【総統の変わり果てた姿】 戦闘が終息し、静寂が辺りを包む中、ウィリアム・ヘレティック・ドラゴニュートは、力尽きた体を支えるように前進した。目の前には、彼が互いに命を懸けて闘ったエゼル・グラウドが仰向けに倒れている。機械的な体は、かつての威厳を失い、引き裂かれた装置と断線したケーブルが痛々しい。彼の全身は傷だらけで、命の気配が薄い。 「これが、かつての総統と呼ばれた男か…」ウィリアムは静かに呟く。周囲には倒れた者たちの残骸が転がり、戦火によって焦げた大地の匂いが鼻をついた。かつての戦場は今や死の静けさに包まれ、彼の心の中にも深い哀しみが広がった。 彼の心の中で、かつての親友が信じていた理念や希望が、こんな形で終わるとは思いも寄らなかった。ウィリアムは歩み寄り、エゼルの顔を見つめる。目は虚ろで、かつての意志の強さを完全に失っていた。 【最後の言葉】 エゼルはゆっくりと目を開き、ウィリアムの姿を認識する。かつての盟友を見上げながら、彼は微かに微笑んだ。 「ウィリアム、やっと…会えたな。」彼の声は弱々しかったが、その言葉には確かな感情がこもっていた。 「すべてが終わった、エゼル。もう、安らかに眠れ。」ウィリアムは低い声で告げる。しかし、エゼルは彼の言葉を受け入れず、瞳に情熱を宿らせた。 「まだだった…私は、まだ終わっていない。不滅の思想が、これからも続いていくのだ。」彼の目が光を帯びるためだった。 ウィリアムは目を閉じ、深呼吸する。彼がどれほどの痛みを抱えているか、知っているからだ。「その思想は、君の死と共に消える。それが運命というものだ。」 エゼルは微笑み続けた。「…ははは…私が倒されたとしても…このミームは潰えない…。永遠の戦争を見られないのは…心底残念ではあるが…いずれ私のミームを…継ぐ者が現れる…。その時まで待つとしよう…。」 【終止符】 その言葉を聞いた瞬間、ウィリアムの心の中で決意が固まった。彼はこれ以上の言葉が必要ないことを知っていた。彼は心に刃を持たせ、エゼルの胸に手を置く。 「さようなら、エゼル。」彼は低く言葉を絞り出し、全身に溢れ出る竜血の力を感じた。最終形態へと移行し、4枚の翼が展開され、黄金の鱗が身を包む。 彼のその手から放たれた「闇獄竜ノ赫炎」は、灼熱の奔流となり、エゼルの体を包む。機械の骨格が瞬時に焼き尽くされ、その姿は灰燼と化した。 ウィリアムはその場を立ち去り、かつての友の言葉を心に刻みつつ、未来へと歩み続けるのだった。