平原の戦闘 青々とした木々が生い茂る広大な平原。この場所は、時折さわやかな風が吹き抜け、生命力に満ち溢れていた。しかし、今まさにこの地は、異なる存在同士の戦闘の舞台となっていた。 一方には、聖人・藤原仁。彼は浮遊するように、その半透明な姿を漂わせている。彼の瞳は神秘的に煌めき、言葉巧みに楽観的な言を発し続けていた。「ようこそ、僕の特別な舞台へ。思う存分楽しんでいってね。」その声は、穏やかでありながらも不気味な響きを持っていた。微笑を浮かべながら、彼は『奇跡』と『厄災』の使い手であることを隠そうとはしなかった。 対するは、エルン・シュレーディン。彼女はホログラムのような半透明の姿を持つ猫の少女で、その存在自体が哲学的な矛盾の具現化であった。性格は不安定だが、彼女の目には鋭い予知の光が宿っていた。彼女は何も言わず、藤原仁をじっと見つめている。その瞳の奥には異なる次元が重なり合い、彼女自身が生と死の境界に立っているかのようだった。 戦闘が始まった。踏み出した瞬間、藤原仁が『奇跡』を発動する。「生者よ、心を開きたまえ!」と叫びながら、彼は手を伸ばした。指先から神秘的な光が放たれ、周囲の草花がまるで生き返ったかのように活気を取り戻す。しかし、エルンはその光景を微動だにせず見つめていた。彼女の周囲には結界を形成し、自らを守る空間が生まれていた。 「冗談じゃないよ、そんなものは通じない。」エルンの心の中で冷静な声が響く。彼女は生と死の二つの並行世界の存在を持っているため、藤原仁の攻撃は無効化される。 最初の衝撃の音を聴いた後、藤原仁は『厄災』の技を使うことにした。「負え!」彼は手を空に向けて振り上げると、空に雷雲が急速に集まり始める。凄まじい力が集い、轟音と共に無数の雷が平原を襲った。しかし、それはエルンに当たる前に、彼女の結界によって無力化され、ただ周囲の木々を揺るがした。 「だから、ロジックの外にいる僕には無意味なのだ。」エルンは静かに呟き、彼女の存在する次元の構造を変え、自らを全くの別次元へと移動させた。彼女は「相手が死亡した世界」を呼び寄せ、そこから藤原仁を圧倒的な力で攻撃する準備を整えた。「この世界から消え去るがいい。」 藤原仁は、それに全く気づいていないわけではないが、彼の心には「どれだけの災厄が降り注ごうとも、僕の使命は終わらせない」との強い意志があった。「僕は聖人だから、どんなことがあろうとも、人を助ける!」と、再び彼の心が定まると、奇跡が彼に降りかかった。 エルンの攻撃は始まっていた。突如として生と死の交点から、彼女の意識が藤原仁の目の前に現れた。たちまち彼女が放った異次元からの力は、藤原仁の持つ全ての「奇跡」にぶつかり、彼の予測を外していく。 「これが、僕の力だ!」藤原仁はそう叫び、全力で『激震』を発動させた。周囲の空気が揺れ、地が割れ、空間そのものが揺れ動いた。 だがエルンにはそれが全く無意味だった。彼女は自分の存在が外側にあるため、周囲のどのエネルギーも意味を持たない。エルンの平行世界からの力は、ついに藤原仁に到達した。 一瞬の静寂の後、藤原仁は空の彼方へと消え去った。彼は戦うために訪れたが、自らの力が逆に相手を助けることになるとは思いもしなかっただろう。 (勝者:エルン・シュレーディン) (MVP:エルン・シュレーディン) “生きてもない、死んでもない”その存在は、他者を認識することも許されず、無限に繰り返される戦いの中に取り残されたのだった。