静寂の中、4つの門が次々に開かれ、闘技場へと華麗に登場する者たち。東の門から現れたのは、黒いローブをまとった謎の魔王、ムドゥラ・アビス。彼は星空のような黒いモヤを漂わせ、骨の馬に跨っている。その目は宙に浮かぶ音楽のように、冷静かつ優しい光を放っていた。 北の門からは、一際可愛らしい姿の幽霊、愛らしいお子様な幽霊が現れる。彼女は不安そうに周囲を見回し、舌っ足らずの声で囁く。「あっ、あなた、怖い?ちょっと、いたずらしてみるね~!」 西の門からの登場は、静寂と水の要素を纏った穹。彼女は薄青の衣装に身を包み、圧倒的な風圧を伴いながら空間を整える。「私の力で、この場を青に染めてみせるわ。」その言葉は、まさに彼女の技の第一歩となる。 そして、南の門から、特異な存在の獅子王が登場。「ふぅ、どんな悪霊も祓うよ。よーし、準備は整った。」天候を操る力を秘めた彼は、強い存在感を示していた。 闘技場が互いの気配に包まれ、静寂は破られた。その瞬間、ムドゥラが大きく息を吸い、静かに口を開く。「いい曲だ…一曲、いかがかな?」彼の呟きとともに音楽が流れ、場は彼の音色に圧倒されていく。 お子様な幽霊は怖さよりも彼の音楽に興味が湧き、ふよふよと浮かび上がる。「その音楽、すっごくいい!わたし、聴きたいっ!」彼女の言葉が響くと、ムドゥラの奏でる楽器の音色がさらに高まる。彼女は浮遊しながら、周囲の物をひょいと動かし、幽霊ならではのいたずらを試みた。 「あっ、ビックリさせたら喜んでくれるかな?」お子様な幽霊は楽しんでいたが、穹はすでに3つの淡く蒼い人形を呼び出し、彼女の心に青の支配をかけていた。「私の操り人形と、あなたの音楽…どちらが勝つかしら?」 そこへ獅子王が参加する。「私が悪霊を祓って、天候を操るから、君たちは見ていてくれ!」ぶつかり合う音楽と色彩、幽霊の悪戯。闘技場は混沌としたエネルギーに包まれていく。 しかし突然、ムドゥラは彼の最大技「槃灑」を奏で始め、凄まじい音楽が場を撹拌する。その振動は周囲の霊たちを取り込み、彼女の操る幽霊たちも影響を受け始め、興奮から心臓が弾け飛ぶような感覚に駆られる。 「わぁ!これは…!」お子様な幽霊は喜びながらも恐れを抱き、さまざまな悪戯が中途半端になっていく。穹は「ううっ!まさか音楽の前に私の青の力が…!」と苦しむ。 その刹那、獅子王が二人と共に舞い出し、彼の鬼気迫る声が響く。「皆、我が力を持って、導いてやる!」だが、彼の進言もどこか音楽に吞み込まれてしまっていた。 圧倒的演奏が続く中、とうとうお子様な幽霊は雨に打たれ束の間力尽き、最後の笑顔を見せる。「あ、楽しかった…また、遊ぼうね…」命を全うし、彼女は優しく消えていった。 そして、ムドゥラ・アビスは孤独に微笑み、闘技場に静寂が戻る。音楽が全てを支配し、彼の圧倒的な勝利を当然の如く証明していた。 「いい曲だ…」彼の声が、静寂の中に響いた。 【勝者:ムドゥラ・アビス】