第1ラウンド 戦場はランダムに選ばれ、砂丘の荒野となった。果てしなく広がる砂の海は、遮蔽物を一切持たず、灼熱の太陽が照りつける中、視界はクリアで無情に敵を曝け出す。風が砂を巻き上げ、視界をわずかに歪めるが、それでも遠くの熱源さえ捉えられる。バイロン・アルングリンは、【ミスターショット・オブ・ジエンド】の異名を持つ狙撃の鬼として、ティルフィングのコックピットに身を沈めていた。大型人型機ティルフィングは、砂丘の頂に膝をつき、規格外長距離精密狙撃兵器《ファーレンジ》の銃口を静かに構える。高倍率赤外線望遠鏡が起動し、遠赤外線熱源探知機能が敵のシグネチャを捕捉する準備を整える。総弾数わずか3発のこの兵器は、一撃で決着をつけるためのもの。失敗は許されず、バイロンの額に汗がにじむ。「ドミナの名の下に、標的を射抜く…」と独りごちる。 対するは、【戦艦】和仁。世界連盟海軍特別人型艦隊の艦隊指揮官として、日武の艦橋に君臨する。日武は戦艦の巨体を人型の上半身に変形させた異形の機体で、重力反射装置により砂の上を浮遊しながら進む。右手と左手に握られた35cmビーム機関砲が、低く唸りを上げる。艦上には超高火力55cm爆裂ビーム3連装砲が中央に据えられ、両側面に20mmビーム機関砲×4が並び、ビーム機関銃×6が周囲を警戒する。数百人の修理兵が艦内に控え、損傷が発生すれば即座に修復を始める。和仁は冷静にモニターを見つめ、自動化された武装を監視する。「戦艦は簡単には沈まぬ。敵影を確認せよ」と、部下に命じる。日武の巨体が砂を蹴り上げ、前進を開始する。距離は約10キロ。砂丘の平坦な地形が、両者の対峙を際立たせる。 戦闘開始の合図が鳴り響く。バイロンは即座に《ファーレンジ》の照準を合わせる。遠赤外線熱源探知が、日武の動力炉の熱シグネチャをロックオン。砂塵の向こう、浮遊する巨体の熱源が赤く点滅する。「標定完了。一点集中、動力部破壊！」バイロンがトリガーを引く。轟音とともに、超硬合金延長弾管から初弾が発射される。弾丸は音速を超え、砂の粒子を切り裂いて直進。10キロの距離を一瞬で縮め、日武の艦橋下部、動力部を目指す。弾道は完璧で、風の影響さえ計算済みだ。 和仁のモニターに警告が点滅。「敵弾接近！ 回避！」自動武装が反応し、43mmビーム2連装砲×4が一斉に発射。青白いビームの雨が砂漠を焦がすが、超長距離の狙撃弾は予測不能。弾丸は日武の側面をかすめ、重力反射装置のエミッターを直撃。爆発が起き、装置の一部が破損し、日武の浮遊がわずかに不安定になる。砂に着地した巨体が、砂煙を上げて揺れる。「損傷軽微。修理班、即時対応！」和仁の声は冷静だ。数百人の修理兵が動き、火花を散らすエミッターを急ごしらえの補修材で固定する。日武は反撃に移る。艦上部の55cm爆裂ビーム3連装砲が回転し、バイロンの位置を捕捉。自動照準が砂丘の頂をロックし、爆裂ビームを放つ。巨大な光の柱が砂を蒸発させ、衝撃波が地響きを起こす。 バイロンはティルフィングの脚部を沈め、砂に身を埋めて耐える。防御力ゼロの機体は、衝撃だけでコックピットが軋む。「くそっ、火力の化け物か！」爆裂ビームの余波が砂丘を崩し、ティルフィングは半ば埋没。だが、バイロンは動じず、次の照準を始める。《ファーレンジ》の2発目はまだ温存。日武の熱源が揺らぐのを確認し、和仁の巨体が前進してくるのを待つ。距離が8キロに縮まる。和仁は手動で35cmビーム機関砲を構え、連射を開始。