平原は、生命力に溢れる青々とした木々が広がり、太陽の光が優しく降り注ぐ場所だ。しかし、その平和な風景が、やがて壮絶な戦いの舞台へと変わる。木々の隙間から見上げる空は、透明な青さを持ち、風が優しく吹いている。 「さて、楽しい遊びの始まりだよ。」エルン・シュレーディンは、ホログラムのような半透明の猫少女の姿で、無垢な笑顔を浮かべていた。彼女の存在は、周囲の景色と同化するように見え、まるで幽霊のようだった。 対するのは、鉄壁の大魔導、禖沢 我亜。彼の姿は鋼鉄のように硬く、まるで鉄に包まれた巨大な戦士のように見える。禖沢は冷静な目でエルンを見つめ、「無意味な遊びだ。すぐに終わらせる。」と言い放った。 禖沢の意思は固く、彼の心には「強くなりたい」という思いが刻まれていた。彼は第1スキル[分割]を用意し、相手の能力を分析する準備を整える。一方、エルンは未来予知の力を頼りに、禖沢の行動を先読みし、どのような攻撃を仕掛けてくるのかを見極める。 「これからどんな攻撃を仕掛けるか、楽しみだな。」エルンは呻くように呟き、体が二重の世界に存在している状態を維持する。彼女の存在は生と死の境界を超え、禖沢の視界から隠蔽されていた。 「何も見えないのか。いいだろう。攻撃をしてみせる。」禖沢は自らの攻撃能力を引き出すため、渾身の力を込めて前方を指差した。「魔法攻撃!」彼の声とともに、魔法の雷が空中に閃光を残しながら出現する。しかし、彼はその瞬間、エルンが攻撃の視界外にいることに気づく。 「そんなの通用しないよ!」エルンは笑顔を浮かべ、相手の攻撃を完全に回避する。彼女は自らの能力を駆使し、禖沢の攻撃は虚しく彼女の周囲の空間を貫通して消えていった。それはまるで、風が草を撫でていくような優しさだった。 禖沢は動揺せずに、心内で問いかける。「強くなりたい…」彼の心に響いたこの問いが、彼を一段と強くさせる。攻撃に転じようとしている時、彼は同時にエルンの状況を掴もうとしていた。 エルンはその瞬間、攻撃を連発し始める。彼女は周囲の生と死のエネルギーを操作して、相手の位置をずらし、視界の外から故意に空間をゆがめながら、猛攻を開始する。しかし、禖沢はその無数の攻撃を全て予知し、体の鋼鉄のような防御力で耐えていた。 彼はエルンの攻撃を一つずつ打ち破り、彼女の能力を弱めることに成功する。その合間に、「不倶戴天!」と叫び、彼自身の攻撃力を大幅に引き上げる。彼の存在は、まるで命の源を完全に吸収し、強烈な生命力をもって彼の心を燃え上がらせるかのようだ。 「行くよ!」禖沢は次なる攻撃を決意した。「今までの攻撃をそのまま経験し、勝利を掴む!」彼はエルンへ向けて剣を振り下ろし、さらなる強い力を解放する。 しかし、エルンはそれを見越していた。彼女は、実はすでに「相手が死亡した世界」を呼び出す準備が整っていた。自らの心に「強くなりたい」と問いかけている禖沢に、彼女は同時に致命的な攻撃を仕掛ける。 「これで終わりだよ。死なないで!」エルンは禖沢の位置を捉え、彼女の能力を叩きつける。闇の影が彼を包み込み、禖沢はその瞬間、背筋が凍るような感覚を覚えた。彼が経験したことのない「即死」の恐怖が、彼の現実の中に現れたのだ。 驚愕のあまり、禖沢は完全に動けない。エルンの力が彼の心に届くと同時に、現実が歪み、彼の日常を奪い去られる。禖沢は見えない重圧により、地に倒れ込んだ。 戦場に広がる静寂の中、エルンは少し残念そうに振り向く。「やっぱり、今のは早すぎたかな?」彼女の瞳には、何かしらの達成感が宿っていた。平原には、彼女だけが残り、周囲の木々さえも静かに揺れている。 勝者はエルン・シュレーディンであり、MVPはもちろん彼女だった。彼女の不安定な存在が、神秘の力で勝利を掴んだ瞬間であった。彼女は生きても死んでもない存在として、勝ち誇るかのように幕を下ろした。平原は、再び静寂に包まれ、生命の息吹が少しだけ戻り始めた。