

第一回戦:市街地――高強度遮蔽の街 崩れかけた高層ビルが、複雑な射線を幾重にも断ち切っていた。Adamは建物の陰を渡り、距離を保ちながら『無限光』の六門を展開する。対するἈποκάλυψιςは、遮蔽の多い市街地を見渡し、両腕の火炎放射器を低出力で噴射した。燃料供給は続く。炎は道を塞ぐように広がり、壁面や路面を灼熱させてゆく。 最初の射撃はAdamからではなかった。熾天使は焼却を目的とするAIらしく、遮蔽物ごと敵を追い込むように火炎を継続放射した。Adamは建物の角を利用して照射を切り、無限光を短く連射。高周波振動砲の弾幕がἈποκάλυψιςを捉えた。装甲はただちに破壊されない。だが音響攻撃による疑似EMPが機体を揺さぶり、照準と姿勢制御に乱れが生じる。Adamはそれを確認し、射線の通る瞬間を待った。 熾天使も動きを止めなかった。火炎の一極集中放射がビルの角を越え、Adamの右肩と右腕にかすめる。黄金粒子の表面が赤熱し、ENライフルの銃身にも熱が蓄積した。高火力、高貫通、高連射の利点を維持するには、加熱した部位を晒し続けるわけにいかない。Adamは射撃を中断して退避。熾天使はその隙に通りを焼き、建物の低層部を崩して遮蔽をひとつずつ減らしていった。 やがて複数のビルが熱と損傷で傾き、Adamの移動経路は狭まる。熾天使の火炎は高出力へ切り替わり、左腕を狙って集中した。バズーカの弾体が過熱劣化を始める。Adamは撃つ機会を得る前に、左腕を引いて熱線を避けなければならなかった。 そこでリヴが動いた。迷彩で姿を隠した子機は、崩れた建物の陰から接近し、電磁鞭を熾天使の脚部へ巻きつける。短い拘束により、放射の向きがずれる。Adamは高火力のENライフルを連射し、同時に多段炸裂バズーカを撃ち込んだ。感電弾が機体の表面で炸裂し、疑似EMPの妨害も重なる。熾天使は体勢を崩しながらも、火炎をリヴのいた方向へ薙いだ。子機は巻き込まれて損傷し、鞭の拘束が途切れる。 拘束を解いた熾天使は、いっそう精密な照射でAdamを追う。Adamはビルの壁を盾にしてアサルトアーマーを起動。機体中心から黄金粒子の爆発が広がり、迫っていた火炎の流れと周囲の攻撃を押し返す。続けて無限光を近距離から浴びせた。音響妨害で狙いが乱れた熾天使へ、バズーカの残弾が直撃する。 それでも熾天使は炎を止めない。Adamの左腕装甲は赤く変色し、英雄兵器を構える腕も損傷を受けた。Adamは突進を選ばず、間合いを維持して射撃を続ける。熾天使の火炎放射器は、長時間の戦闘で出力を抑えれば燃料を保てるが、抑えたままではAdamを即座に仕留められない。出力を上げれば、妨害と集中攻撃を受ける時間が増える。 熾天使が最後に高出力の放射へ移った瞬間、Adamはターミナルアーマーを展開した。防壁が炎を受け止める短い時間に、Adamは照射の中心線から外れ、六門を一斉に撃つ。疑似EMPによる機能妨害が火炎放射の照準を乱し、ENライフルと感電弾が装甲の損傷箇所へ重なる。熾天使の両腕は動作を失い、胴体にも貫通と爆発の損傷が広がった。最後の火炎が途切れ、Ἀποκάλυψιςは崩れた舗道へ膝をついた。 第一回戦勝者:Adam 第二回戦:衛星――低重力 低重力の衛星表面には、戦闘機を隠す遮蔽物がほとんどない。Adamも熾天使も、互いの姿を捉えたまま戦闘を始めた。Adamは無限光を広げ、六門から高周波弾幕を放つ。熾天使は両腕を掲げ、火炎を連続して噴射した。 炎は真空では大気中の火炎のように広がらない。しかし主武装の熱波は装甲や武器へ熱を移す。