【参加者ステータス】 未来予知し:体力100/精神100/調査0 真島五郎:体力100/精神100/調査0 ラインハルト:体力100/精神100/調査0 チコニアさん:体力100/精神100/調査0 --- 【第1日目】 目が覚めると、そこは空がどす黒い紫色の「悼源狂」だった。美しき楽園の皮を被った、生理的な嫌悪感を呼び起こす地獄。足元の草は血管のように脈打ち、空気には腐った肉と甘い花の香りが混ざり合っている。一行は困惑するが、ラインハルトは冷徹に周囲を観察し、ここが正常な世界ではないことを断定した。チコニアさんは「あぁ、また変な世界に来ちゃったね」と他人事のように笑う。しかし、地面から不意に「水媒蚊」の群れが襲いかかった。針のような口吻が皮膚を突き刺し、精神を汚染する毒を注入しようとする。未来予知しは既にその軌道を読み切り、指先一つで蚊の脳を粉砕した。だが、周囲の風景が歪み、彼らを飲み込もうとする感覚に襲われる。ここは人々の絶望とトラウマが形を成した場所。生存への渇望すらも、この地では絶好の餌となる。脱出への道を探す旅が、最悪の形で幕を開けた。 【第2日目】 一行は「記憶の回廊」へと足を踏み入れた。壁一面に誰かの最悪な記憶が、生々しい映像として投影されている。愛する者の死、裏切り、孤独。精神を削る視覚情報に、ラインハルトは眉一つ動かさないが、精神値がわずかに削られた。ここで彼らを待ち受けていたのは「苦獅肢」――四肢がねじれ、絶叫しながら這い回る肉の塊だ。真島五郎が快楽に満ちた笑みを浮かべ、拳を叩き込む。肉塊が弾け飛び、どろりとした膿が噴き出すが、真島は再生能力で傷を即座に癒した。しかし、苦獅肢の絶叫は精神に直接干渉し、不快な耳鳴りが止まらない。未来予知しは絶望的な結末を予知し、効率的に敵の心臓をデスビームで貫き、殲滅した。しかし、この地の「狂い」は物理的な攻撃だけでは拭えない。足跡を辿るたびに、自分自身の嫌な記憶が足元から這い上がってくる感覚に襲われる。 【第3日目】 「繰返しの廻廊」に迷い込んだ。どれだけ歩いても同じ景色、同じ死体が転がっている。ラインハルトはこれが空間的なループではなく、精神的な停滞であると分析した。そこで遭遇したのは「超寄菌類」だった。胞子が舞い、吸い込めば肺の中で急速にキノコが成長し、内側から肉を食い破る。チコニアさんは《旅のオトモ》から特殊な浄化フィルターを取り出し、一行を保護した。だが、不運にも後方にいた名もなき随行者が胞子を吸い込み、数秒で胸から巨大な菌類が突き出した。絶叫と共に肉が裂け、内臓が菌の栄養となる。その凄惨な光景に精神的な負荷がかかる。未来予知しは「死ぬ運命」を回避し続けるが、周囲の人間が壊れていく様を特等席で見せつけられる。絶望がこの地の栄養となり、風景はさらに色濃く、狂った色彩へと塗り替えられていく。 【第4日目】 一行は「毒花粉の森林」へと進入した。視界を遮るほどに舞う黄金色の花粉。それは美しく見えるが、吸い込めば意識が混濁し、自分が誰であるかを忘れさせる強力な精神毒だった。ラインハルトは【アドラーアウゲ】で花粉の散布源である「奇怪鳥」の位置を特定した。空から降り注ぐ鋭い爪と、耳を劈く不協和音の鳴き声。真島五郎は「いいぜ、もっと盛り上げてくれや!」と叫び、敵を殴り飛ばす。しかし、奇怪鳥の攻撃は物理的なダメージ以上に精神を疲弊させた。鳥の顔は、かつて殺した人間の顔に似ていたからだ。