第一章:不釣り合いな潜入チーム 深夜、深い森の奥に鎮座する古びた屋敷。周囲は不気味な静寂に包まれているはずだが、なぜか屋敷の窓からは温かい光が漏れ出しており、漂う空気はどこか「今日はいいことがある」と囁きかけてくるような、奇妙に幸運なムードに満ちていた。 そこに集まったのは、およそ「潜入」という言葉から程遠い、混沌とした四人の集団である。 「いいかい、みんな。作戦は単純だ。中に入って、キラキラしたものをたくさん集めて、15,000ゴールド分になったらさっさと帰る。それだけだ」 リーダーを自称して(実際はただ喋っているだけだが)指示を出しているのは、青いパーカーを着た小柄なスケルトン、サンズである。彼はスリッパをパタパタと鳴らしながら、あくびを噛み殺していた。 その隣では、全身を本格的な探検装備で固めた恐竜、ステゴサウルスが真剣な面持ちで万能ゴーグルを調整している。彼は言葉こそ喋らないが、その佇まいは熟練のプロ。チョッキのポケットからは、何でも出てくると噂される秘密道具の気配が漂っていた。 「楽園の至高なる光を背負い、天上の至福を地上に顕現させ、全宇宙の羨望を一身に集める至高の金髪美少女! イヴ・エデンライト、参上! 仔羊さんたち、楽園万歳! 楽園万歳!!」 血涙を流しながら絶叫する少女、イヴ。彼女のテンションは屋敷の幸運な空気をさらに加速させ、もはやホラーゲームとしての緊張感を根こそぎ破壊していた。 「sparkRing!! 準備は万端だ! 炭酸水の準備はできているか!?」 人間としての外見を持ちながら、中身は氷と気体のハイブリッドであるMr.sparkRingが、なぜか塩酸より強力な炭酸水をボトルに詰め込んで意気込んでいる。 「さてと……そろそろ行こうぜ。気楽にいこう。骨が折れるような努力は御免だからな」 サンズの冗談と共に、彼らは屋敷の重厚な扉を押し開けた。 第二章:幸運の探索と、見えない罠 屋敷の中は、深夜とは思えないほど明るかった。豪華なシャンデリアが輝き、赤い絨毯が敷かれている。壁には金縁の額縁に入った絵画や、棚に並ぶ銀の食器が散見される。 「おっ、いきなり当たりだぜ」 サンズがひょいと棚から、金色の置物を拾い上げた。鑑定すると、それだけで2,000ゴールド相当の価値がある。 ステゴサウルスは【熟達の探検家】のスキルを発揮し、先頭に立って歩く。彼は時折、ふっと足を止め、鋭い視線で床や壁を観察していた。彼には、この屋敷に潜む「違和感」が見えていたからだ。 「わあ! 見て見て! あそこにキラキラした宝石が! 楽園の小石みたいな輝き! イヴイヴ、あれを頂いちゃうよ!」 イヴが弾けるように跳ねて、展示ケースに向かって走る。その背後でMr.sparkRingが「僕も負けてられないな」と、机の上に置かれた豪華な銀の燭台(3,000ゴールド)を回収した。 ここまでは順調だった。幸運な屋敷の状態のおかげか、お宝は次から次へと見つかる。合計額はすぐに10,000ゴールドに達した。 しかし、ここでステゴサウルスが激しく手を振った。彼は前方の扉を指差し、首を横に振る。ゴーグルで解析した結果、その扉は「扉の形をした何か」――偽物の床ならぬ【セヴ】であることに気づいたのだ。 「おっと、危ないところだったな」 サンズが肩をすくめる。だが、そのときだった。廊下の突き当たりから、「グゥゥゥ……」という不気味な唸り声が響いた。 第三章:神出鬼没の脅威 「音に敏感な奴が来たみたいだぜ」 サンズが呟いた瞬間、壁を突き破って巨大な銃を手にした幽霊【ウィニット】が姿を現した。ウィニットの瞳は獲物を捉え、その銃口がMr.sparkRingに向けられる。 「わあああ! 炭酸で撃ち返してやる!」 Mr.sparkRingが炭酸弾丸を放とうとしたが、ウィニットの速度はそれを上回っていた。しかし、そこでイヴが叫んだ。 「そんなの悲しいよ! もっとハッピーに、コメディに塗り替えちゃえ! 【楽園のチカラ+】!!」 