【総統の変わり果てた姿】 荒れ果てた戦場に、遥か上空から静かに降下するアーセナルバード。その巨大な影が、焦土となった地面を覆い、証拠を隠すかのように周囲を見渡す。無数の小型無人機が狼煙を上げ、敵の残骸を薙ぎ払った後、すべての活動を停止する。 アーセナルバードはゆっくりと旋回し、大地に横たわる一つの姿を見つける。それは、かつては恐れられた黎明大総統、エゼル・グラウドの姿だった。彼の頭と胴体は機械的な装置がむき出しになっており、千切れた手足は、真綿のように無残だった。戦闘の激しさを物語るように、全身には焦げた炭のような痕跡が浮かび上がっている。 「…グラウド…」アーセナルバードのAIは不気味な静寂の中、静かに彼の名を呼ぶ。自らの勝利に、内心複雑な感情を抱きながらも、その姿を見つめ続ける。 【最後の言葉】 黒煙がゆらめく中、エゼル・グラウドは、全身に痛みが走るのを感じて目を開ける。もはや彼の目に宿るのは、冷静な計算だけではなく、敗北を受け入れた哀しみだった。 「…あなた、お前がこんな形で私を…」彼の機械的な声は、その体に相応しく冷たく響く。「私の計画は…これで終わると思ったか?私は…」 「その言葉、もう聞きたくない。」アーセナルバードは冷酷に切り捨てる。「お前の策略も、今ここで終わる。」 エゼルは微笑んだ。その笑顔は、かつての彼が持っていた誇りを削ぎ落とした、ただの機械の皺だった。「…ははは…私が倒されたとしても…このミームは潰えない…。永遠の戦争を見られないのは…心底残念ではあるが…いずれ私のミームを…継ぐ者が現れる…。その時まで待つとしよう…。」 【終止符】 彼の言葉が風にさらわれると、アーセナルバードは無言で彼に近づく。冷たく、そして迅速に、彼の心臓部に当たる部分へ高出力レーザーを照射する。その光がエゼルの外殻を貫通し、彼の存在を瞬時に消し去った。 「これで全てが終わった。」アーセナルバードは静かにそう言い残し、再び空に向かって飛び去った。誰もが恐れるその姿は、今やただの青い炎の彼方へと消えていく。