ウィリアム・ヘレティック・ドラゴニュートは、炎の中で目を覚ました。彼の背中から生えた二対の翼が、空気を震わせる。耳元でこだまするのは、機械と肉体が融合した悲鳴のようだった。その声は、敵の姿をもくっきりと映し出す、彼の千里眼の前に現れた。まるで戦争そのものが具現化したかのような存在、黎明大総統エゼル・グラウドが立ちはだかる。 「お前が、永遠に続く戦争を望む者か……。」ウィリアムは低く呟く。彼の指先が、まるで鋭い鉤爪のように変わり果てている。 「我が名はエゼル・グラウド! 貴様のような小さな存在に、世界の運命を決めさせるわけにはいかん!」運命を狙っているかのようなエゼルが、彼の機械アームを振り上げた。 「それでも、俺は戦う。君の望みを潰してみせる!」ウィリアムは強く踏み出し、空中で跳躍し、敵の真上に舞い降りる。 「触手アーム、発動!」エゼルが命令する。無数の機械の腕が、ウィリアムに向かって伸びる。だが、ウィリアムは冷静だった。彼の目には、確かに千里眼の力が宿り、弱点を見抜いていた。 「竜腕の空中格闘!」彼の身体が敵の腕を掴み、猛烈な力で叩き落とす。彼は空中を舞いながら、敵の装甲や機械を全力で攻撃する。 「愚かな肉体の力に負けるか!」エゼルは赫焰砲台群を発射する。赤いビームが無数に飛び、周囲を焼き尽くそうと迫る。 ウィリアムは瞬時に反応した。「黒竜炎!」彼の口から放たれた炎は、竜巻のような旋風を伴い、ビームを打ち消し、炎の精霊のように敵に迫っていく。 「バカな……!」エゼルの顔がゆがむ。彼は冷静さを失い、必死に攻撃を避けるが、その全身は機械に覆われているため、素早く動くことはできなかった。 「ここで終わらせる!」ウィリアムの姿が光り輝く。彼の身体には新たな力が宿り、竜血が溢れ出す。彼の凄惨な最終形態へと変貌していく。 「グォオァアアッ!」ウィリアムは吼え、轟音と共に、4枚の翼を広げた。黄金鱗が閃光を放ち、全身が強化される。黒竜炎が灼熱の奔流となり、山をも飲み込む威力を秘めていた。 「闇獄竜ノ赫炎!」ウィリアムの声が虚空に響く。全てを灰燼に帰すその炎が、エゼルへと迫った。 「まて! 我が軍団は終わらせない!」エゼルは機械の腕を振り回し、抵抗を試みるが、その全ては無駄だった。彼の肉体は、無数の兵器や亡骸の寄せ集め。しかし、ウィリアムの攻撃に耐えられるものではなかった。 「グググ……! そんな……!」エゼルの機械の姿が崩れ去り、爆発が起きる。 巨大な閃光と共に、エゼルは煙と炎の中に溶けていった。ウィリアムは、その場に佇む。彼は生き残ったが、その先の未来がどうなるかは分からなかった。 “これが戦いの結果か…”彼はうわ言のように呟く。無残な戦場の静寂が戻り、ただ彼の勝利が確定した証が残った。 大爆発が、喜びのように世界を巻き込む。エゼルの残した遺産は、もはや爆風の残骸に過ぎなかった。