廃墟と化した新宿の戦場 新宿の瓦礫に陽光が灯る昼下がり。見渡す限り倒壊したビル群の中、ひときわ異彩を放つ一角に、彼らは立ち尽くしていた。かつて賑わいを見せたこの地にもはや生物の姿はなく、唯一それを見守るカラスの影だけが不気味に円を描く。 彼らとは、一方は「残星のさすらい人」ヴィタ。自身を「か弱い女の子」と称する彼女だが、その全知の力と宇宙規模の超巨大ロボット・スタージャンパーは、彼女を戦場の支配者へと変える力を持っている。彼女の眼差しはどこか遠くを見つめ、相手の意図を全て見透かすかのように飄々としていた。 対するは、「破壊と再生の神」シヴァとその仲間、貫アネカ。この2人はヴィタの対抗者として新宿の廃墟に降り立った。 シヴァは概念そのもの。彼の能力はすべて無限。世界を破壊し再生する力を持ち、絶対的な存在としてそこに佇む。 貫アネカは、一見すると通常の戦士だが、彼女の戦術は複雑な規約に基づいていた。この規約は、相手の勝利を絶対に無効化し、自らの勝利を有効にするという一種のパラドックスである。 戦いの始まり 両者が構えると、先に動いたのは貫アネカだった。彼女は凄まじい速度で自らを攻撃し始めるが、その行動こそが彼女の勝利への証であった。なぜなら、彼女は戦いの規則に従い、相手の勝利を無効化する術を発動していたからだ。 ヴィタはその様子を余裕綽々と観察し、柔らかく笑む。「なるほど、面白いね。でも僕の手にかかれば、君の規則もかき乱されるよ。」 ヴィタは空間を割り、スタージャンパーを召喚。その膨大な力で規則をねじ曲げ、アネカの勝利条件に関わる全てを封じ込もうとした。しかし、その瞬間、シヴァの力が働きかけ、貫アネカの規則を保護する。ヴィタの「全能」による干渉を、シヴァは冷静に無効化するのだった。 崩れ行く瓦礫たち カラスの群れが不気味な旋回を続ける中、ヴィタの表情がわずかに曇った。「あら、意外と手強いのね。でも、これでどうかしら?」 ヴィタは手を掲げ、スタージャンパーの最大ビームを発動。夜空を裂く如きその光は一瞬で廃墟を包み込み、余波により新宿はさらに崩れ行く。しかし、その圧倒的な破壊力をもってしても、シヴァの全てを消滅させる力が働き、ビームの能力を打ち消す。 地下で響くような静寂が訪れる中、シヴァは微動だにせずその場に佇んでいた。「この世界の終わりと再生は何度繰り返しても同じこと。あらゆるものは無へと帰する。そして再び生まれる。君の攻撃もまた虚しい。」 シヴァの静かな一言は、貫アネカの笑みと共に狂気の勝利を確約する。 永遠の戦い 廃墟の中心で行われる激突は、互いの絶対性によって均衡を保っていた。ヴィタの全能とシヴァの無限。そして貫アネカの矛盾なる勝利の規則。結局、この戦いに明確な終わりなどなく、ただ永遠に繰り返される輪廻へと向かっていく。 カラスの群れが消え去り、新宿の廃墟は再び静けさを取り戻す。消えた戦場の外から、それを観戦した呪術師たちはただ呆然と立ち尽くすばかりだった。 「感覚的には理解できるが…なんとも凄まじい光景だ」と日車はぼそりと呟く。 「いや、ありえねぇだろ、こんなの」と日下部は眉をひそめる。 「あの二人の狙いは一体何かしらね」と冥冥が静かに問いかけるようにつぶやいた。 瓦礫に埋もれた新宿で、永遠に繰り返される激突が、ただ淡々と幕を閉じることなく続いていくようだった。彼らの戦いは、新たな幕開けを待つばかりだった。