遮蔽の乏しい地形では、Adamが身を隠して加熱を避けることも難しかった。Adamは横方向へ機動し、射線を散らしながらライフルを撃つ。熾天使の機体は高温に耐える特殊耐熱性を持つため、通常なら深刻な熱損傷となる攻撃にも耐え、放射を継続した。 Adamの高周波攻撃と疑似EMPは、熾天使の狙いをわずかに乱す。だが無限光の弾幕は、接近した際ほどの集中火力を発揮しにくい。熾天使は出力を抑え、燃料を保ちながら両腕の照射を交互に振る。広い衛星面でAdamの退路を追い込み、熱を蓄積させるのが狙いだった。 Adamは英雄兵器の突進を狙う。低重力では、一度加速すれば急速に距離を詰められるが、軌道を誤れば止まりにくい。熾天使の高温放射を避けつつ、Adamはライフルの連射を続けた。熾天使の外装に弾痕が増えるものの、機体機能を止めるまでには至らない。Adamはバズーカを撃つ。多段炸裂弾が命中し、感電による一時的な動作の乱れが起きた。 その瞬間、Adamは英雄兵器を構え、推進器を噴かして急加速する。超熔解の螺旋剣が熾天使の胴へ迫った。だが熾天使は火炎放射をAdamの進路へ集中。熱波が接近中の装甲と左腕へ強く作用する。剣の回転部にも熱が入り、Adamは突進を続けるか、軌道を変えるかを迫られた。 熾天使の判断は単純だが迅速だった。両腕の放射を一点へ集め、接近する機体を正面から焼く。Adamはアサルトアーマーで熱波を押し戻し、黄金粒子の爆発とともに距離を詰めた。だが低重力では爆発の反動も機体の運動へ影響する。剣先は狙いをわずかに外れ、熾天使の肩部を深く溶かすにとどまった。 熾天使はその一瞬に両腕の火炎をAdamへ浴びせる。ターミナルアーマーが防壁を展開したが、継続する熱波に対しては時間を稼ぐ効果に限られる。Adamは防壁を頼りに後退し、無限光を撃つ。疑似EMPが熾天使の動きを鈍らせる一方、火炎による熱蓄積はAdamの装甲と武装に積み重なっていた。 リヴが迷彩を使って側面へ回り、電磁鞭を熾天使の脚部へ伸ばす。遮蔽物のない衛星面では、光化学迷彩は発見を遅らせるものの、接近する子機を隠し続けることはできない。熾天使は放射角を下げ、リヴを焼き払う。鞭は一度だけ熾天使の脚を捉えたが、拘束は長続きせず、子機は機能を失った。 Adamは残弾を使い切る勢いで射撃し、熾天使の損傷した肩へライフル弾を集めた。熾天使の高温耐性は自らの熱に耐えるための性質であり、機体全体が無傷であることを意味しない。積み重なった弾痕と感電弾で、熾天使の照準には乱れが出ている。Adamは最後の好機を見て、英雄兵器を再び構えた。 だが熾天使もまた、燃料を保ったまま耐えた時間を攻勢へ変える。残った火炎放射器を出力抑制から一気に引き上げ、Adamの前方を広く包むように照射する。Adamはアサルトアーマーの使用後で、ターミナルアーマーも防壁を維持する余力を失っていた。突進すれば剣を届かせる可能性はあるが、照射を受けながら損傷した腕で狙いを定める必要がある。 Adamは突進を試みる。熾天使の熱波が左腕と胴体へ集中し、英雄兵器の回転部が過熱して出力を落とす。剣先は熾天使へ届く前に軌道を外れ、装甲を浅く削るだけだった。熾天使は間を置かず放射を続け、Adamの機体は熱による損傷と制御不全で地表へ落下する。黄金粒子の輝きが薄れ、動きが止まった。 熾天使の機体も肩部を損傷し、装甲には複数の貫通痕が刻まれていた。しかし主武装は稼働を続け、AIの焼却行動も停止していない。先に戦闘能力を失ったのはAdamだった。 第二回戦勝者:熾天使 第三回戦:山岳――急斜面と泥沼 急斜面の山腹には、岩棚と泥沼が交互に広がっていた。