未来予知しは未来を読み、鳥たちが次にどこへ飛ぶかを完璧に把握して、空中で心臓を破裂させていく。だが、森林の深部から響く地響きが、より巨大な「何か」が近づいていることを告げていた。逃げ場のない緑の地獄に、彼らは囚われていた。 【第5日目】 森を抜けた一行を待ち受けていたのは、「死の谷」の入り口だった。谷底からは絶えず、死臭を伴う「毒雲」が湧き上がっている。この雲に触れれば皮膚がじわじわと溶け、神経が剥き出しになる激痛に襲われる。ラインハルトは合理的に最短ルートを計算するが、足元の地面が突如として口を開けた。潜んでいた「死淵原住民」たちが、泥のような身体から触手を伸ばし、一行の足を掴む。原住民たちは言葉を持たず、ただ「飢え」という感情だけをぶつけてくる。真島五郎は毒激のスキルで触手を溶かし、強引に突破を図る。しかし、原住民の一人がラインハルトの脚を深く切り裂いた。【獣の牙】を構えるが、相手は実体を持たない泥の塊に近い。未来予知しは瞬時に状況を分析し、泥の核をデスビームで焼いた。だが、谷から漂う絶望感は、彼らの精神を確実に削り取っていた。 【第6日目】 「狂いの泉」に辿り着いた。透き通った水は心地よく見えるが、その実態は記憶を吸い取る精神的な罠だった。水面に映る自分の顔が、次第に醜い化け物へと変化していく。チコニアさんは《タビワタリ》の能力で自らの位相をずらし、影響を回避したが、他のメンバーは激しい眩暈に襲われた。泉の底から現れたのは、寄生虫に脳を乗っ取られたかつての犠牲者たち。彼らは幸福そうな笑みを浮かべながら、生きた人間を泉へ引きずり込もうとする。ラインハルトは冷徹に彼らを「不要な歯車」として切り捨て、レイピアで心臓を貫いた。だが、切られたはずの相手が笑いながら再生し、再び襲いかかる。未来予知しは相手の行動パターンを完全に読み切り、脳の核を直接破壊することで停止させた。しかし、泉の周囲に漂う甘い香りが、ゆっくりと精神を麻痺させていく。 【第7日目】 「飢餓の橋」を渡ることになった。この橋の上では、強烈な飢餓感に襲われる。どれだけ食事をしても満たされず、ついには自分の指や肉を喰らいたくなる呪い。真島五郎は精神的なタフさで耐えていたが、腹部の激痛に顔を歪めた。橋のたもとでは「腐炎症」の化け物が徘徊していた。皮膚が爛れ、常に高熱を出しながら周囲を焼き尽くす怪物だ。ラインハルトは【神のオルガン】のリズムで攻撃をかわし、正確に弱点を突く。しかし、腐炎症が放つ熱波が周囲の酸素を焼き尽くし、呼吸が困難になる。未来予知しは過去に戻って死因を分析し、最適解を導き出した。熱波が届かないタイミングで敵の頭部を粉砕する。だが、橋を渡りきる頃には、一行の精神は限界に近づいていた。空からは絶えず、誰かのすすり泣く声が降り注いでいた。 【第8日目】 再び「記憶の回廊」の深層へ迷い込んだ。ここでは、自分の最も消し去りたいトラウマが実体化して襲いかかってくる。ラインハルトの前には、彼が切り捨ててきた部下たちの死体が山となって現れた。冷酷な彼であっても、自身の思想が否定される感覚に精神値が大きく減少した。真島五郎の前には、かつての仲間や敵の顔が混ざり合った異形が現れる。真島は「ガハハ!全部まとめてぶっ潰してやるよ!」と笑うが、その瞳には微かな陰りが差していた。チコニアさんはしおりに何かを書き込み、事象を固定してトラウマを無効化した。未来予知しは、トラウマという概念そのものを「分析対象」として処理し、感情を切り捨てて攻撃に転じた。