ウィリアムの背中にあった竜翼が恐ろしく大きく広がり、独特の靄が立ち上る。大気が揺らぎ、地面が震える。彼の目には、かつての豪勇の姿が宿る。 「どうした。そんなに怖いか。私は戦争狂だ。それ以上でもそれ以下でもないんだよ。」エゼルは呻くように言葉を吐き出し、露出した機械の腕をしなやかに動かす。彼の背後には、数万の人工魔人が整列していた。静謐な緊張の中、それぞれの兵士たちも、無言の意志を示していた。 ウィリアムは、眼前の戦争狂を見据えた。「私が誰だか忘れたか、エゼル。竜騎士としての名をかけて、君の狂気を止める!」 彼の言葉には、怒りと悲しみが交じり合っていた。 エゼルは嘲笑しながら、赫焰重火器「ケルベロス」を右腕から展開する。彼の機械的な腕はそのままガトリングガンへと変形し、火花が散る。「私のために、戦争を引き起こすのはお前だ。行け!ケルベロス!」 一瞬で、大音量の銃声が響き渡る。数千発の弾丸がウィリアムに向けて放たれる。彼は冷静に、竜の千里眼を発動させた。視界が広がり、弾丸の軌道を読み取る。彼の空中格闘スキルを駆使して、弾丸を躱す。機敏に動く彼の姿はまるで舞踏のようだった。 「見ろ、ウィリアム!俺の狙いは外さない!」エゼルの声が空に響く。だが、ウィリアムは自らの炎、黒竜炎を放つ準備を整えていた。「今だ!」 彼は一気に飛び上がり、竜腕で敵を掴む。「捉えタ…叩き落とス…!」 ウィリアムの竜腕がエゼルに襲いかかり、彼を地に叩きつけた。だが、エゼルはすぐに立ち上がり、赫焰狙撃砲「フェンリル」を取り出す。「甘いぞ、竜騎士!」 レーザーキャノンの音が鳴り響き、光が瞬間的にウィリアムを貫通しようとする。しかし、彼は黄金の盾鱗を展開し、攻撃を防ぐ。「無駄だ、私の盾は剛強だ!」 二人の戦いは激烈を極め、互いに弾をかわし、炎を交差させていた。やがて、ウィリアムは竜血の力によって変身し始める。全身から血が噴き出し、身体が巨大化。黄金の鱗に覆われ、翼は四枚に増えた。「グォオァアアッ!」 ウィリアムの最終形態に移行し、彼の目は増々輝きを増していく。身体からは信じられないほどの気が放たれ、周囲の空気が変わった。「闇獄竜ノ赫炎!」彼が放つ炎の奔流は、まさに山脈を焼き尽くす勢いだ。 エゼルは驚きながらも、すぐに模様替えした。「ケルベロス、フルオート!」彼の機械的な装置が一斉に作動し、数千発の弾丸が再びウィリアムに向かう。しかし、ウィリアムの炎はそれをも飲み込み、弾丸は彼の前で消失した。 「これが私の力だ!」ウィリアムは、エゼルのいる場所に向けて全力で炎を放つ。轟音とともに、灼熱の波が彼を襲った。エゼルは「いかん!」と叫ぶ間もなく、炎に呑み込まれ、最期の瞬間を迎える。 勝者はウィリアム。彼は激しい戦闘の中で、邪なる意思を打ち砕いた。だが、その心には竜血の痛みと、永き友を失った悲しみが深く残るのだった。