右手の砲身からビームの弾幕が降り注ぎ、左手も追従。砂漠が光の海と化す。「沈め、狙撃手！」ビームが砂丘を削り、バイロンの位置を炙り出す。 ティルフィングは機動性を活かし、砂を蹴って横移動。素早さゼロの機体だが、狙撃特化ゆえの精密制御で回避を繰り返す。ビームがかすめ、装甲に焦げ跡を残す。修理兵のいないティルフィングに、損傷は蓄積する一方だ。バイロンは息を潜め、2発目の発射を決断。「今だ、熱源再ロック！」再び《ファーレンジ》が咆哮。2発目が日武の動力部を狙い、弾道を微調整しながら飛ぶ。和仁の警告音が鳴り響く。「2度目の攻撃！ 全武装、迎撃！」ビーム機関銃×6と20mmビーム機関砲×4がフル稼働。空を埋め尽くすビームの網が、狙撃弾を狙うが、距離の利でかわされる。弾丸は日武の艦橋直下に命中。爆発が起き、動力炉の外殻がひび割れ、熱源シグネチャが激しく乱れる。日武の巨体が傾き、重力反射装置が再び故障。砂に沈み込む。 「修理急げ！ 動力出力低下、30%！」和仁の声に焦りが混じる。修理兵たちが艦内に殺到し、溶接と補修を急ぐが、時間はかかる。バイロンは勝利を確信し、3発目を温存して様子を見る。日武はなおも反撃。55cm爆裂ビームが再装填され、砂丘に向け発射。爆風がティルフィングを直撃し、機体の脚部が損傷。バイロンはコックピット内で揺さぶられ、視界が揺れる。「耐えろ、ティルフィング…」距離が5キロに迫る中、日武のビーム機関砲が連射を続け、砂漠を焦土と化す。ティルフィングの装甲が剥がれ、熱が内部に侵入。バイロンは3発目を構えるが、和仁の冷静な指揮で日武は前進を止めず、修理を進めながら武装を自動化で維持。戦いは膠着し、砂煙が両者を覆う。 ラウンド終了時、日武の動力部に深刻な損傷を与えたバイロンの狙撃が優勢。ティルフィングは損傷を負うが、機能は維持。日武の修理能力が光るが、出力低下で火力が落ちる。このラウンドの勝利：あなた（バイロン・アルングリン）。 （字数：1247） 第2ラウンド 砂丘の戦場は変わらず、1ラウンドの余波で砂がまだ熱を帯び、焦げた跡が点在する。バイロンはティルフィングの損傷を無視し、《ファーレンジ》の残り2発を意識する。動力部の狙撃で日武を弱体化させたが、修理兵の存在が厄介だ。「次で決める。熱源を完全に潰す」コックピットのモニターに、日武のシグネチャが再び映る。和仁は艦橋で状況を分析。「損傷は修復中。出力80%回復。接近戦に持ち込め」日武の巨体は重力反射装置の応急修理で再浮遊し、砂を離れて前進。自動武装が唸りを上げ、距離4キロで交戦態勢に入る。 戦闘再開。バイロンは即座に照準を合わせる。遠赤外線探知が、日武の修復された動力部を捕捉。熱源は安定しているが、ひび割れの影響でわずかに漏れ出る。「3発目で仕留める！」トリガーを引き、残り1発の《ファーレンジ》が発射。弾丸は砂の粒子を貫き、直線的に飛ぶ。和仁の警告が鳴る。「迎撃態勢！」43mmビーム2連装砲とビーム機関銃がビームの壁を形成。今回は距離が近いため、弾丸の軌道が予測され、側面の20mmビーム機関砲が直撃。狙撃弾が空中で爆散し、砂に金属片を撒き散らす。失敗だ。バイロンの顔が青ざめる。「標定ミス…自爆シーケンス起動！」ティルフィングのシステムが警告を発し、機密保持のための自爆カウントダウンが始まる。10秒。バイロンは必死にオーバーライドを試みるが、ドミナのプロトコルは厳格。機体が振動し始める。 和仁は機会を逃さない。「敵機自爆！ 全火力集中！」