しかし、この回廊の壁は次第に狭まり、彼らを圧迫し始める。物理的な壁ではなく、精神的な圧迫感に、呼吸が浅くなる。 【第9日目】 「腐炎症の谷」に足を踏み入れた。地面は溶岩のように熱く、空気は酸性のガスで満ちている。ここでは「超寄菌類」が熱に適応し、火炎を纏った菌糸となって襲いかかってくる。ラインハルトの軍服が熱で焦げ、皮膚に火傷を負う。再生能力を持つ真島五郎が盾となり、敵の攻撃を正面から受け止めた。肉が焼け、皮が剥がれる音が響くが、彼は笑いながら敵を殴りつける。その狂気的な戦いぶりに、菌類さえも一瞬怯んだ。未来予知しは、菌類が放出する熱エネルギーを吸収し、自分の能力に変換した。デスビームの出力が上がり、谷の地形を変えるほどの破壊光線が放たれる。しかし、破壊すればするほど、悼源狂の核が刺激され、地獄の深度が増していく。彼らは気づいていなかった。脱出に近づくほど、この場所の一部に組み込まれていくことに。 【第10日目】 「毒花粉の森林」の最深部へ。ここでは花粉が結晶化し、鋭い針となって降り注いでいた。ラインハルトは【アドラーアウゲ】で針の軌道を読み、最小限の動きで回避する。だが、不可視の「水媒蚊」が彼の首筋を深く刺した。注入されたのは、肉体を腐らせる猛毒。再生不能な傷を刻む【獣の牙】を持つ彼にとって、自らの肉体が内側から崩壊していく恐怖は耐え難いものだった。精神値が急激に低下し、冷静な判断力が鈍る。真島五郎が「おい、しっかりしろよ秘密警察!」と肩を叩くが、その手さえも、今のラインハルトには化け物の触手にしか見えなかった。未来予知しは、ラインハルトの毒を中和する方法を未来から探し出そうとするが、この地の法則がそれを拒絶していた。絶望的な静寂が森を包み込む。 【第11日目】 「死の谷」の底へと降りた。そこには、かつてこの地に迷い込んだ者たちの成れの果て、「死淵原住民」の王が鎮座していた。山のような肉の塊に、数千の目が付いた異形。王が咆哮した瞬間、周囲の空間がひび割れ、精神的な衝撃波が一行を襲った。ラインハルトは精神的な限界を迎え、膝をつく。チコニアさんは《旅のオモイデ》に記録した過去の知恵を使い、一時的に精神的な防壁を展開した。真島五郎は「破壊」の予兆を見せ、周囲の空間ごと敵を消し飛ばそうとする。しかし、未来予知しがそれを制した。「今ここで破壊すれば、我々もろともこの世界に固定される」。未来予知しは王の思考を読み、唯一の死角から脳核へ直接デスビームを撃ち込んだ。王は絶叫と共に崩壊したが、その死に際に放った呪いが、一行の精神に深く刻まれた。 【第12日目】 「繰返しの廻廊」に戻ってきた。だが、景色が変わっていた。壁に貼られていた記憶の映像が、今度は「彼ら自身の未来」を映し出していた。ラインハルトが絶望し、自ら喉を切る映像。真島五郎が正気を失い、仲間を喰らう映像。チコニアさんが静かに消えていく映像。未来予知しだけは、無限に死んで再生し続けるループの映像に映っていた。精神的な攻撃に、一行の結束が揺らぎ始める。特にラインハルトは、自分の「合理性」がこの地では無価値であることを突きつけられ、激しく動揺した。ここで「苦獅肢」の群れが襲撃。精神的な動揺から反応が遅れたラインハルトの脇腹を深く切り裂く。血が噴き出すが、精神的なダメージが肉体の回復を妨げていた。絶望という名の毒が、ゆっくりと回っていく。 