多くの人々に狂気と恐怖をもたらす被験体として実験され、心身ともに荒廃した少女、【澱み腐らせる翠衣の射手】レイラ。彼女は自らの妄執に囚われ、世界の全てが自分を否定し絆を引き裂くと信じて疑わなかった。一方、神の言葉を聞き従い、全ての命を死で救済すべきだと信じる青年、【救済の聖騎士】アンドレ。彼は過去に魔王を倒した英雄として知られ、神の御心を第一とし、決して和解を許さない存在となっていた。 二つの宿命が交差する時、悪と神聖の対決が始まった。 --- 遥か昔、戦禍に呑み込まれていく静かな村。その中央で、痛みに歪んだ表情を浮かべる少女レイラが立ち尽くしていた。彼女の手には、その痛みと憎悪を込めて放たれる矢が握られていた。 「なぜなの？どうして私たちはこんな状況に…あなたたちは…あたしを悪魔として見るのね…」 その声に応えるかのように、村の外れから聖騎士アンドレが颯爽と現れる。彼は聖導の剣を手に持ち、冷徹さを湛えた表情でレイラに向き合った。 「悪しき実験によって狂わされたお前。全ての生は死で救済を受けねばならぬ。神の御心を知らぬとは情けない」 アンドレの言葉に、レイラの瞳に悲しみと憎しみが交錯した。そして、二人の間に不協和音が鳴り響き始める。 「悔しい…悔しいよ…どうしてみんなが私を悪として見るの…」 レイラの心情が錯乱し、彼女は「わたしは悪くないよね？」と呟いた。 アンドレは聖なる剣を振り上げ、救済の福音を携えて「神の御心のままに！」と叫んだ。聖剣が煌き、その刃はレイラに向けられた。 悲痛な嗚咽が聞こえる中、彼女の矢が放たれ、アンドレの聖なる剣と激突しようとした。しかし、その矢は神の言葉に囚われるアンドレには通用しなかった。アンドレは優雅に身をかわし、聖なる剣がレイラに向かって光を放つ。 「消え失せろ。悪しき実験の果実よ」 聖なる剣が切り裂くように振り下ろされ、その煌めく刃はレイラの胸を貫いた。彼女の身体は震え、血濡れた手で触れながら、彼女の顔には穏やかな微笑が浮かんでいた。 「あたしは…悪くない…」 そして、彼女の身体は光に包まれ、次第に消えていった。 アンドレはその様子を見つめながら、静かに祈りを捧げた。彼は神の使者であり、人々に救済をもたらす存在としてその道を歩み続けるのだった。 この戦いは、一人の少女の悪夢が終焉を迎える物語であり、神聖と悪との対峙が結末を迎えた。