廃ビルは全15階建てで、放置された時代の名残を感じさせる様相を呈していた。外壁は所々剥げ落ち、窓はほとんどが割れている。各階層は独特の設計が施されており、戦闘が繰り広げられるには絶好の舞台だった。1階から3階は広いスペースが確保されており、商業施設やオフィスの名残が見受けられた。4階から8階は封鎖されている部分も多く、廃棄物や雑然とした家具がゆったりと散らかっていた。そして9階から12階はかつての展望台の名残があり、窓からは遠くの風景が望める。13階から15階にかけては小部屋が多く配置され、かつての住居であったと思われる。エレベーターは停止しており、階段を使って上下する必要があった。 ホークは第6階で目を覚ました。彼女は自分の立ち位置を確認すると、すぐさま持っているMRADを手に取った。彼女の狙撃技術を最大限に活かすため、周囲の環境を利用する計画を立てる。廃墟のあちらこちらにある残骸や影を巧みに使うことで、敵からの発見を回避するつもりだった。 一方、イザベラ・アルカーノは第10階に目を覚ました。彼女は自らの身体能力の高さを活かし、従来の感覚に頼らず魔眼を使って周囲の状況を把握しようと試みる。緑の髪が薄暗い空間に映え、左目が赤く輝いていた。周囲を数百メートル先まで見ることができる能力を駆使し、ホークの存在を探るのだ。 時間が経過するにつれて、ホークはセンサーを展開し、敵の動きを察知しようとした。センサーが反応した瞬間、彼女はその場所を狙撃ポジションとして選び、窓のそばで仁王立ちしていた。彼女の心は冷静で、まるで無心の状態であった。目標が確定した時、カメラを通して周囲の状況を確認すると、彼女は無言で引き金を引いた。MRADの銃声が響き渡り、弾丸は正確に突き刺さるように進んでいった。 しかし、イザベラは魔眼の能力でその弾丸を視認していたため、身をひょいっとかわせる。彼女は直感的にその場から離れ、階段を駆け下りて、周囲の環境を整えた。P90を構えながら、ホークが他のフロアに移動するのを待つ。 ホークは冷静に状況を分析し、エレベーターシャフトに忍び込むことを決意する。エレベーターシャフトの内部に身を潜め、真上をつかんで階上へと移動することにした。そこから、彼女はチャンスを伺う。イザベラの魔眼は近くにいる敵を探知し、彼女が直感的に狙った方角へと歩み寄った時、ホークが真上から見下ろしていることに気付かなかった。 ホークがイザベラを狙い撃ちした瞬間、イザベラもまた自らの魔法と銃を駆使して応戦する。彼女はP90を撃撤し、その弾は魔力によって徹甲弾化され、効果的にホークへ接近する。ホークはこの攻撃をかわすのに必死だが、イザベラの魔眼は彼女の動きをピンポイントで捉えていたため、一手先を読まれる。 瞬時に流れる弾幕の中、ホークは自ら仕掛けたクレイモア地雷を周囲に設置することで、敵が近づく瞬間を待伏せる。しかし、そのことに気付いたイザベラは、再び距離を取りつつ魔法を活用し、彼女のヘカートIIを召喚。発射される榴弾はこのビルの構造を利用することで、ダメージを最大限引き上げていく。 戦闘が始まってから数時間。両者の水面下での攻防は続いていく。展望台へ向かうイザベラの一歩を、ホークは屋上から狙撃する。冷静なホークの目は緊張で研ぎ澄まされ、引き金を引く瞬間には確実にイザベラの頭を狙っていた。 その時、イザベラは最後の一手として魔力を込めた弾丸を発射。彼女はホークの動きを見逃さず、彼女の動きに合わせて反撃に出る。同時に互いの弾は空中で交錯し、爆発音が周囲に響き渡った。 ビルへ響く衝撃は、二人を一瞬鈍らせるが、ホークの運の良さが勝ち、彼女はなんとか生き残った。一方、イザベラはその一瞬で自らの魔力が切れる。ホークはその瞬間、残された力をすべて振り絞り、MRADを撃ち込んだ。 直後、イザベラの身体に命中する弾丸。彼女の心臓を捉えたその瞬間、彼女は自らの力をもって最後の魔法を引き起こすが、その力は尽きていた。ホークの目に映っているのはもう、倒れ込むイザベラの姿だった。 それから時間が経ち、戦闘が終息を迎えた後。ホークは静かにビルから出ていく。さまよう廃ビルの端を通り抜け、夕日を浴びた彼女の影は長く伸びていた。彼女は最後の一撃を心に温めながら、世界を再び見つめなおしていた。 それは無情な、戦虎の宿命を背負っているかのようだった。