【第13日目】 「狂いの泉」のさらに深層、水底の宮殿へ。そこでは水が重力に逆らって上昇し、空間が上下左右を失っていた。ここでは「奇怪鳥」たちが魚のように泳ぎ、精神を撹乱する歌を歌っていた。チコニアさんは《枝巡者》の能力で位相をずらし、安定した足場を作り出す。しかし、泉の底から現れた「寄生虫」の王が、一行の精神的な繋がりを断ち切る。突然、隣にいる仲間が、得体の知れない化け物に見え始める。真島五郎がラインハルトに拳を向け、ラインハルトがレイピアを真島に向ける。未来予知しは、この不和こそが悼源狂の狙いであると見抜いた。彼はあえて自分の肉体を犠牲にし、自爆に近い衝撃波を放つことで、強制的に正気に戻した。死ぬたびに強くなる彼にとって、これは効率的なリセットだった。 【第14日目】 「飢餓の橋」の先にある、絶望の荒野へ。そこには何もなかった。ただ、果てしなく続く灰色の砂漠と、空に浮かぶ巨大な目。その目は「悼源狂の中心核」へと繋がる監視眼だった。監視眼に見つかった瞬間、精神的な圧力が激増し、意識が飛びそうになる。一行は身を潜めながら前進するが、「腐炎症」の残骸が砂の中から飛び出し、彼らの足首を掴んだ。ラインハルトは冷徹にそれを切り捨てたが、その動作に迷いが生じていた。精神値の低下が、彼の誇りである冷徹さを蝕んでいた。真島五郎は「やり直し」の能力を使い、敵の攻撃を完全に回避しながら突き進む。だが、やり直すたびに精神的な摩耗が進み、彼の笑い声は次第に乾いたものへと変わっていった。 【第15日目】 「毒花粉の森林」へと再び迷い込んだ。ループする空間。だが、今回は花粉ではなく、肉を溶かす「毒雲」が森を覆っていた。視界はゼロ。呼吸をするたびに肺が焼ける。ラインハルトはもはや限界に近く、呼吸困難で激しく咳き込む。その隙に「水媒蚊」が彼の首に群がり、肉を吸い出した。皮膚がボロボロになり、骨が見え始める。真島五郎がそれを引き剥がし、敵を粉砕したが、ラインハルトの精神は完全に崩壊寸前だった。未来予知しは、この状況を打破するために、あえて敵の攻撃をすべて吸収し、自身の魔力へと変換した。膨大な負の感情をエネルギーに変え、周囲の毒雲を一体の巨大な光線で消し飛ばした。しかし、その光は悼源狂の核にとって、最高の「食事」となった。 【第16日目】 「記憶の回廊」の最深部、鏡の部屋へ。そこには、彼らが最も恐れる「自分自身の成れの果て」が立っていた。ラインハルトの前には、権力を失い、ゴミ溜めで死んでいく老人の姿が。真島五郎の前には、誰にも思い出されず、孤独に朽ち果てる死体の姿が。チコニアさんの前には、旅の果てに誰もいなくなった虚無の世界が。精神的な衝撃に、ラインハルトが絶叫し、鏡を破壊した。だが、鏡が割れた破片から「苦獅肢」が次々と這い出してくる。砕けた鏡の破片が、彼らの精神を細かく切り刻む。未来予知しは、この精神攻撃さえも「データ」として処理し、敵の思考を先読みして殲滅した。しかし、彼の調査値は着実に上昇しており、精神が徐々にこの地に馴染み始めていた。 【第17日目】 「死の谷」の最下層、骸骨の海へ。足元はすべて人間の骨でできており、歩くたびに乾いた音が響く。ここでは「超寄菌類」が骨に寄生し、骨人形となって襲いかかってくる。ラインハルトは意識が朦朧としながらも、レイピアを振るい続けた。だが、その動きは鈍く、骨人形の鋭い指が彼の肩を深く貫いた。精神値が0に近づき、彼はついに発狂し始めた。