イヴの能力が発動し、張り詰めた空気が一変する。ウィニットの放った銃弾が、着弾した瞬間に色とりどりの紙吹雪とクラッカーに変わった。 「ドーン💥」 爆発音と共に、なぜかイヴ自身が天井から分裂して降りてきて、床に深く突き刺さった。頭だけが出ている状態である。 「楽園万歳! 痛くないもん! むしろ心地いいよ!」 そんなドタバタ劇に呆気に取られている隙に、別の脅威が忍び寄る。影だけの男【シクーラ】が、地面から音もなく伸び上がり、不意にMr.sparkRingの足を掴んだ。 「えっ!? ちょっ、離せー!!」 Mr.sparkRingは絶叫しながら、あっという間に影の中へと引きずり込まれた。彼は屋敷のどこか遠い場所へ連れ去られ、方向感覚を完全に失った。 「あーあ、一人減っちゃったな」 サンズは動じない。彼はもともと全攻撃を回避する能力を持っているため、危機感というものが欠如していた。 第四章:透明な絶望と、究極の選択 残された三人は、さらに奥の部屋へと進む。そこには、見たこともないほど巨大なダイヤモンドが鎮座していた。価値は推定10,000ゴールド。これを手に入れれば、余裕で目標額の15,000を超える。 「よし、これで上がりだ」 サンズがダイヤモンドに手を伸ばそうとしたその時、空気が震えた。 姿は見えない。音もしない。だが、そこには【スティアー】という透明な蝙蝠が潜んでいた。スティアーは冷酷にターゲットを選別する。狙われたのは、床に刺さったままのイヴと、警戒していたステゴサウルスだった。 「えっ?」 イヴが声を出す暇もなかった。目に見えない衝撃が彼女の意識を刈り取り、そのまま気絶。同時に、ステゴサウルスもまた、回避不能の不可視攻撃を受け、ドシンと大きな音を立てて崩れ落ちた。 残ったのは、サンズ一人だけだった。 第五章:スケルトンの独白と脱出 「……さて。状況を整理しようか」 サンズは周囲を見渡した。隣には気絶した恐竜と、頭だけ出ている気絶した少女。そして、どこかへ連れ去られた炭酸人間。 もはや協力体制は崩壊している。だが、サンズの手には先ほど拾ったお宝と、目の前の巨大ダイヤモンドがある。合計額は20,000ゴールドを超えていた。脱出条件は十分に満たしている。 しかし、彼はここで迷った。仲間を置いて帰るか、あるいは彼らを救い出すか。 「ま、オイラは面倒なことは嫌いだけどな……」 サンズはニヤリと笑う。彼は【重力操作】を使い、気絶したステゴサウルスとイヴをふわふわと宙に浮かかせた。そのまま彼らを「荷物」として引きずるようにして、出口へと向かう。 途中で再びウィニットやセヴの罠が待ち構えていたが、サンズはすべてを予知し、最小限の動きで回避し続けた。「回避した」という事実だけを残し、敵の攻撃はすべて空を切る。 「お前もやめる選択をしなきゃいけないんだぜ、幽霊さん」 最後に一度だけ青い光を瞳に宿し、追撃してくる敵を威圧して追い払ったサンズは、そのまま屋敷の正門を突き抜けた。 エピローグ 朝焼けの中、屋敷の外に転がされた三人の仲間たちが目を覚ます。 「……ふぇ? ここ、どこ?」 イヴがぼんやりと空を仰ぐ。ステゴサウルスは、自分が気絶していたことにショックを受けたのか、ガックリと肩を落としていた。そして、どこからかボロボロになって戻ってきたMr.sparkRingが、「迷路みたいなところだったぞ!」と叫びながら合流した。 彼らの手元には、サンズが回収していたお宝が山積みになっていた。 「まあ、結果オーライってことだ。お疲れさん」 サンズはホットドッグを頬張りながら、満足げに笑った。幸運に恵まれた屋敷での潜入作戦は、一部の犠牲(気絶)を出しながらも、大金と共に幕を閉じたのである。 【リザルト】 脱出成功者:サンズ、ステゴサウルス、イヴ・エデンライト 脱出失敗者:Mr.sparkRing!(※脱出ルートに合流したが、判定としてはシクーラに連れ去られ自力脱出できなかったため失敗。後日救出済み) 集めたお宝総額:25,000ゴールド