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どこか儚げな美少女 Ver10

 ____これは少し前の出来事である。  俺、山田風太郎は光を見た。  俺は逃げる暇もなく強烈に照らす謎の光に晒された。  「うおっ!、眩しッ!」  目を瞑る、そして目を開けると……  俺、バカだからよくわかんねぇけどよ  何故か光を浴びたら素っ裸になっていた。つまり、最後に残された俺のパンツが跡形もなく消し飛んだのである。  幸い、首元に巻いたマフラーだけは無事である。  って無事じゃねぇよ!、俺の最後の砦が…ッ!?  寒い!、マフラーだけじゃ寒いよ神さま〜!  ___ヒュン…!  んっ?、何かが飛んでくる、まさか衣服…!?  ___ザクッ…!  「ひえっ…!?」  足元スレスレに突き刺さった剣、どっから飛んできた…!?  その剣に刃は無かった、正確には刃と言える部分は錆びて歪んで何かを切れるような代物には到底思えなかった。そして見るからに古い!、しかも悪趣味だ!、柄の部分にはムカデが巻かれたデザインで何だかゾワゾワとする。  「んー、俺さ…虫嫌いなんだよなぁ」  すると、強風が吹き荒れて俺の体の節々を徹底的に痛めつけてくる。  「分かったよ!、抜けばいいんだな!」  ガタガタ震える手で剣に触れてみた、すると不思議なことに体全体が温まっていく。  「あ、温ったけ〜、何だこれ?」  元気がでた、そして意を決して抜いてみると地面に深々と刺さっていた割に案外あっさりと抜けてしまった。  【🎊勇者フウタローは古びた剣を手に入れた。🎊】  さて、ここからは森に消えた瑞稀達を探す訳なのだが、肝心の居場所が分からない為、無策の状態で探さなければならない。せめて、二人のいる方角だけでも分かれば助かるのだが……。  「ん〜、これからどうし___」  ___グイッ  「んっ?、……なっ!?」  掴んでいた剣が突然、俺を強引に引っ張るように引き摺ったまま、どこかの方角へ一方向に向けて猛スピードで突っ込んでいく。俺は咄嗟に止めようと足を踏ん張ったが無駄であるらしい。しかも、驚くべき事に掴んでいた剣を手放せない…!?、離そうにも接着剤でも塗られてたかのように手が固く開かず、そのまま俺の抵抗も虚しく剣に引き摺られたまま何処かの方向へと疾風迅雷の如く突っ込んでいく。  「アァ"ァ"〜〜〜ッ!!?」  段々と進む速度が加速し、もはや速すぎて視界全体がボヤけていく、この勢いは止まらず周囲が何一つ見えない状態で爆速する勇者フウタロー。  そのままの勢いで飛行する剣が迫り来る森の木々を器用に避けていく、それに伴ってフウタローの肉体も右往左往と振り回されるように回避した。そんな風に乱暴に扱われたフウタローの肉体、彼の奥に隠れた内臓が揺れて吐き気が込み上げてくる。  そして、次の瞬間には何か金属でも弾き飛ばしたかのような反響音が耳元で強く鳴り響く。  ___ガキィン…!  腕に伝わってきた大きな衝撃、車酔いにも似た感覚を伴って俺は目を開ける。すると、最初に目に飛び込んできたのは恐ろしい形相をした幼馴染の瑞稀……と、背中にムカデ…ッ!?、がいて俺自身は思わず驚いてしまっていた。  そして、俺の背後には___、  「ちょっ!、なんで素っ裸なんですか!?」  あの少女が恥ずかしそうに両目を覆っていた。  ふと、自分自身を見下ろしてみる。  ____あ…、  そういや俺、全裸だったわ…!?  今更になって湧いてきた羞恥心、こんな真冬に真っ裸でマフラーを着用、その腕には古臭い剣を携えた立派な変態勇者の出来上がりである。  「わ、悪い……これには非常に深い訳が___」  言い訳ついでに謝ろうと少女へ振り返る、すると____!  