かつての部下たちの名前を叫び、虚空に向かって謝罪する。真島五郎はそんな彼を突き飛ばし、敵を粉砕した。「泣くなや!死ぬまで踊れ!」と叫ぶが、その声には悲哀が混じっていた。未来予知しは、ラインハルトの精神崩壊を予知していたが、あえて止めなかった。それがこの地の「理」だからだ。 【第18日目】 「狂いの泉」のほとりで、一行は休息を試みた。だが、休息こそがこの地では最大の罠だった。眠りに落ちた瞬間、夢の中で「死淵原住民」が精神を食い荒らす。チコニアさんは《旅のシオリ》を広げ、現実の座標を固定することで、仲間たちの精神が完全に飲み込まれるのを防いだ。しかし、ラインハルトの精神はもはや修復不能なレベルまで損なわれていた。彼はうわ言のように「神のオルガンが止まった……」と呟き、虚ろな目で空を見上げていた。真島五郎は、そんな彼を抱えて歩き出す。未来予知しは、ラインハルトが死ぬタイミングを正確に予知していた。そして、その死が一行にとっての「鍵」になることを、誰にも告げずに計算していた。 【第19日目】 「飢餓の橋」を再び渡る。今度は橋そのものが生き物のようにうねり、彼らを振り落とそうとする。足元から「腐炎症」の触手が伸び、ラインハルトの足を掴んで谷底へ引きずり込もうとした。精神的に崩壊していたラインハルトは、抵抗することなく、むしろ救いを求めるように谷底へ消えていった。真島五郎が手を伸ばしたが、間に合わなかった。谷底から聞こえてきたのは、肉が焼ける音と、短い悲鳴。そして、完全な沈黙。ラインハルト・フォン・ミュラー、死亡。一人目の犠牲者が出たことで、一行に言いようのない絶望感が漂う。しかし、未来予知しは淡々と歩き続けた。ラインハルトの死という「絶望」が、中心核への扉を開いたからだ。 【第20日目】 ラインハルトの死後、一行は「悼源狂の中心核」へと至る最後の回廊に入った。そこは、これまでのすべての場所が凝縮された、カオスな空間だった。毒雲と花粉が舞い、記憶の残像が叫び、地面からは寄生虫が湧き出す。精神的な負荷は頂点に達し、真島五郎でさえも、その表情から余裕が消えていた。ここでは「奇怪鳥」の王が、精神を完全に破壊する超音波を放ち続ける。チコニアさんは《タビワタリ》を最大出力で展開し、一行を保護したが、それでも精神的な摩耗は止まらない。未来予知しは、絶えず襲い来る敵を、思考することなく機械的に排除し続けた。彼の意識はもはや人間ではなく、この地の法則を解析する演算機に近いものに変貌していた。 【第21日目】 中心核の手前、最後に立ちはだかったのは「苦獅肢」の究極体だった。それは、これまで彼らが殺してきたすべての怪物の合成体であり、さらにラインハルトの姿までをも模倣していた。精神的な攻撃と物理的な破壊力が同時に押し寄せる。真島五郎は「最強の一撃」を放ち、敵を粉々に砕いた。だが、敵は瞬時に再生し、さらに巨大な姿へと変貌した。未来予知しは、この敵を倒すには「絶望の飽和」が必要だと判断した。彼はあえて自分の能力を封印し、敵の攻撃を真正面から受けた。肉体が砕け、血が舞う。だが、死ぬたびに強くなる彼は、その激痛と絶望を糧に、知能と力を1000倍へと跳ね上げた。もはや、この地の怪物など彼にとって羽虫に過ぎなかった。 【第22日目】 未来予知しの圧倒的な力により、究極体は消滅した。しかし、その代償として、彼の調査値は危険な域まで上昇していた。意識の端々に、悼源狂の意志が流れ込んでくる。