凍てつく大地、その上には無数の氷の結晶が光を反射し、まるで美しいダイヤモンドを散りばめたような幻想的な風景が広がっている。その中でも特異な存在感を放つのが、氷精霊アイシーであった。彼女の青白い肌と空色の髪は、周囲の氷と共鳴し、冷たくとも美しい印象を与える。しかし、その瞳には冷酷で、深い憎しみが宿っていた。全てを凍らせ、絶望をもたらす存在として、彼女はこの世界に立ちはだかる。仲間たちと共に、その脅威に立ち向かうために、鈴棠灯月とグレイルは出撃を決意した。 「この世界を憎んでる? だったら、俺たちがその憎しみを打ち砕いてやる!」鈴棠灯月の声は、青空さながらの明るさで満ち溢れていた。しかし、そうした言葉が虚しく響くほど、アイシーの力は圧倒的だった。彼女の能力、【氷獄地獄】が発動した瞬間、大地が震え、猛吹雪がその場に吹き荒れた。 鈴棠灯月は、瞬時に自身のスキル、【幻影 反守】を発動させ、受ける攻撃が半減されたことを感じた。彼の体力が回復しながら、吹雪の中から立ち上がる姿が見えた。「受けてみろ、アイシー!」彼は挑発するように叫ぶと、自身の力を込めて力強く地面を踏みしめた。 一方で、グレイルは冷静さを保ちながら、目の前の敵を見据えていた。彼の心には友を亡くした悲しみが渦巻いていたが、その感情が彼を強くし、憤怒の力を呼び起こしていた。「我は貴様を許さぬ。全てを燃やし尽くしてやる!」グレイルが刀を振り下ろすと、炎が彼の周囲に立ち昇り、彼の攻撃力が一瞬で増していく。 アイシーは冷淡な笑みを浮かべながら、彼女の技【氷断零壁】を発動させた。無数の氷の壁が立ち上がり、炎の刃を受け止めた。しかし、グレイルの剣技は確かにアイシーの防御を侵食し、氷壁は微かにひび割れていった。「これが我が力だ!」彼の叫び声が、戦場の空気を熱くする。 アイシーはそんな彼に向かって、自身の技【氷滅槍群】を発動させた。彼女の周囲から冷たい氷槍が発せられ、天空を覆い尽くしていく。刺さる霊槍に身を静めた鈴棠灯月は、瞬時に【軌反】を発動する。「かかってこい! 全てをこの力で打ち砕く!」彼はアイシーの攻撃を全て受け止め、その力を吸収していく。まるで逆境を逆手に取るかのような姿勢を見せる鈴棠灯月。その瞬間、彼の周囲に閃光が走り、彼は最大の力を込めた一撃を放つ。 「打ち砕け! 起死回生の一撃!」鈴棠灯月の叫びと共に、連なった氷槍が一瞬の煌きを放ち、向かう先にはアイシーが待ち構えていた。しかし、氷の精霊はその美しい笑みを崩さずに、冷たい息【神凍氷華】を放った。 その瞬間、鈴棠灯月の一撃は氷に阻まれ、彼の力が氷に飲み込まれていった。突如として吹き上がる絶望の冷気に、鈴棠灯月は冷や汗を流す。「何故! 何故、俺の力が…!」 グレイルもまた、アイシーの技に気圧され、怒り立ち尽くす。「こんな道理があろうか…!」彼の心の中にうごめく感情が更なるパワーを呼び起こすが、その真実は彼自身を覆い尽くしていた。 「お前たちは無力だ。この氷の世界には、生き残る術はない。」アイシーの声が響く。彼女の言葉は、スノーホワイトの静けさの中で回響する。 再度、アイシーが手を上げると、再び大雪が降り注ぐ。彼女の直下に立つ鈴棠灯月とグレイルの身体は次第に動きが鈍り、その自由を奪われていった。 「我らの怒りは止まることはない。 固くなれ、我の力のままに…!」彼の周囲には冷徹な靄が広がり、アイシーの氷を打ち砕くための力を集めていた。グレイルは疲労と絶望感を押し殺し、真っ直ぐに敵を見据えた。「いいや、我々は負けない。必ず、貴様を倒して見せる!」 再度、ホワイトの大吹雪がうねり、アイシーは氷をもたらす力を強調した。彼女の美しい顔立ちが、次第に攻撃態勢を取る。何も理解できない鈴棠灯月とグレイルは、一瞬の隙をつかもうと、力を溜め始めた。しかし、その瞬間、彼らの前に現れたのは双眼の氷槍だった。 「無情の氷が、貴様らを凍りつかせる!」その氷槍は鋭く突き刺さり、鈴棠灯月は抵抗虚しく地に倒れた。グレイルは彼を見つめ、絶望する。 「灯月! こんな形で…!」彼は激しく怒りをかき立て、自身の力を放つ準備をするが、アイシーの冷気が彼の方に向けられた。 「我も、貴様も、ここで終焉を迎えるのだ。」アイシーの声に導かれ、氷の冷気が全てを拒む。 グレイルは立ち上がろうとするが、力尽きてその場に倒れた。そして、アイシーの氷の力が再び襲いかかる。全ての氷が彼に迫り、彼の体を貫くような強烈な寒気が彼の心を凍りつかせた。 「これが貴様の実力か。不甲斐ない。無駄な足掻きはやめろ。」アイシーの声が、村を包み込み、そのまま永遠に続く寒さをもたらす。 勝敗は既に見えつつあった。氷の精霊には勝てず、仲間たちは次々と倒されていく。最後の炎が消え、世界は静寂の中に沈み込み、二人の意志も凍りついていく。氷獄の厄災、アイシーは勝利した。彼女以外の抵抗者は、全てが敗北し、凍りつく運命を辿ることになった。