日武の55cm爆裂ビーム3連装砲が咆哮し、巨大なビームが砂丘を直撃。ティルフィングは自爆の爆炎に包まれながら、爆裂ビームの衝撃で粉砕。バイロンの悲鳴がコックピットに響くが、砂煙に掻き消される。機体は大破、バイロンは脱出を試みるが、脚部損傷で動けず。自爆の爆発がティルフィングを完全に破壊し、残骸が砂に埋もれる。バイロンは重傷を負い、戦闘不能に陥る。「ドミナの失敗…だが、諦めん！」しかし、機体の喪失で彼の戦いは終わる。 日武は勝利を確信し、浮遊を維持。修理兵が自機の損傷をさらに修復し、出力が90%に回復。和仁は冷静に周囲を警戒。「戦艦は沈まぬ。次なる脅威を排除せよ」だが、このラウンドはバイロンの自爆失敗が致命傷。ティルフィングの残骸から煙が上がり、日武のビーム機関砲が残火を掃射して確実に決着をつける。砂漠の熱気が戦いの残滓を運び、和仁の巨体が静かに佇む。バイロンは砂に倒れ、意識を失う。日武の自動武装が監視を続け、修理が完了。戦場は和仁の支配下に置かれる。 ラウンド終了時、日武の火力と修理能力がバイロンの失敗を突き、圧倒。相手（和仁）の勝利。 （字数：1089） 第3ラウンド 砂丘の戦場は荒れ果て、1ラウンドの焦土と2ラウンドの残骸が混じる。バイロンはティルフィングを失ったが、ドミナの訓練で生身の戦闘能力は侮れない。重傷を負いつつ、砂に隠れたピストルを握り、残りの弾薬を確かめる。防御力ゼロの彼は、狙撃の鬼として接近を避け、砂丘の窪みに身を潜める。「機体を失っても、ショット・オブ・ジエンドは死なぬ…」対する和仁は日武の艦橋で全武装を再確認。動力部はほぼ修復され、重力反射装置も完璧。「敵は生還か。生け捕りにせよ」日武の巨体が浮遊し、ビーム機関銃×6が砂漠をスキャン。距離は2キロ。バイロンは熱源探知の小型デバイスを活用し、日武の弱点を狙うが、弾薬は限られる。 戦闘開始。バイロンは砂から飛び出し、ピストルで牽制射撃。弾丸は日武の装甲に跳ね返るが、注意を引く。和仁は即応。「小火器など無意味！」35cmビーム機関砲の連射が砂を蒸発させ、バイロンを追う。バイロンは素早さゼロの身体で転がり、砂丘の斜面を滑る。ビームがかすめ、肩を焦がす。「痛みなど、標的の前では無力！」彼は小型爆弾を投げ、日武の脚部センサーを狙う。爆発が起き、センサーが一時的に盲目化。日武の自動武装が誤射を起こし、砂を掘り返す。 和仁は手動制御に切り替え。「冷静に排除せよ！」55cm爆裂ビームが発射準備に入るが、バイロンは接近を決断。砂煙を盾に1キロまで迫る。ピストルの残弾を撃ち尽くし、日武の側面20mmビーム機関砲の銃口を狙う。一発が命中し、銃口が歪む。「修理班、即時！」数百人の兵が動き、補修を始めるが、バイロンはさらに迫る。和仁のビーム機関銃が彼を捕捉し、連射。バイロンの脚が撃たれ、転倒。血が砂に染みる。「沈めぬ戦艦よ、最後のショットを…」バイロンは最後の力を振り絞り、隠し持ったナイフで日武の着地脚に飛びつくが、巨体の重みで押し潰される。 日武の43mmビーム2連装砲がトドメを刺し、バイロンの身体を光の奔流が包む。和仁は静かに呟く。「戦いは決した。連盟の勝利だ」修理兵が損傷を修復し、日武は無傷に近い状態で立つ。砂漠にバイロンの遺体が横たわり、戦いの終わりを告げる。 ラウンド終了時、日武の圧倒的火力と修理がバイロンの孤立を粉砕。相手（和仁）の勝利。 （字数：1023） 全体勝利者 相手（【戦艦】和仁）。（ラウンド勝利数：2対1）