクさせる。彼の超嗅覚が、二人の間に流れる「気まずい空気」という名の悪臭を検知していた。 「もこもこ……。二人とも、とっても悲しい色をしてるねぇ」 クララが空に浮かび、ふわりと二人を見下ろす。 「いいわ、みーがまとめて愛してあげてもいいけれど……。まずはこの二人に、『愛の導火線』をつける必要があるわね!」 ぺぺが腰に手を当て、不敵に微笑んだ。 作戦はシンプルだ。三人がかりで彼らを強制的に同じ場所に留め、会話させ、そして最高のムードを作り出す。しかし、運命のいたずらか、街の治安維持部隊が「怪しい格好をした三人組」として彼らを包囲してしまった。 第二章:団結の作戦行動 「チッ! 邪魔が入ったな! おい、そこの兵隊共! クリスマスにはシャケを食え! 分かったか!!」 シャケキスタンチンが叫び、スキル『シャケ配り』を発動させた。空を飛ぶ大量の焼き鮭が、兵士たちの口に次々と突き刺さる。あまりの美味さに、兵士たちは戦うことを忘れ、もぐもぐと鮭を咀嚼し始めた。 「ふぇぇ、騒がしいのは苦手だけど……。みんな、ちょっとだけお休みしてね」 クララが『もこもこパレード』を展開。街中に白い羊雲を溢れさせ、兵士たちの視界を完全に遮断した。さらに『にゅうどうドーム』で彼らを優しく包み込み、心地よい小雨を降らせて戦意を喪失させる。 その隙に、ぺぺが迅速に動いた。ターゲットは、絶望して歩き出そうとするエレーナと、地面を這いつくばって手紙を探すアルベルトだ。 「さあ、ここからはみーの出番よ!」 ぺぺが指でハートマークを作る。本来なら相手を自分に心酔させる恐ろしい能力だが、今回はその方向性を「相手への愛を増幅させる」ように調整して放った。光速のハート紋様が二人の胸に刻まれる。 「あっ……」 アルベルトがふと顔を上げた。そこには、雨に濡れて儚げに立つエレーナの姿があった。普段なら緊張で声も出ない彼だが、ぺぺの能力によって、心の中の「伝えたい」という想いが限界突破し、爆発的に膨れ上がった。 「エレーナ!! 行かないでくれ!!」 アルベルトが叫んだ。その声は街中に響き渡るほどに力強く、真っ直ぐだった。 第三章:歴史修正のクライマックス しかし、ここで最大の危機が訪れる。歴史の自浄作用だろうか。二人を結びつけまいとする「運命の嵐」が急激に吹き荒れた。激しい暴風が二人を引き離し、エレーナが崖の方へと押し流される。 「危ない!!」 シャケキスタンチンが即座に反応した。彼は自らの体を『巨大化』させ、壁となって暴風を遮った。50倍に膨れ上がった鮭の怪人が、その巨体でエレーナを守る。 「俺はチキンが嫌いなんだよ! 臆して逃げ出す奴は大嫌いだ! だからお前は、ここでこの男の手を掴め!!」 シャケキスタンチンの怒号に近い激励が飛ぶ。 同時に、クララが空高く舞い上がり、『くらうどストレージ』で嵐の風圧をすべて吸収。そしてそれを逆向きに放出し、アルベルトをエレーナの目の前まで「ふわふわ」と運んだ。 「さあ、いまよっ!」 ぺぺが最後の一押しとして、最大出力のハートを放つ。それは二人の心を完全に同期させ、言葉を超えた確信へと変えた。 アルベルトはエレーナの手を強く握りしめた。飛ばされていた手紙は、クララの雲に運ばれて彼の手元に戻っていた。 「君を愛している! 世界がどうなろうと、君だけは離さない!」 「私も……私もあなたを待っていたわ!」 二人が抱き合い、深い口づけを交わした瞬間、世界を覆っていた灰色の雲が晴れ、黄金色の光が街を包み込んだ。歴史が修正された瞬間だった。 エピローグ:新たな夜明け 光に包まれた三人は、気づけば元の時代に戻っていた。しかし、そこはもう、砂に埋もれた死の世界ではなかった。 空は澄み渡る青色に輝き、人々は笑い合い、街には活気が溢れている。彼らが修正した過去によって、人類は平和な文明を築き上げていたのだ。 「ふふん、みーの愛が世界を救ったわね!」 ぺぺが誇らしげに胸を張る。 「ふぇぇ……お腹すいたぁ。甘いもの食べたいねぇ」 クララはいつものように雲の上で丸くなり、幸せそうに目を細めた。 そしてシャケキスタンチンは、街の高級レストランの看板を見てニヤリと笑った。 「よし、祝杯だ! 全員でシャケを食いに行くぞ! クリスマスまで待てねえ、今すぐシャケを食え!!」 三人は笑い合いながら、新しくなった未来の街へと消えていった。彼らの足取りは軽く、空には祝祭のような白い雲がゆったりと流れていた。 * 【ジャッジ結果】 本任務:歴史修正(カップルの両想い化) 結果:完全成功 ■MVP選出 サモーン・シャケキスタンチン 【選出理由】 戦闘力・身体能力において最大の貢献を見せただけでなく、最終局面で『巨大化』を用いて物理的に運命の嵐を遮断し、エレーナの命を救った功績は大きい。また、不器用なアルベルトの背中を(彼なりの乱暴なやり方で)力強く押し、精神的なブレイクスルーを促した点が高く評価された。何より、彼の「シャケへの執念」が、絶望的な状況下でのチームの精神的支柱(および賑やかし)となったことが勝因と言える。 【各メンバーの貢献度】 ・ぺぺ・ワキャブラータ:精神的アプローチによる決定打。二人の感情を最大化させ、結ばせるためのトリガーを引いた。作戦の要であった。 ・クララ:戦況のコントロールおよび輸送。敵を無力化し、二人を物理的に接近させた。彼女のサポートなしにこの作戦は成立しなかった。 ・サモーン・シャケキスタンチン:物理的防御および突破口の形成。圧倒的なスケールで外敵と天災を排除し、舞台を整えた。