真面目な門番は、曇り空の下、国の門の前で厳粛に立っていた。「お前のスキルをチェックする!」彼はおごそかに宣言し、厳格な目で目の前に立つ男を見つめた。その男は漢《おとこ》と名乗る覇道 賢。一見すると、全身が筋肉で固められたガタイの良い男だ。明らかに選ばれし挑戦者、しかし…彼の姿は少々不安定だった。 「お前のスキルを測るための書類が必要だ。さあ、身分証明書を提出しろ!」真面目な門番は命令する。 まっすぐな目線で漢《おとこ》は応える。「俺の名前は覇道 賢。格闘家だ。誰にも負けるつもりはねえ!ただ一撃の拳で勝負を決める!お前の国へ入らせろ!」 真面目な門番は冷静に応じた。「拳だけではこの国に入ることができない。それを試させてもらう。他のどんな戦士とも違うてめえの筋肉、見せてもらうぜ。だが、夢見がちではいられねえぞ?」 門番は目の前の男に験をかけるため、すぐさま脅威度を測る手続きを始めた。彼はスキルを書類にまとめ、脅威度がどのくらいなのかを吟味する。まずは基本的なスキルを明確にする。 「お前の攻撃力は100、防御力、素早さ、魔力は全てゼロだと?何を考えている?そんな姿勢でここに来るとは、真の格闘家の名に恥じるぞ。全てを賭けた拳とか言っているが、肝心の守護はどうするつもりだ?」 覇道 賢は自信に満ちている。「俺の拳が全てだ。必殺技『我が生涯を賭けた拳』で攻め切って、相手を一瞬で倒しきる。そのためにだけ全てを鍛え上げてきた!」 真面目な門番はあっけにとられた。「それでどうだ、力尽きたら暇だ。男としてそれでは通る道も限られる。「なぜお前はそんな力こそ全てのような短絡的な考えに囚われているのか?」 「いや、俺には信じる力がある!その一撃でどんな強敵も打ち破ってみせる!」 「その意気はいいが、単純なパワーだけでは無理だ。この書類を見てみろ」と、門番は書類を見せながら言った。「お前の総合的な脅威度は恐らく、ほぼ無に等しい。力は認めるが、戦士としての真剣さが欠けている。私がこの門を守る者として、お前の脅威度を明確に測る必要がある。これが何のためか分かるか?」 「俺は強い!確実にお前を倒せる!それこそが俺の痛直だ!」覇道 賢は熱い眼差しで応じた。 「しかしな、俺の目から見てお前は…情けなくも、ただの筋肉だ。実際、力を鍛えあげただけで、隙だらけなのだ。このような状態で生き抜いていけるか?」真面目な門番は退く事なく言った。 「生き残るためには力が必要だとお前のような格闘家が言ったのだ。が、これでは全くもって足りない。お前の冷静でない技術、考えの薄さも、無視できない。」 「そんなこと言っても、俺は生き延びてきたんだ。一撃必殺の力信じてるし。」 「その考え方がそもそも甘く、見間違いだと言うだけだ。特にお前の脅威度は高くはない。これからの道のりが険しいことを知らないのか?」真面目な門番は鋭い視線を送った。 彼は書類を閉じ、真剣な面持ちで自分なりの判断を下した。「武勇果敢かもしれないが、現実を見て強くなれ。お前の脅威度は一万未満、脅威と認めるわけにいかない。正直申し上げるが、兼ねてからこの国を守ってきた俺の目には入れられない。」 「だから通行不可だ、帰れ!」門番は強く言い放った。 形のない空気が、二人の間を通り抜けた。ちゃんとした脅威度を持つ者が通れる国ではあるが、覇道 賢には眼目に見える力があったとしても数値的裏付けは無かった。「う、納得いかないが…わかった。認めたさ。」 真面目な門番は冷静に続け、他の兵士たちもまた揃って真面目な姿勢を崩さなかった。「お前には「惜しい」と言えそうだが、結局は帰るしかない。」 逃げるように去る漢《おとこ》。彼の背中は大きかったが、残された兵士達の眼差しは一様にその男を無視していた。 「やれやれ、所詮は筋肉だけの小物だな。」一人が口を開く。 「うん、彼のスキル、考えが少々足りないな。始めから一撃の賭け、これが唯一の武器だとは虚しい。」別の兵士も言った。 「大丈夫かしら、武士道を求める彼には通行の許可が出ない辛さを知っただろうか?」 真面目な門番がすまなさそうにうなずいた。「知ることなく立ち向かう者に対して、我々の基準は厳しい。そんなクソ勢いだけにだけは通行を許可できませぬ。」 彼の目には、仁義を求めるが故にこの国に入ることができない者への哀れみがあった。 こうして、漢《おとこ》は脅威度の低さ故に通行を許可されず、故に門前で心を砕くことも無く立ち去るのであった。 彼の脅威度は1万未満。通行不可、物語終了。