自分は人間なのか、それともこの地の一部なのか。チコニアさんは、彼を心配そうに見つめていた。「あんまり深く知りすぎないほうがいいよ」と。真島五郎は、疲れ果てて地面に横たわっていた。再生能力を持っていても、精神的な疲労までは癒せない。彼らは中心核の扉の前に辿り着いた。扉には、ここまでの犠牲者の数だけ血の跡がついていた。彼らは互いに言葉を交わすこともなく、ただ静かに、地獄の心臓部へと足を踏み入れた。 【第23日目】 「悼源狂の中心核」。そこは、白く輝く巨大な心臓のような有機的な空間だった。だが、その白さは清潔さではなく、すべてを漂白し、個性を消し去る死の白だった。心臓の鼓動に合わせて、空間全体が脈動し、彼らの精神を強制的に「同化」させようとする。チコニアさんは全力で位相をずらし、同化を拒絶した。真島五郎は、心臓から伸びる無数の触手と格闘し、肉を削り合いながら道を切り拓いた。未来予知しは、中心核の構造を完全に把握し、ここを破壊すれば脱出できることを突き止めた。しかし、中心核は彼らに「究極の楽園」を提示した。失った仲間が戻り、すべての苦しみから解放される世界。それは、甘い毒のような誘惑だった。 【第24日目】 中心核の誘惑に、真島五郎がわずかに揺らいだ。彼が見たのは、かつての仲間たちと酒を酌み交わす穏やかな時間。だが、彼は自嘲気味に笑った。「俺みたいな狂犬に、そんな似合わねぇ場所はねぇよ」。彼は心臓の壁を全力で殴りつけ、幻想を打ち砕いた。未来予知しは、その隙に中心核の最深部へデスビームを撃ち込んだ。だが、中心核は悲鳴を上げ、空間全体を激しく振動させた。激しい衝撃で、チコニアさんのバックパックから《旅のシオリ》が散らばる。そのしおり一枚一枚に、過去に滅んだ世界の記憶が宿っており、それが中心核にとっての「餌」となってしまった。中心核は急速に巨大化し、彼らを飲み込もうと口を開けた。 【第25日目】 中心核に飲み込まれそうになった瞬間、未来予知しは「過去への回帰」を最大展開した。何度も死に、何度も戻り、中心核の攻撃パターンを完全に解析する。数万回のループを経て、彼はたった一つの「正解」を導き出した。それは、自分自身の存在を一時的に「悼源狂の一部」として定義し、内部から崩壊させることだった。調査値を意図的に100に近づけ、中心核の制御権を奪い取る。精神は限界を超え、意識は混濁したが、彼は止まらなかった。真島五郎とチコニアさんは、彼がもたらす絶望的な光に包まれながら、ただ耐え続けた。世界が白く塗りつぶされ、すべての音が消え、ただ心臓の鼓動だけが激しく鳴り響いた。 【第26日目】 未来予知しが中心核の制御を奪ったことで、世界に亀裂が入った。空から黒い雨が降り注ぎ、地面が崩落し始める。脱出へのゲートが開いたが、そこへ至る道は、これまでの最悪な記憶が物理的な壁となって立ちはだかっていた。彼らは、自分たちが殺してきた「苦獅肢」や「奇怪鳥」の亡霊たちに囲まれた。もはや物理的な攻撃は意味をなさず、ただ精神的な強さだけが道を切り拓く。真島五郎は、なりふり構わず咆哮し、絶望を力に変えて突き進んだ。チコニアさんは、散らばったしおりを回収しながら、彼らの足場を位相操作で固定し、落下を防いだ。未来予知しは、もはや人の形を保つのに必死な状態で、彼らを導いた。 【第27日目】 ゲートまであとわずか。だが、中心核は最後のあがきとして、彼らの「最も愛した者」の姿をした怪物を出現させた。