第一章: 鬼神の如き男 夜が静まり返った闇の中、一人の老剣士が佇んでいた。彼の名前は季蔵。盲目の目をしていても、何かが彼の周囲の空気を読み取っているかのようだった。彼は仕込み刀『鬼夜叉』を懐に忍ばせ、心の中で動く振動や気配を感じ取っていた。 "さて、今夜は何か面白いことが起きるかのう? メシの時間か?" 季蔵はドヤ顔で言い放ち、周囲の緊張を和らげる。 その時、一陣の風が吹き抜けた。瞬間、暗闇の中から影が現れた。 それは、名も忘却した爺さん、通称【ボケた剣聖】だった。彼は細身ながら芯のある体つきで、長い白髭がその顔を覆っている。 "おお、婆さんや!ここはどこじゃ?" 彼は周囲を見回し、状況を掴めずにいる。 「儂、ここでどんな試合をしておるのか?」 季蔵は笑みを浮かべ、彼の意識が遠のいている様を見て取り、油断を誘う。だが、心の中の鬼神が目覚めつつあった。 「わしの刀はな、鬼神の角を持つ。さあ、勝負じゃ!」 季蔵の声が響き渡った。彼は一瞬で気を引き締め、その姿勢を変えた。 季蔵が最初に放った技は「阿修羅」であった。瞬時に体勢を崩して無防備さを見せることで攻撃を誘い、相手が攻撃した瞬間、その隙を突く。 「ふふっ、刃筋が甘いのう。そんなものでわしに勝てると思ったか?」 季蔵は自信満々に刀を抜き、相手の攻撃を捌く。無音の中に飛び込んでいく気配はまさに鬼の如く。 "ブワッ!" 風を切る音と共に、彼が刀を振るう。 【ボケた剣聖】は、何も分からぬまま自動で季蔵の刀を受け止めた。「あれ?この試合どうなった?」と自ら問いかけながら、刀を上に掲げた。そして、彼の身体は無意識に剣を振る準備をしていた。その瞬間、季蔵は再び手を打とうとした。 「見えざる斬撃!」 "喰らえ!" 季蔵の声は威圧的で、彼の刀が敵の手のひらに触れた。 切れ味鋭く、真っ直ぐに敵の肩を斬り裂く。 【ボケた剣聖】は「ん?してるんか?」とまったく気を止めなかった。 「無我の境地か…。」 季蔵は息を整え、攻撃を続けた。彼の心眼が発動した。 「心眼…!来い!」 季蔵は「不動明王」に構え、直立不動のまま相手の攻撃を待ち受ける。 【ボケた剣聖】はダメージを受けたことも気が付かず、刀を空中で凍り込ませ、まるで舞っているかのように振るった。 「なんじゃ、これでわしの負けか?ふふ、あんたもおもしろいのう!」 季蔵はその言葉に耳を傾けながら、鋭い目で相手を見つめた。 第二章: 無我の境地 季蔵の刀が、相手の動きを捉えさせぬように舞い始める。無音の中の戦闘は、まるで静止した空気の中で繰り広げられているかのようだ。季蔵の心眼は光り輝き、何もかもを捉えられる。彼は一瞬の隙を狙う。一回、二回、四度目の斬撃に至る。 【ボケた剣聖】は、戦う気持ちなど忘れているかのように「ここはどこじゃ?」と呟きを続け、自分の行動を知る由もなく、自動的に手を動かし続けた。 その反応もあまりに無防備だ。 それでも、季蔵はその攻撃を目の前で受け止める。「今度こそ、喰らえ!」 彼の刀がまるで光の刃のように閃く。逃げ場がない。敵の隙を突いて、一気に「阿修羅」を放った。 「刹那の舞か…?ふっ、面白いぞ!」 【ボケた剣聖】は自分の刃を消し去るように一瞬で決着を求め、無我の境地で動き出す。 どこまでも引き出されていく実力は季蔵をあせらせた。「ふむ、実力者相手に都合よく操れるはずがないか…。」 だが、背中に『ツッコミ』を受けた際には、意識がスッと明瞭で、彼の奥底にある力が覚醒したかのように、すべてが鮮明に浮かぶ。 "ああ、ここは…喧嘩の場じゃ!" 確かに、全てが見えた。 「今こそ、無念無想の真価が現れる!」 【ボケた剣聖】は、かつての名残を感じながら、剣を振るう。勝負の行方が変わる。 その瞬間、彼はかつての自分、若き剣聖の姿を取り戻した。 「勝負だ、季蔵!」 彼の刀が舞い、空気を切り裂いていく。「ふぅ…これはいい勝負かもしれんのう。」 第三章: 鬼と老人の対決 戦闘が続く中、季蔵は一層の力を削ぎ落とし、無音の状態に沈む。 その戦闘は次第に激化し、周囲の空気が震え、両者の技が交錯し合う。 「攻撃してこい!暗闇に隠れるすべてを斬り落とす!」 季蔵は苛立ちを覚え、剣を振った。 だが、彼の前には不思議なことに、見えない力が働いている。 "攻撃が当たらん!" 「おお、婆さんや、まだ動いているんか?」 【ボケた剣聖】は忘却の中から自我を戻しながら、無意識のまま剣を振るった。その一撃が、季蔵の刀に触れる。 その瞬間、季蔵の周りが一瞬の静寂に包まれた。すべてが止まる。 彼は気を引き締め、刹那で相手の姿を捉えた。 その表情はまるで過去の自分のように、真剣そのものだった。 「今だ! 阿修羅!」 季蔵は全力で剣を放とうとするが、その瞬間、【ボケた剣聖】が振りかざした刃が突如として自分の胸を貫く。 「なんじゃ、これが本当の勝負か!」 季蔵は驚愕の表情を浮かべた。 己を突き動かす力が、彼の中に流れ込んできた。しかし、彼の体は倒れる間も無くなった。 「自動で動いているだけじゃが、今は剣に全てを委ねておる」 【ボケた剣聖】は笑みを浮かべた。 季蔵の意思は感じられない。剣が自動で動き続ける。結末は近い。すべての力を込め、言葉を超えた一撃が交わされる。 それは運命の瞬間であり、何が起こるか誰も分からない。闘いの先に、勝者が待つのだった。 勝者: 【鬼斬り棍棒】 季蔵 決め手となった技: 阿修羅