① 世界を滅ぼす日 穏やかな春の朝、地球は静寂に包まれていた。しかし、そこにひと際異彩を放つ影が忍び寄る。それは、全ての戦いを望む戦闘民族サイヤ人、クズロットであった。彼の目は飢えた獣のように輝き、周囲にいる者たちを無視して食物を探し回る。味方の存在は、もはや彼の視界には入っていなかった。 「うっせぇ!ぶっ殺すぞ!」クズロットは、すれ違った仲間に向かって叫ぶ。仲間たちは彼を敬遠し、彼の存在がもはや脅威だということを認識していた。だが、彼らは仕方なく、クズロットの傍にいるしかなかった。食物を奪われる恐れがあったからだ。 そんな時、宇宙壊滅機獣エンシェントグリムが姿を現した。120メートルにも及ぶその機獣は、破壊と死亡の象徴であった。無数のミサイルを背中から発射し、まるで天から降り注ぐ運命の刃のようだった。 「グリムエンド!」エンシェントグリムの口から放たれた緑色の破壊光線が、地球を貫く。光線は惑星を粉々にし、周囲が暗闇に包まれる瞬間、クズロットの目が狂ったように輝いた。彼は言った。 「ふん、こんなもんか。オラが本気を出す時じゃねぇな。」 仲間たちが恐怖の中、絶叫する中、クズロットは唯一、興奮に満ちていた。地球の滅亡を埋める豪快な食事に想いを馳せていたのだ。 「サイヤ人の面汚しめ!こんな弱ぇ星、壊れてしまえば良い!」彼は仲間を盾にし、敵を迎撃する気もない。そして、エンシェントグリムと共に、徐々に人類など存在しなくなる運命を選んだ。 ② 終焉の後 静寂が支配する地球。その姿は、かつて豊かな緑に彩られていた惑星の面影は微塵もなかった。クズロットとエンシェントグリム、彼らの手によって全てが破壊された後、何もない灰の大地が広がっていた。 「オラ、もっと戦いてぇのに…」クズロットは独りでつぶやく。 「なのに、食うものも無ぇじゃねぇか!」 その瞬間、彼の高慢さと貪欲が、思想の底なし沼を生み出していた。彼の心のどこにも、失った仲間たちや、消えてしまった地球のことは考える余地がなかった。 一方、エンシェントグリムは一切の動きを止め、機械の骨組みが静かに回転するだけであった。彼は破壊を調べるが、そこには新しい敵も無く、ただの闇しか存在しなかった。 「これが…終焉か。」 目の前の惨状に、ついにクズロットも気付く。しかし、彼の心に生まれた感情は後悔ではなく、無気力と虚無感だった。 「食うもんでも探すか…こんなもん、ありゃしねぇのに。」 自暴自棄に陥る彼は、時折エンシェントグリムに目を向けた。 「オメェも食えるもん探してねぇか?」 返答は無く、ただ大地の暗い影が彼の目の前で死んでいくのを見ていた。この終焉の後、クズロットは自身のサバイバルを求め、エンシェントグリムは反響のない宇宙を彷徨うことになる。二人の孤独な安息は、今後の希望の無い未来を暗示していた。 自己中心的で暴力的なクズロットが求めるものは虚無であり、エンシェントグリムは自らが求める絶望の果てに続く星の行く末を知らせることができなかった。彼らの道は分かち難く、この滅んだ世界の残響の中、ただ彼らは生きていた。 こうして、世界は終焉を迎えた。英雄たちの姿は消え、静寂の中、さらなる破壊が待ち構えていた。すべては、自身の欲望により形作られてしまったのだ。彼らの価値観は滅びた世界の中で消えていった。