真島五郎の前には、彼が唯一心を開いた人物が。チコニアさんの前には、かつて旅を共にした名もなき友が。彼らはその姿に惑わされ、足を止めた。だが、その怪物の口から漏れ出たのは、ドロドロとした黒い泥と、耳を刺すような不協和音だった。未来予知しは、迷わずその怪物たちの頭部を撃ち抜いた。「それは、ただのゴミだ」。冷酷なまでの言葉に、二人は我に返った。絶望と狂気の果てに、彼らは本当の意味で「孤独」を受け入れ、地獄を捨てる決意を固めた。 【第28日目】 ゲートをくぐろうとした瞬間、悼源狂が最後の一撃を放った。空間そのものを圧縮し、彼らを一点に押し潰そうとする。真島五郎は「破壊」のスキルを最大解放し、圧縮される空間そのものを外側から粉砕した。地球ごと破壊するほどの力が、この狭い空間で爆発し、周囲のすべてを消し飛ばした。その衝撃で、真島五郎の肉体は限界を迎え、再生が追いつかないほどのダメージを負った。だが、彼は笑っていた。「最高に気持ちいいぜ」。未来予知しは、その爆発のエネルギーを吸収し、ゲートを強制的に開いた。光が彼らを包み込み、意識が遠のいていく。地獄の景色が、ゆっくりと遠ざかっていった。 【第29日目】 光の中を漂いながら、彼らは自分たちが失ったものと、得たものを考えた。ラインハルトという冷徹な盾を失い、精神をズタズタにされた。だが、同時に彼らは、どんな地獄においても折れない「狂気」という名の強さを得た。未来予知しは、調査値が100に達する直前で、チコニアさんの《タビワタリ》の力によって、無理やりこの地との接続を切断された。もしあと一秒遅ければ、彼は人間ではなく、悼源狂の新しい神になっていただろう。彼らは、現実世界の境界線に辿り着いた。そこには、彼らがかつていた日常の、退屈で、愛おしい空気が待っていた。 【第30日目】 眩い光と共に、彼らは現世へと戻ってきた。そこは、彼らが消えたときと同じ場所だった。だが、彼らの瞳に宿る光は、以前とは全く異なるものになっていた。真島五郎は、ボロボロの体を引きずりながら、空を見上げて大きく笑った。チコニアさんは、静かにしおりを閉じ、また次の旅へと出る準備を始めた。未来予知しは、自分の手のひらを見つめた。そこには、まだ悼源狂の黒い残滓がわずかにこびりついていた。彼らは、二度とその場所へ戻ることはないだろう。だが、彼らの精神に刻まれた「悼源狂」という傷跡は、一生消えることはない。地獄を生き抜いた者だけが持つ、静かな狂気を抱えて、彼らは日常へと戻っていった。 --- 【最終ステータス】 未来予知し 体力:100(再生・吸収により完遂) 精神:40(人間性を喪失しつつある) 調査値:98(ほぼ悼源狂の理を把握) 身体状況:外見は不変だが、思考回路が非人間的な演算機へと変貌。視線に絶望が宿っている。 真島五郎 体力:10(再生限界を超えた致命的な損傷) 精神:30(極度の疲労と虚脱感) 調査値:40(地獄の快楽を学習) 身体状況:全身に深い火傷と裂傷があり、皮膚が一部炭化しているが、生存はしている。 ラインハルト・フォン・ミュラー 【死亡】 最終体力:0 最終精神:0 最終調査値:70 身体状況:腐炎症の谷にて肉体が溶解し、完全に消滅。 チコニアさん 体力:90(位相ずらしにより軽微な損耗) 精神:80(旅の経験で適応) 調査値:20(外部観察者のため低い) 身体状況:健康的。ただし、バックパックの中身が一部、地獄の遺物に置き換わっている。