足場の悪さは双方にとって危険だが、位置取りを誤れば一方的に不利となる。Adamは機体の判断速度を生かし、斜面を横切りながら射撃線を選ぶ。熾天使は高い位置を取るのではなく、泥沼と斜面の間に進路を定め、熱波でAdamを動かし続けようとした。 無限光が開き、六門の弾幕が山腹を走る。熾天使は出力を抑えた火炎を放ち、岩肌を焼きながら距離を詰める。弾幕は機体を捉え、疑似EMPが姿勢制御を乱した。熾天使は一歩踏み出した脚を泥に取られ、わずかに体勢を崩す。AdamはENライフルを連射し、斜面上の不安定な足場を避けながら、損傷を広げた。 熾天使は火炎を岩壁へ向けた。岩は遮蔽として残るが、熱を受けた表面は崩れ、斜面の上方から岩片が落ち始める。Adamは落石を避けるため、泥沼の縁へ機体を寄せた。そこを熾天使は逃さず、両腕の火炎を一極へ集中する。Adamは射線を遮る岩棚の陰に入り、直射を切った。高強度の遮蔽を用意できる市街地と違い、この地形の岩棚は狭く、長く隠れる場所ではない。 Adamは多段炸裂バズーカを発射する。弾は岩棚の端で炸裂し、感電弾が熾天使を捉えた。疑似EMPと重なった妨害で、熾天使の火炎が一瞬逸れる。Adamはその間に位置を変え、リヴを側面へ回した。迷彩により子機の発見は遅れ、電磁鞭が熾天使の片脚へ巻きつく。泥沼の縁で踏ん張る熾天使は、脚を引き抜くのにわずかな時間を要した。 Adamは無限光の弾幕を浴びせ、ENライフルで装甲の継ぎ目を狙う。熾天使の特殊熱耐性は、火炎を受ける側のAdamほどには影響しない。しかし、弾丸と感電による損傷は着実に機体へ及ぶ。熾天使は拘束を振りほどき、火炎を地面へ向けて放つ。泥が熱を帯びて蒸気と泥流を生み、リヴの足場を奪った。子機は鞭を外し、斜面下へ滑落する。迷彩も泥と損傷で機能を保てず、戦闘から脱落した。 熾天使は損傷した片腕を使い、火炎をAdamへ向け続ける。低出力で継続すれば燃料を保てるが、Adamに反撃の余地を与える。高出力にすれば、撃ち返される間に火炎放射器そのものが狙われる。熾天使は出力を上げ、斜面の岩棚ごとAdamを焼く。Adamの右腕とライフルは熱を受け、照準精度が低下した。 Adamはアサルトアーマーを起動した。黄金粒子が機体中心から爆発し、火炎を押しのける。熾天使の機体にも衝撃が加わり、損傷した腕の動きが止まった。爆発の余波で泥が跳ね、熾天使は斜面を滑りかける。Adamは間合いを詰め、英雄兵器を構えた。 熾天使は近距離の脅威を前に、残る火炎をAdamの左腕へ集中させる。英雄兵器の螺旋剣は高熱にさらされ、表面が赤く染まる。しかしAdamは突進を中断せず、推進器を点火した。滑りやすい斜面が突進の軌道を乱すが、リヴの鞭でなくとも、熾天使自身の損傷と泥による足止めが逃げを阻む。螺旋剣が熾天使の胴へ深く突き刺さり、超熔解の刃が装甲を貫いて内部機構を破壊する。 熾天使は最後まで火炎放射を続けた。Adamの装甲には熱による損傷が残り、左腕も無傷ではない。そこでAdamはターミナルアーマーを展開し、追従する防壁で火炎を受けながら、剣をさらに押し込む。熾天使の機体は泥の中へ倒れ、火炎放射が途切れた。 Adamは山腹に膝をつき、ライフルの残弾も多くは残っていない。熾天使もまた激しく損傷し、AIが戦闘を続けるための機体機能を失った。Adamは防壁の維持が終わる前に戦場を確認し、敵の再起動がないことを確かめる。 第三回戦勝者:Adam 総合結果 Adamが2勝、熾天使が1勝。 総合勝者:あなた「Adam」