①世界を滅ぼす日 青白い月明かりが夜空を照らす中、無尽のアルジは小さな憧れの街を見つめていた。彼の右腋腹から三本目の小さな腕が生えていたが、その姿は周囲にはまるで異物のように映っていた。しかし、彼にとってこれはただの特徴に過ぎない。彼の心には大きな決意が秘められていた。 「全部壊してやる…」 その口調は投げやりであったが、内に秘めた怒りは確かなものだった。彼はひどく劣悪な環境の中、数多くの被験体として扱われ、自由を奪われ続けてきた。そんな自身に対する復讐が、今世界を滅ぼすことに繋がると信じていた。 一方、No.060クルスは自らの運命に抗っていた。意味を持たない執拗な実験の数々。彼女は白い肌と髪、赤い目を持ちながら、淡く浮遊している。彼女の念動力が、彼女自身の存在を支えていた。 「よろしくね、たのしいね」と彼女は言った。彼女には明らかに自らの運命を楽しんでいるように見えるが、その目はどこか悲しみを映していた。 シャドウのように、クルスもまた世界を壊すことを決心した。彼女のターゲットは、彼女を縛り付けていた組織だった。彼女はその培養カプセルを念動力で駆け巡らせ、彼女の真の力を解放する時が来るのを待っていた。 二人はそれぞれの思惑を胸に、世界を終焉へと導く運命の交差点に立っていた。それは偶然の出会いではなく、運命の引き寄せだった。 ②終焉の後 世界が崩壊したその日、無尽のアルジは千本の腕を天高く天に伸ばし、星墜としを放った。彼の周囲で全てが崩れ去り、かつて存在した全ての文明も、夢も希望も灰になった。彼にはそれが心地よく感じられた。 一方、クルスもまたその震えを感じ取っていた。「凄まじい、ね」と笑みを浮かべる。彼女のオーラストームが都市を一掃し、まるで喜びの舞であったかのように。 終焉の後、二人は運命的に出会った。その場は静寂に包まれ、崩れた街の残骸の中から、彼らは互いを見詰め合った。 「お前も壊したのか…」実際に壊したという言葉が、彼の口から出た。 「楽しかったね、終わりってこんなに美しいの」彼女は微笑み、空を見上げた。 「でも、こんなのじゃダメだ…」彼はつぶやいた。「何もない世界じゃ、戦う意味がない。」 「それもそうだね、次は何をしようか?」クルスは少し考えた後、目を輝かせた。 「次は新しい世界を作ろう…私たちの力で。」彼の表情に力強さが戻った。 彼らはそれぞれの理由で世界を滅ぼした存在として、同時に新たなことを模索する新たな関係性を築いていくこととなる。それは、彼らしか知らない新しい物語の始まりだった。