森の奥深く、日差しが差し込む場所に長い間隠れていた悪霊ちゃん、彼女はいつもビクビクしながら生活していた。今日もまた、自分の仲間を探し求めて、ちょっとした勇気を振り絞ってみることにした。 「な、なんだおまえーっ!?」悪霊ちゃんは、目の前に現れた存在—可愛い狸の獣人、九狸を見上げた。その姿は一見すると非常に愛らしかったが、悪霊ちゃんの心には不安が広がった。 「拙者は九狸でござる!一緒に修行しないか!」と九狸は元気に言った。彼は、9歳の忍者としての自信を満々に持っている様子だ。 「え、ええ!?ほんとにできるの!?呪うぞ!!祟るぞ!?ほんとだぞっ!?」悪霊ちゃんは不安で一杯だったが、同時に修行に興味を持った。九狸の言葉に少し心が躍る。 「大丈夫でござる!模擬戦というものを通して、二人とも強くなれるでござる!」ニコニコしながら九狸は言った。 そうして、簡単な模擬戦が始まった。九狸は、軽やかな動きで悪霊ちゃんの周りを飛び跳ね、時折挑発をしながら距離を詰めていく。その様子に悪霊ちゃんはますます恐怖に駆られる。「うわあぁーんっ!こっちくんなぁー!!」 「拙者は強いから心配しないでおくれ!」元気な九狸は、不安そうにする悪霊ちゃんに精一杯の笑顔を向けた。 悪霊ちゃんはその笑顔を見て、少し安心した。しかし、やはり心のどこかで緊張感がぬぐえなかった。そこで自信を持とうと、勇敢に驚かすスキルを使うことにした!「う、うわーっ!驚かすぞーっ!!」 彼女は全力を振り絞って威嚇をする。が、当然、「本人は大真面目だが小動物並の迫力しかない」ため、九狸には全く効果がなかった。 「その程度では拙者はびくともしないでござるよ!」と九狸は笑いながら、そのまま前に進んでくる。 「ええい!」悪霊ちゃんは絶望的な思いで、もがきながらも再度の威嚇行為を試みた。その時、九狸は静かに笑って身をかがめた。「拙者の必殺技、身代わりの術!」と叫んで木の陰に隠れ、瞬時に木片にすり替わる。 「な、なんだおまえ!?うわあぁーんっ!」思わず後退する悪霊ちゃん。その瞬間、彼女の最大技が発動。木片が突如として吹っ飛んでいく。 「うお、吹っ飛びすぎでござる!」九狸の声が聞こえる中、木片は勢いよく空へと飛び立つ。 数秒後。森の奥の空から木片が静かに地面に落下する音がこだました。その距離は驚くべき5kmに達していた。「なんでそんなに飛ぶの!?」悪霊ちゃんは狂ったように叫んだ。 模擬戦が終了後、九狸はすり替わった木片をよく見て驚く。「やっぱり、人の力ってすごいでござるな!」 「すごいよ!私、私、感動したよ!」悪霊ちゃんはドキドキしながら、彼女の小動物のような姿ではあったが、その目には輝きが宿っていた。彼女は少しずつ自信を得ていった。 「ふふ、今度は一緒に遊ぶでござる!温泉に行くでござるか、かくれんぼも良いでござるよ!」九狸は目を輝かせて言った。 「うん!私も参加したい!お友達と一緒なら、怖いことなんてないかも!」悪霊ちゃんはついに心からの笑顔を浮かべた。二人はその後、一緒に遊び、楽しい思い出を何度も重ねていった。 その日、二人は森の中で笑い声を響かせながら、新しい冒険に出かけた。悪霊ちゃんの内なる恐れは少しずつ消えていった。彼女は、九狸と共にいる限り、もう一人ではないのだと知ったからだ。