いざなぎの果て 【出会い】 この世の果てと呼ばれる平原は、無限に広がる大地の中心に位置し、空はどこまでも青く澄んでいた。しかし、その美しい風景の背後には、暗雲が垂れ込めていた。数世代にわたる伝説の戦いの舞台となるその場所で、運命の出会いが待ち受けている。 チームAのメンバーは、果てしない平原に集結していた。名付けの道化神は、揺らめく気配の中で自らの能力を確認していた。彼は、名の有無にかかわらず、すべてを相殺、破壊できる存在だ。彼は理を生きる神か、破壊の使者か、一切が無に還る運命を持つ。 その横には、冷静な表情を浮かべる《帝国軍 中将》死桜 雪乃が武器を抜かずに立っていた。彼女の紅い目が照らし出すのは、戦うために選ばれた激しい意志。傍らには、世界最強の剣士・剛獣三郎が佇み、古代の鍛士のように、二刀流の鉈を手にし、戦の申し子としての存在感を放っていた。そして、演劇部の月田万朔がやや離れた位置に立ち、神経を研ぎ澄ませている。彼は、虚構の力でこの戦いをどうにかしようと企んでいた。 「名は名となる。私は名付けの道化神。我に続け、仲間たちよ」道化神が言葉を吐いた。 「手加減はしませんよ。参ります。」雪乃が静かに刀を構え、緊張感が路地裏のように高まる。剛獣三郎もその気配を汲み取り、息を整えた。 「やれやれ。また俺か。こんな所で戦うなら、せいぜい名演技を見せてやるで。」月田万朔はのっけから気だるい声を出す。彼は仲間の期待に応える意志を見せた。 その時、平原に突如として現れた霧のような存在があった。それはチームB、すなわち【概念】第六感であった。彼らは概念そのものであり、物理的な形は持たず、ただ存在するために存在していた。 全てを超越する存在・第六感は、言葉を発することも、姿を見せることも無かった。しかし、彼らの存在は静かに、かつ確実にチームAのメンバーの心を揺さぶり、圧倒的な存在感を以って、その場を支配していた。 「ああ、これは厄介だな…」と、万朔は思った。 【激闘】 「来るぞ、皆!壁を作れ!」剛獣三郎が大声で指示を飛ばす。チームAはその言葉に従い、各自が持てる力を結集し、固い陣を築いた。果てしない平原を揺るがす呻き声が響く。暴風が起こり、チームAの間に混沌が押し寄せてきた。 「私たちは、名を持つ者。自分の名の価値を知らない者には、屈しない!」道化神の声が高らかに響く。彼は彼自身の力を存分に引き出し、感覚が目に見えない敵に対して有効なものにした。 その瞬間、闇の霧のようなものが、彼らに向かって押し寄せる。それは第六感の力—新たな感覚だ。理に基づく爆音と共に、チームAのメンバーの心に不安と混乱が広がる。 「お前らが不安に感じる限り、私の勝ちよ。」月田は冷静だった。演技力を駆使し、虚構の力で相手を欺こうと試みた。 「負ける気なんてしない、行くぞ!」雪乃は刀を握り、熟練の技を繰り出す。桜流の技が炸裂し、空気を切り裂きながら敵に向かって突進していく。 剛獣三郎もその後を追い、一撃必殺の天裂斬で第六感に向け刃を振り下ろす。しかし、想定外の事態が発生する。第六感は物理的な攻撃を完全に無視していた。まさに、存在の概念ですら超越した何かだった。 混乱が走る中、道化神は果敢にも立ち向かい、自らの能力を発揮した。「名のない存在に名を与えることで、我が無に還らせる!」道化神が叫んだ瞬間、彼の意志が世界を捻じ曲げるように感じられた。彼は無名に存在する力を相殺しようとした。 「やめてくれ!お前が名を与えることで、余計に混乱が広がる。」万朔が叫ぶ。しかし既に遅かった。道化神の力が炸裂し、周囲の空気が膨れ上がる。 「何をした!」剛獣三郎は驚愕の声を上げた。第六感は名を持たない存在であるため、道化神の技が逆撫でるような形に働いた。 その時、第六感の〈感覚の共鳴〉が発動した。隙間から、新たな感覚の波が押し寄せ、チームAのメンバーそれぞれの心に激烈な圧迫感が生まれた。脳が混乱し、直感を失った瞬間、剛獣三郎も月田万朔も、力を失い始めた。 「くっ、尽きることはない…!」万朔は逆境に抗いながら、虚構の力を駆使して無意識に抵抗を試みる。 「負けるわけにはいかないのだ!」雪乃が力強く叫び、再度力を振り絞ろうとするも、動くことすらままならない。 道化神だけが気を失った仲間たちを見つめながら、「我が力は、永久に名を持つ者にある」と言い放つ。 【終戦】 果てしない戦闘が繰り広げられる中、剛獣三郎が最後に力を振り絞り、空に向かって叫んだ。「これが俺たちの最大の力だ、天裂斬!」彼の声は、彼らの想いを込めた最後の叫びとなった。しかし、現実はすでに彼自身の意志を超えており、その力は次第に薄れていった。 「この混乱の中でも、負けはしない、俺には名があるから!」道化神は立ったまま周囲を見渡し、最終手段に出ようとしていた。彼は仲間たちを救うため、もう一度力を集めようとするが、そこに、第六感の大いなる波が襲い掛かる。 「もうおしまいだ、私たちの勝利だ」と、概念そのものが高らかに告げたかのように響き渡る。 仲間たちが一人また一人、倒れていく中、最後に立っていたのは道化神だけだった。しかし、彼の意志も、第六感の圧倒的な力の前に崩れ去った。その瞬間、道化神の叫びが闇に消え、全てが無に帰した。 「これは一つの名がない勝利だ。」 第六感はその存在を留めつつ、全ての名を貪るように吸収した。そして、果てしない平原の中で静かに消えていく。平原は静寂で包まれ、今やただの風景として漂っていた。この戦いがもたらしたのは破滅そのものだった。 「また、そのうち会うことになるだろう。」道化神の心に潜む言葉だけが、風に乗って逃げていった。チームAは敗北し、名の無き存在が力を持った。第六感は混乱の先に新たな秩序を作り上げ、その名声を高めていくのだった。 そして、この世の果てで繰り広げられた戦いは、ただ無情なる概念の支配者による勝利の名の下に終わった。