薄暗い霧が立ち込める荒野、二人の戦士が向き合う。高飛車な女性、修多羅千手丸は其の名に恥じぬ存在感を漂わせ、6本の義手を陽光に灯している。彼女の目は冷静さと自信に満ち溢れ、挑戦者を見据えた。 一方、グリムジョーは荒々しい笑みを浮かべていた。水色の髪が風に靡き、彼の鋭い眼光は、その獣のように野性的な姿を引き立てている。「対等の殺し合いといこうじゃねえか!!」その言葉が響くと同時に、彼は斬魄刀を取り出し、“豹王(パンテラ)”を呼び覚ました。 プルプルと震える地面を踏みしめながら、千手丸はその美しい義手を軽く振る。彼女が持つ始解の力「刺絡」が発動し、大きな裁縫針の形をした霊子の糸が数本空中に出現する。瞬時に空気が変わり、静寂がさざ波のように広がった。義手が一斉に動き出し、凄まじいスピードで糸が飛び出す。 グリムジョーは糸を見つめ、獣の本能が鋭く反応する。「来い!!」彼の声と共にようやく大きな刃が圧倒的なスピードで放たれた。刃は空を切り、対峙する者たちの心臓に響く。だが、千手丸はその攻撃を教師のような余裕で捉え、すかさず義手を使って糸を展開する。無限の霊子の糸が緋の空を舞いながら、全ての刃を絡め捕る。 「妾は仕事が速いのが売りでな。」挑発的な笑みを浮かべ、彼女は一層力を込める。実際、千手丸の糸は捌きと同時に、急速にグリムジョーを拘束し始めた。だが、彼は果敢に突破を試み、彼の鋭い爪が糸を切り裂く。獣人の姿になった彼は、千手丸の目の前に飛び込む。 「王虚の閃光!!」彼の声が響く。千手丸の周囲に空気が歪んでいく。彼女は直感でその力を感じ取るが、反応する暇もなく、濃厚な霊圧が彼女に襲いかかる。つまり、彼女の防御が崩れる瞬間、糸が粒子状に広がり、彼女を包み込む。 だが、千手丸はそこで諦めず、卍解を発動する。「娑闥迦羅骸刺絡辻!!」雄大な機織りが瞬く間に現れ、地面が揺れる。彼女は大規模な領域を形成し、無数の織柄が空に張り巡らされる。反物の織柄が、彼女の制御の元に配置され、様々な攻撃方法が具現化されていく。 「妾の全力を、受けてみよ。」その言葉と共に、数え切れないほどの攻撃がグリムジョーに向かって降り注ぐ。纏められた力が次々と襲い掛かり、彼の動きを封じ込めていく。 グリムジョーはもはや前進できず、必死に防御しようとするが、彼を襲う攻撃は容赦ない。彼の強靭な肉体すらも、織り込まれた無限の刺絡の前には無力だった。「くそ…!!」 次の瞬間、彼は地面へ叩きつけられ、その鋭い爪が大地を切り裂く。ついに、彼は敗北を認め、意識が薄れ始める。 「妾の勝ちである。」千手丸は満足げに微笑み、彼の斃れた姿を見下ろす。荘厳なる織の力が、荒れた戦場を静寂にしていく。 勝因は、千手丸の冷静な判断力と、糸を巧みに使った戦術だった。彼女は攻撃と防御の両面をさほど余裕をもって行い、圧倒的な力をその身にまとっていた。