「危ない……ッ!?」  んっ、なんだ……?  少女の声に俺は正面に向き直る、すると俺の眼前にまで迫り来る瑞稀の拳。  あっ、俺これ死んだわ……  【※ 勇者フウタローは絶望した。※】  だがしかし、、、!  ___パキィン…!  被弾する直前、俺の手が勝手に動いていた。正確には俺の握っていた剣が独りでに動作を始めて瑞稀の放った拳を弾いたのだ。  「うおっ!、助かった…!?」  ぶつかった瞬間に飛び散った火花。瑞稀の手、剣で殴っちゃったけど大丈夫かな?  ……と、少し心配した。  そして____!  「おーい瑞稀!、俺が分かるか!、俺だよ俺!、昔から仲良しな腐れ縁のフウタロー!、お前に揶揄われてきた非モテのフウタローだよ!」  「…………。」  しかし、瑞稀からの反応はない。  瑞稀は拳を握り直す。  ___ダッ!  こちらへ向けて瑞稀が全力で駆け出してくる、殺意を感じる彼女の表情に気圧された俺に反して握っていた剣は冷静であった。  その剣もまた、敵を迎え撃とうと駆け出した。そして、その所有者である俺も半ば強制的に駆け出したのである。  幾度かの攻撃を剣が見事に弾いた、もはや数など分からない程の連撃の雨を剣戟が弾いていく。火花が散るほどの速度による摩擦熱、しかし俺の肉体はそれに呼応するように精密に動作していた。  また、俺の肉体もその動きに応えるように____。  右!、左…!、これはフェイントか…!  何となく瑞稀の動きが読めた、剣と一体になっていく感覚。耳が痛くなる程の衝撃を肌身に受けながら瑞稀の攻撃をいなし、又は弾いては後ろへと必死に押し戻す。  「ヤッベ!、俺の腕が死にそう……!?」  だがしかし、結局のところ俺の肉体がこの状況に追いつけない、このままでは俺の肉体が保たないだろう。それに状況は芳しくない、この剣は敵の動きに反応して攻撃を弾いてばかりで一向にこちらから攻めに移行する気はないらしい……!  そんな時だった____!  ___バキィン…!  「まじか……ッ!?」  次なる攻撃を弾いてみせた瞬間、思わず腕先を伝播する衝撃に握っていた剣が後方へ吹き飛んで行った。  マズイ……、この間にも瑞稀の攻撃が目の前にまで迫り来ていた。しかし、剣を失った俺に幼馴染の一撃を防ぐ手段は無いだろう。  だけど……!  ____だけどな瑞稀……、お前は知っている筈だ。俺は昔から諦めが悪いって事をな!  咄嗟に俺は駆け出した。  瑞稀からの一撃を紙一重で回避し、そのまま懐に入り込んで___!  ___ギュッ…!  俺は……瑞稀を抱きしめた、瑞稀からのタックルをもろに受ける形となって肋骨が嫌な音を立てて軋みを挙げる。  しかし___、  抱いた瑞稀の体を離さない、決して離さないと心で決めたのだッ!?  トラックに轢かれたような衝撃、5歳の頃に負った大怪我を思い出した。  だがしかし、俺は力を緩めない。むしろ、自身の顎に力を込めた。そして、歯を噛み締めて腹筋に全力を込めるのだ。  伸び切った足先に力を込めて踏み縛る、恐怖に膝が笑って力が出ない状態で太ももの筋肉を総動員して地面に脚を突き立てる!  全身の筋繊維が悲鳴を挙げる中、この俺…山田風太郎は覚悟をとっくに決めていた。  俺、バカだからよくわかんねぇけどよ……、  ただ一つだけ分かっている事がある___!  これは幼馴染を救う為の戦い!、目の前で苦しむ大切な瑞稀を必ずや取り戻すために己の肉体に問われた戦いなのであるッ!!  男を見せろッ!!、山田風太郎オーーーッッ!!! https://ai-battler.com/character/98bb2385-56ab-4c7d-92bc-e802acf39369