母は処刑された。父は歴史から抹消された。姉は2人がひとつになり、救えるはずだった妹は病死した。 私は誰も救えない。 そういう運命だった。 カローンという星では、先祖返りとして最初の王の特徴が現れる者が生まれる。その者はカローンと運命を共にするため、次代の王として選ばれる。 そして、私こそが王の血を継ぐ者。 そういう運命だった。 『黎明の井戸』は世界の力の根源へアクセスするための穴であり、火口である。人間1人が背負うには余りに大きいそれを、多大なる代償を支払って封じた。 代償は己の平穏。 そういう運命だった。 妹は、ある夢を私に託した。本人ですら届くことのなかった夢を。 きっと、これが最後のバトンなのだろう。 「受け入れて…前へ……進まないと…」 そういう運命だから。 ───────────────── 「ねえ姉さん。私、きっと明日に死ぬと思うんだ…朝日を見ながら。」 「縁起でもないことを言うな…病気、治して行きたい所あるんだろう?ちゃんと寝てろ。」 「…自分の死期くらい分かるわ。教育を受けなかったからって、勘まで鈍る訳じゃないの。」 言及しにくいことを穏やかに言う君の眼差しを、今でも鮮明に覚えている。 遠くを見るようで私を見ているような、全部わかっているかのような、そんな眼差し。 私たちは死ぬ。何処へ行くかは分からないが、そのために祈らずには居られない。 「きっと死ぬ。見えるの、ライ麦畑でくるくる回って、疲れたら横になって、雲に向かって手を伸ばして…いつか満たされることを知る。不完全で、完璧な楽園。」 ライカの永遠の目標、「いずれ届かねばならぬ場所」と題した理想。それは最愛の妹が遺した最大の課題で、彼女を地獄の道へ突き落とした無邪気な夢。 「ねえ聞いて、姉さんは思い詰めすぎていると思うの。余りに背負いすぎているのに、それが運命だと無理やり受け入れている。それが心の支えになると思い込んで。」 それでも彼女はこの連綿と続いてきた地獄の連鎖を終わらせねばならない。そして止まることなく「楽園」を探し続けるのだ。 「確かに姉さんはそれを背負う運命だと思う。そして定められた運命は変わらず、認識された運命は確定する。でも…その運命に注釈を付けることはできるの。」 …たとえ、ある筈が無いと分かっていても。 「姉さん。聞いて。最初で最後のお願いよ。」 「最後にはきっと、あなたが運命を切り拓くことでしょう。それこそが、私にとっての楽園…」 自分の運命の1頁に注釈を加えるのは、自分だけの特権なのだろう? 「だからきっと、運命の道の果てで、貴方の楽園を教えて。」 前を見据えて停滞するのではなく、常世を踏みしめて生きるのだ。 ───────────────── 【基本情報】 身長:127cm 体重:身長に見合うくらい軽い 年齢:20前後 誕生日:8月18日 出身:『機械と神秘の星』カローンの富裕層 髪:くすんだ金、ロングでくせっ毛、ハイポニー。 目:黄色。または黄金。ジト目、死んだ魚のような目。 一人称:私 二人称:お前/貴様/名前呼び 性格:やさぐれダウナー、意外にお茶目 特徴:パワー 特技:エンジニアリング全般、計算 武器:第10冠:マルクト/機械仕掛けの特大斧 王国の第10冠。「道を拓き、創り出す」力を持つ。黎明の井戸が接続し無限のエネルギーが流れているため、触れたものはもれなく爆散し、囲えば囲いが爆散し、触れなくても近くのもの全てが爆散する危険なアーティファクトと化した。ライカが黎明の井戸へ「道を拓く」ことでエネルギーを受け流して安定化しているため、ライカにしか扱えない。 ───────────────── 【概要】 くせ毛でハイポニー、死んだ魚のような目をしたダウナー女子。成人間近にも関わらず127cmなので、ありとあらゆる服が全部オーバーサイズ、ショートパンツですら短パンのように見える。手書きのノートが聖書で、形見のロケットは十字架のロザリオ。基本的にツッコミ気質で、稀に王たる所以が出る。消し飛べ有象無象! 「ライカだ。以後よろしく。」 地獄。圧倒的被害者。ある事件で家族全員を失い、妹も失ったのを境に自己嫌悪と世界への猜疑心に苛まれるようになった。過去の因縁と感情に囚われ、甘く空虚な理想から抜け出せず、いずれ破綻すると分かっている方法で夢に浸かるのをやめられない。 歩み続けるという名の停滞、希望という名の他力本願。幸せだった過去との決別。 「探し続けることで、いつかどこかで救われるのだと信じられる…」 戦闘では戦略的で効果的な空間断裂を多用し、圧倒的なパワーを効率良く押し付ける戦い方を好む、頭のいい脳筋。 時空間が停滞した星カローンの生き残り(いつ停滞が終わるか予測できないため、公的には内部に存在する者全てが行方不明扱いとなっている)のうちの一人。 実のところカローンはライカと運命を共有しているため、停滞してるのは前に進むことしか出来ないライカが原因。 彼女の父親であるオルセリアは宇宙規模で有名なエンジニアの一人、人工知能研究の第一人者でもあり、『空白事件』の被害者。歴史から抹消される寸前に彼は特異点へ到達し、最高傑作である人工知能「ヘルメス」を作り上げ、これから消える彼の代わりにライカとその仲間達を護り導く指令を遺した。それは1人の研究者としての思想であり、子を想う親の『願い』でもあった。 https://ai-battler.com/battle/acae244a-4846-425f-a57d-a059dd3c1f50